――『仮面ライダーブレイブ』のときもそうですが、やはり浅倉は蛇革ジャケットじゃないと……みたいな印象が強いようですね。髪の色も、今回のために染められたのでしょうか。
そこですよ。今回どうしましょう?と武部さんに聞かれたので、「髪が痛むから、染めるのはちょっと(勘弁)……」と言ったのですが、さすがは武部さんの押しは強かったですね。「大丈夫、いまはいい美容液があるから、ブリーチしたほうが髪のためにいいこともあるんだよ」(※個人の感想です)なんて言われまして(笑)。なので、髪が痛まないように注意しながら、またまた染めることになりました。今回の撮影に入る前、別の舞台のためにヒゲをはやしていたんですけれど、柴崎監督をはじめ、みんなが「そのままでいいんじゃないか」と言ってくれたので、ヒゲのままで出ています。画面的に浮いているようなら剃りますよとお伝えしたのですが、結局このままで(笑)。
――久々に浅倉を演じるにあたっての心境はいかがですか。
台本をいただいたとき直感したのですが、いつの時代でも浅倉威は浅倉威なんだな、と。僕の中でも17年前、29歳だったときの、自分なりのイライラや憤りを、セリフに乗せて演じていました。ただ、やっぱり17年も経過していますので、あのころと同じ"バイオレンス"な感情をむきだしには、どうしてもできないんですよね。
当時は空手道場に通っていて、面と向かって相手と戦うことの大切さというものをすごく考えていました。今回は、17年という歳月を経た現在の自分の中にある浅倉的な部分を出していければ、と思っています。万華鏡のようにいろいろな面を表現するのではなく、シンプルに、一本突き抜けたものを出していくという感じでしょうか。
ちなみに『仮面ライダーブレイブ』では『龍騎』テレビシリーズ当時のセリフを随所にちりばめるなど、過去作品のオマージュ要素が強かったでしょう。今回は浅倉ならこのセリフだよね、みたいな「決めゼリフ」が入っていません。あくまでも物語の中で、浅倉の人物像が深く描かれるかたちになっています。
――撮影時のエピソードがあれば教えてください。
今回、うれしかったのは仮面ライダー王蛇を演じられているのが、かつての『龍騎』と同じく岡元次郎さんだったことです。撮影初日のワンシーン目が、王蛇と弓削っちがぶつかって、やがて王蛇が変身解除して、僕が弓削っちとぶつかるくだりでした。その日は、まだワンシーンしか撮っていないにも関わらず、僕と弓削っちと次郎さんとで、焼肉を食いに行ったんです。まだ撮影は始まったばかりなのに、まるで打ち上げのようにみんなで何杯も飲みました。
そのとき、『龍騎』にかける僕の思いや、弓削っちの思い、そして次郎さんの思いを打ち明け合い、お互いに聞いているというのが、とてもいい時間だったんです。「俺たちはいま再び『龍騎』を撮っているんだな」という実感が、このとき改めて湧きました。なんといっても今回の作品で当時の『龍騎』と同じキャラクターを務められているのは、次郎さんの王蛇だけですからね。
――17年の時を経ても浅倉のキャラクターにはまったくブレることなく、"戦いを好む凶暴な男"というシンプルさを貫き通している、ということですね。そこが浅倉の"凄み"につながっているように思えます。
浅倉に関しては、年齢的な"枯れ方"がないんですね。ミック・ジャガーや忌野清志郎さんにも通じると思いますが、どんなに年齢を重ねても決して枯れない"ロック"の魂が浅倉にはあるのではないかと思います。役者というものはやっていくうちにどんどん変わってくる部分が多くあると思うんですけれど、自分の中に"根幹"があるとしたら、浅倉威と涼村暁(超光戦士シャンゼリオン)の二本柱なんですね。これから役者としてどんなに変化していっても、この2つの役柄は失いたくないですし、決して失いません。
――仮面ライダー王蛇/浅倉威が今回、見事に復活を遂げましたから、今度は『超光戦士シャンゼリオン』(96年)の私立探偵・涼村暁の現在の姿も見てみたいものですね。23年の歳月を経た暁がどうなっているのか、すごく気になります。
僕も『シャンゼリオン』をまたやってみたいと思っていますよ。ただ「仮面ライダー」シリーズと比べて『シャンゼリオン』はカルトだからなあ(笑)。でも、チャンスがあれば絶対に現在の暁を演じてみたいです。今でもいいかげんなことばかり言って周囲を困らせているのだろうか。高田純次さんみたいなオヤジになっていたらいいなあ、なんて。
――最後に、スピンオフドラマ『RIDER TIME 仮面ライダー龍騎』のおすすめポイントを教えてください。
もう、ポイントだらけですよ。新しい世界観で描かれるストーリー、今回だけに出てくる新キャラとか……。台本段階でも、撮影現場でも、ファンの方たちに楽しんでもらえる要素がたくさん生まれています。作品をご覧になって、面白い!と思っていただけたらうれしいですね。自分としては、ふたたび『龍騎』という作品が作られ、かつてのみんなと一緒に出演できたということが、もっともうれしいことなんです。こういう"ご褒美"だったら、今回だけじゃなくてまた1年後くらいにあってもいいですよと(笑)。今回、そうとうな意気込みと気合いで撮影に臨みました。なにしろ、井上さんが本気で書いてくださった脚本ですから、この本気に応える芝居を披露したつもりです。ぜひお楽しみください。
ビデオパス+東映特撮ファンクラブ共同企画プレミアムドラマ『仮面ライダージオウ スピンオフ RIDER TIME 仮面ライダー龍騎』は、第1話が3月31日0時から、第2話は4月7日0時、第3話は4月14日0時から、ビデオパスにて独占配信される。
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