原作をサイトウケンジ、作画を奈央晃徳が手がける人気漫画『トリニティセブン』。これまで2014年秋にはTVアニメシリーズが、2017年には劇場版第1弾が発表されてきた同作の劇場版第2弾『劇場版 トリニティセブン -天空図書館と真紅の魔王-』が絶賛公開中だ。
今回のストーリーはオリジナルだった前作とは違い、TVシリーズからつながるもの。天空図書館に封印されてきた紅の魔王“アビィス・トリニティ”を中心とした人気のエピソードが、原作者のサイトウ自身が手がけた脚本によって映像化されている。今回はその公開にあたって、春日アラタ役・松岡禎丞と浅見リリス役・原由実に本作の見どころや収録の裏話について語ってもらった。
■今回のエピソードを、劇場版という形でまとめられてよかった
――まず、劇場版の第2弾が公開すると聞いたときにどう思われました?
松岡 僕は「あれ? 2期まだやってないよな?」と衝撃でした。というのも実は僕、「2期があるかも?」みたいな話を聞いていたんですよ。
――そうだったんですか。
松岡 ええ。1期のときには、休憩時間にスタジオのロビーみたいなところに行って、台本を見たりスタッフさんと話したりしていたんですけど、そこでぼんやりと聞いていたんです。そうしたら時間が経って……今回ですよ(笑)。だから「え、映画!? 前1回映画やりましたよね!?」みたいな感じで。映画やって次も映画っていうのは、僕の声優人生では初めてでした。
――時系列としては、そのTVシリーズからそのままつながるエピソードとなりますが。
松岡 そうですね。劇場版第2弾が決まってからは、「今回のエピソードをTVアニメでやった場合、たぶん1クールあっても中途半端なところで終わってしまうんだろうな」とも思いました。これをひとつにまとめたことに「あぁ、なるほど」と納得できる部分もあって。ある意味ひとつの物語が完結した形で終わったので、そこを考えても劇場版でよかったなと感じましたね。
――原さんはいかがでしょうか。
原 私は、今回の劇場版のお話をお聞きしたのはそれよりも期間が経ってからだったのですごく驚きましたし、ほかのキャストさんと現場でお会いしても、みなさん本当にびっくりっていう反応だったんです。でも『トリニティセブン』って、それこそオーディションの頃からだと5年ぐらい経っている作品です。
本当に長くお世話になっている作品の劇場版第2弾というのもうれしい。リリスのお話もたっぷり盛り込まれた今回のエピソードが、迫力ある音などTVシリーズとは違った良さを持った劇場版で描かれるというのも、すごくうれしく思っています。
――原さんは、劇場版第2弾の発表後にオールナイト上映イベントにも出演されたので、生で作品ファンの熱量を改めて感じたのでは?
原 そうですね。平日の夜遅くだったんですけど、本当にたくさんの方に来ていただいて。私たちは夜10時台のトークイベントに出させていただいたり、その前にお渡し会をやらせていただいたりしたんですけど、そこでみなさんの生の声に直接触れることができました。
みなさん劇場版第2弾をすごく喜んでくださっている。しかも原作をお好きな方の中には、最初のPVを観ただけで「このエピソードかな?」って察しのついている方もいらっしゃるような感じだったんですよ。それに原作のサイトウ先生も「原作でも特に人気のエピソード」だとおっしゃっていたので……そういうエピソードを映像化できるというのは、本当にうれしいことですよね。
松岡 その最初のPVなんですけど、台本をいただいてから、読む前に公式サイトを見てみたらなぜかそれがすでにUPされていて(笑)。「え、これどこの話!?」と驚いたのを覚えてます。
原 だから、アフレコのときに絵が完成してるシーンがあったんですよ。そこが、最初のPVで使われたところだと思うんです(笑)。
■後半アラタくんの言葉を受けてのシーンは、特に気合いが入りました
――さて、今回の劇場版は前作から約2年ぶりの新作となりますが、アフレコ自体も約2年ぶりだったと思います。みなさん収録には、結構すんなり入れたのでしょうか?
原 全員すんなり入れてましたよね?
松岡 この作品って、毎回みんなが登場するシーンがあるんですよ。それに、人間の記憶に刻まれやすい描写も多いですし。
原 たしかに。劇場版第1弾のときもみんなで戦うようなシーンもありましたし、今回も本当にみんなで協力しあって……っていう感じでしたからね。収録時間も予定よりもだいぶ巻いて終わって。本当にスムーズでした。
松岡 そうですね。久々に全員で収録ブースに集まるじゃないですか、それが、TVシリーズのときのアフレコみたいな感じ。別に久しぶり感もなく、「あ、今回もよろしくお願いします」という感じだったんです。
原 あと、特に『トリニティセブン』のキャストさんって、面白い方が多いというか。
松岡 そうですね。クセが強いんですよね。
原 あはは(笑)。すごくいい意味でクセのある方もいるので、現場がいつも和気藹々とするんですよ。今回も日笠陽子ちゃん(山奈ミラ役)がみんなにみかんを配ってくれて……。
――みかんを配る?
原 そうなんです。現場に置いておいてくれて、ちゃんと帰りには余ったみかんを持って帰っていくんですよ(笑)。
松岡 智さん(前野智昭/アビィス・トリニティ役)がめっちゃツッコんでいましたもん。
原 最後に松岡さんにも、おみやげで渡されてましたもんね(笑)。それに、はじめましての緊張感があんまりないぶん芝居に集中できる、という部分もあるんですよ。
――そのなかで、特に力が入ったシーンを挙げるならどのシーンでしょう?
松岡 ジュデッカを自分の配下にして、アキオの故郷を滅ぼしたアビィスを「あんたがぶっ壊した街の人々も、アキオの母さんの想いも、その身に受け取っておけー!」と叫びながらぶった斬るシーンは、限界を超えましたね。
あと、リリスを助けに行ったとき、リリスに抱きつかれてアラタがわたわたしたあと「怖かったか?」と言うシーンがあるんですけど、あそこは家で準備しているときから「なんかいいな」と思ったところなんですよ。なので、すごく言い方を研究しました。
――かっこいいんですよね、すごく。
原 いや、ほんっとにかっこいいです。私もそこのシーンは印象的で。ずっと、今までアラタくんと行動をともにしていたリリスが引き離されて、やっとリリスのもとに来てくれるシーンだったので……個人的にはすごく、刺さるものがありましたね。
あと私はそのシーンもなんですけど、後半リリスを正気に戻そうとアラタくんにいろいろな言葉をかけられてからのシーンは、この話の中で特に大切な部分だなと思ったので、すごく気合いが入りました。今回の劇場版は、リリス以外のキャラクターとアラタくんとの絆もすごく感じていただけるお話になっていて……この尺の中に本当にいろんな要素が盛り込まれていて素敵だな、と思います。