――テレビシリーズ以来の、真司と蓮がささいなことですぐケンカになる……というかけあいが見られることを楽しみにしているファンも多いと思います。今回のスピンオフドラマでは、そのあたりはいかがですか?

大丈夫ですよ。ちょうど昨日、須賀っちと2人のシーンを撮っていました。今回の蓮と真司は、過去にミラーワールドで仮面ライダー同士が戦っていたという記憶を失った状態で出会うのですが、お互いの名前だけは覚えている。なぜ覚えているのか、自分たちは過去に関わりがあったんじゃないか、そんなやりとりをするシーンだったんです。何回かテストをして本番を迎えるのですが、機材のトラブルか何かで、結局本番で6テイクも撮ることになりました。須賀っちがすごいと思ったのは、6テイクのすべてが違う芝居なんですよ。この出逢いのシーンではお互いがすごく楽しんで、スタッフも一緒になって笑い転げながら作っていきました。

――須賀さんも松田さんも長い間俳優生活を送ってきて、演技の引き出しも当時よりずっと多くなってきているはずですし、2人のお芝居も違ってきているのでしょうね。

それはありますね。須賀っちも僕と同じ気持ちで、当時の真司の姿をマネるのではなく、今の自分がスムーズに演じることのできる真司像を、みんなと話し合いながら作り上げていくという。今回の出演者はみんな、年月の隔たり、壁を感じていて、それを乗り越えながら作品を作っていったという感覚ですね。

――『龍騎』はこれまでに、劇場版『EPISODE FINAL』、テレビスペシャル『13RIDERS』、そしてテレビシリーズと、異なる3つの"結末"を描いていて、そのどれもが衝撃的な内容として観る者の心にグサリと突き刺さっていました。今回の"結末"もまた、過去と同じくらいのインパクトがあると期待していいでしょうか?

僕自身、今回のお話だと、こういう"落としどころ"しかないな、と思っていましたが、ラストに至るまでの描き込みの迫力に圧倒されました。井上さんの脚本の"凄み"を改めて感じましたね。ある程度予測がついていたにも関わらず、脚本を読んで涙が出ました。素直に、素敵な脚本だと感じています。これなら自信を持って『龍騎』ファンの方たちにお出しできる、早くファンのみなさんに観てもらいたいという気持ちになりました。

――『ジオウ』のテレビ放送を毎週観ているファンの方に向けた今回のスピンオフではありますが、やはり過去の『龍騎』テレビシリーズを"予習"しておいたほうが、より深く楽しめる部分があるでしょうか。

できれば『龍騎』テレビシリーズを全話ご覧になった上で、今回のスピンオフドラマを観ていただければうれしいですね。各キャラクターのもともとの人物像を知っていればこそ楽しめる要素がたくさん散りばめられています。蓮が"ある人物"の死を目の当たりにするものの、過去の"戦い"の記憶を持っていない蓮にとっては何の感情も抱かない、というシーンがあるんです。これって過去のテレビシリーズでの出来事を詳しく知っていればいるほど、すごく切ないシーンになると思うんですよね……。

――あらためて松田さんが思う『仮面ライダー龍騎』の魅力は、どんなところだと思われますか。

仮面ライダー同士が戦うという設定の中で"誰がいちばん強いのかがわからない"という部分こそ、『龍騎』がこれだけ長きにわたって人々から愛されている理由だと、僕はよく人に説明しています。いろいろなライダーが入り乱れて戦いますが、このライダーはあのライダーを倒したほど強いけれど、ある局面においてはすごく弱いところを見せる、とか、絶対的な"勝者"がいないところが面白いんです。龍騎が本気を出したら他のライダー全員がやられる、というわけではないんです。そこが、なんとも人間らしい"リアル"を感じさせています。仮面ライダーというキャラクターを使って、人間の内面のリアルな部分を描いていくという"ストーリー"のウエイトが大きい。しかもこれまでに、ひとつでは収まらない複数のストーリーが作られ、すべてのバージョンを受け入れられる"懐の深さ"も備えている。そこも大きな魅力なんですね。

――『RIDER TIME 仮面ライダー龍騎』の配信で、松田さんが特にオススメされる秋山蓮の見どころを教えてください。

僕が今回、蓮を演じていて一番好きなのは、お互いのことを覚えていない真司と蓮が、こいつとは過去に何か因縁があるなと思いつつ、探りながら会話をしているシーンなんです。やっぱり1年間、苦労を共にしてきた須賀貴匡という俳優、そして真司というキャラクターは、僕にとって特別な存在でしたから、真司と蓮がふたたび顔を合わせて他愛もないケンカを始めるという芝居が楽しくて仕方がなかった。もちろん、井上脚本のテイストで書かれていたやりとりなのですが、須賀っちが小林(靖子)脚本で印象的だった"あるフレーズ"をアドリブで入れ込んできたりして。それを僕が受け止めてアドリブで返したら、柴崎監督が椅子から崩れ落ちるほど笑い転げていました(笑)。ああいう芝居は『龍騎』が好きだった人にはたまらないと思いますし、僕も特別な思いをもって演じました。

須賀っちも僕もそうですが、『龍騎』の送り手たちが、ファンの方たちの喜ぶポイントはどこにあるのかを必死で探して、"どれだけ喜んでもらえるか"ということしか考えずに作品を作っています。そういえば、Twitterなどでもよく、仮面ライダーゲイツ/明光院ゲイツと蓮が"似ている"と言われることがあります。ついさっきもゲイツ役の押田岳くんと一緒にいたので、プライベートでツーショット写真を撮らせてもらったんです(笑)。似ていると言われている蓮とゲイツの"共演"が劇中で実現しているのかどうか、ぜひ配信をご覧になって確かめてほしいです。

ビデオパス+東映特撮ファンクラブ共同企画プレミアムドラマ『仮面ライダージオウ スピンオフ RIDER TIME 仮面ライダー龍騎』は、第1話が3月31日0時から、第2話は4月7日0時、第3話は4月14日0時から、ビデオパスにて独占配信される。

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