映像配信サービス「ビデオパス」で2019年3月31日より配信開始される『仮面ライダージオウ スピンオフ RIDER TIME 仮面ライダー龍騎』は、現在テレビ朝日系全国ネットで放送中の特撮テレビドラマ『仮面ライダージオウ』のEP21、22にも登場した『仮面ライダー龍騎』(2002年)の主人公・城戸真司(演:須賀貴匡)をはじめとするメインキャストが再結集し、新たなストーリーを描き出す全3話のスピンオフドラマである。

松田悟志(まつだ・さとし)。1978年生まれ。大阪府出身。1998年のジュノン・スーパーボーイ・コンテスト出場がきっかけとなって芸能界に入り、1999年に俳優デビュー。2002年『仮面ライダー龍騎』では、仮面ライダーナイト/秋山蓮を演じ、龍騎/真司と並ぶ重要キャラクターとして高い人気を誇った。NHK連続テレビ小説『てっぱん』(2010年)などのテレビドラマ、映画、舞台ほか、多方面で活躍中。撮影:大塚素久(SYASYA)

かつてのテレビシリーズと同じく、今回のスピンオフドラマも"戦わなければ生き残れない"を合言葉に、複数の仮面ライダーが互いの技を駆使して激しい争いを繰り広げ、たった1人だけ勝ち残った者が"願い"を叶えることができるという設定を用いている。井上敏樹氏による今回のシナリオはさらに、放送終了から16年もの歳月が過ぎ、それぞれ人生を重ねたキャラクターたちの人間的"深み"をも考慮し、仮面ライダー同士の複雑な人間模様にいっそうアダルティなムードを盛り込んでいるという。

マイナビニュースでは、『RIDER TIME 仮面ライダー龍騎』に登場する、『仮面ライダー龍騎』オリジナルキャストそれぞれに単独インタビューを敢行し、16年ぶりに映像作品として"復活"を遂げた『龍騎』ワールドにふたたび出演するにあたっての心境や、新作にかける意気込みを訊いた。

今回は、仮面ライダーナイト/秋山蓮を演じた松田悟志が登場。熱い感情を素直に表す真司と対照的にクールな態度を貫くものの、その内面に熱いものをもっている蓮は、『龍騎』という作品を語る上でなくてはならない重要キャラクターであり、放送当時から現在まで根強くファンからの支持を集め続けている。

――マイナビニュースでは昨年、松田さんに仮面ライダー龍騎/城戸真司役の須賀貴匡さんと共にバンダイの"大人のための変身ベルト"商品「CSM Vバックル」商品化のタイミングでインタビューをさせていただきました。その際に「もしもふたたび秋山蓮役で出演オファーが来たら?」という質問に「声がかかったらいつでも出演しますよ。何なら、明日インでもいいです」と答えてくださいました。そんな松田さんの意欲に応えるかのように今回のスピンオフドラマ『RIDER TIME 仮面ライダー龍騎』製作のニュースが飛び込んできたのは、ファンにとってたまらない出来事だったのですが、具体的な出演依頼はいつごろあったのですか。

「CSM Vバックル」に音声を収録したり、インタビューを受けたりしていたときには、すでに事務所のほうにお話が来ていたそうなんです。そうとは知らず僕はといえば、ファンのみなさんからずっと「『仮面ライダージオウ』に秋山蓮として出てほしい」とたくさんの声をいただくものの、僕のほうから「出ない」とも「出たくない」とも言っていたわけではないので、困っていたんです。

悔しいのでTwitterで「『ジオウ』に出たいなあ」とつぶやいてみたのですが、そうしたらまたものすごい反響が(笑)。今回、『ジオウ』のスピンオフという形で出演することが決まりましたけれど、これって今まで『龍騎』や秋山蓮をずっと覚えていて、愛し続けてくれた方たちの"思い"が形になって生まれたものだと思っているんです。たとえばコップに水が少しずつ溜まっていき、やがてコップから水があふれてくる瞬間がある。それが今なんじゃないですかと、武部(直美/プロデューサー)さんに話したんですよ。出たくても、僕の方から「出してください」と手を挙げるわけにはいきませんからね。ほんとうに、応援してくれているファンのみなさんの気持ちが作り手に伝わったからこそ、実現した話だと思います。

――『ジオウ』でひさびさに「平成仮面ライダー」のチーフプロデューサーを務められている白倉伸一郎さんにとっても『龍騎』という作品には強い思いを抱かれているとうかがいました。

それは役を演じた側としてもうれしいことですね。今回は井上敏樹さんが脚本を書かれているんですけれど、井上さんは『龍騎』のテレビシリーズを第1話から順番に、全話観直して執筆に臨まれたそうなんです。井上さんをよく知る人からは、あの人はもっとスマートに脚本が書ける人なのに、そんな地道な努力をするなんて珍しい、と驚かれました。こういうお話を聞くと、自分としてもいっそう大事に、蓮を演じなくてはならないなと思いました。

――16年ぶりに「仮面ライダー」の撮影現場に入られたときの心境を教えてください。

昨年に須賀っち(須賀の愛称)と対談インタビューを受けたこともあって、10数年ぶりという感覚がそれほどなく、すでに助走をつけていた気分です。須賀っちとも「また(『龍騎』を)やりたいよね」なんて話していたから、それが今度は「ほんとうに(新作が)決まったね」という風に変わっただけという感じでした。何年あいだが空いていても、お互い違和感がなかったし、須賀っちも完璧に準備をしてきていた。やっぱり、さすがやな~と思いながら現場に入りました。

――秋山蓮を演じるにあたり、『龍騎』テレビシリーズを意識された部分などはありましたか? たとえば、トレーニングをして身体を作られたとか。

今回は、特に何もしていないんです。たまたま別の仕事が直前まで入っていて、髪も短くすることができないとか、いろんな事情もあって、昔にビジュアルを寄せていくという作業がなかなか難しかったのですが、そんな中でも僕が蓮として、とにかくその場に"立つ"ということを優先させていただきました。

――とはいえ、Twitterでもファンの方たちから言われているように、松田さんの外見がテレビシリーズ放送当時とまったく変わらない精悍さのままですから、すんなり秋山蓮役に入ることができたのではないでしょうか。

いや、変わっていますよ(笑)。ファンの方々は、ほんとうは変わっているのに、変わっていないと言い聞かせてくださっているんだと思います。『龍騎』の当時は20代前半で、今はもう40歳ですからね。今回の衣装合わせのとき、当時蓮が着ていたロングコートがまだ残っていて、それを出していただいたのですが、今の僕が着てみると、もうコスプレにしか見えない。だから、今回はあれから17年経った、いまの蓮ならではの衣装になっているんです。芝居に関しても同じで、17年前の蓮を自分自身でモノマネするのではなく、いま現在の僕が脚本を読んで、そこに書いてあるとおりの蓮を演じたほうが、みなさんの心にしっかり届けられるのではないかと思いました。