――今回配信される『インディゴの気分』は、木島の過去編です。『ポルノグラファー』の木島先生は相当妖艶でしたが、今作はもっと若く、性的にもまだ初心な時代がメインになると思います。前作と演じ方を意識的に変えた部分はありますか?

『ポルノグラファー』の木島になる過程を描く作品なんですよね。ポルノ小説に初めて触れるし、男性との絡みも『インディゴの気分』での城戸相手が初めてですし。そういうフレッシュさというか、リアクションの速さは今回意識しました。前回は、いろいろ含めた上での間(ま)をとったり、セリフのスピードもゆっくり……ねっちょりというか(笑)、温度は感じないけど湿度だけあるような言い回しを考えたり、時間をかけてつくりこんでいったのに対して、今回は現場で、城戸や蒲生田先生の言葉を聞いて自分の中から出てくるリアクションを大事にしようと思って撮っていました。

――以前のインタビューで、清水プロデューサーが「2人がラブシーンで"やりすぎ"る」という話をされていまして……。

ふふふふふ(笑)。

――「男性同士だと遠慮なくできる」という話だったんですが、実際はどうなのでしょう。

男性同士だからというより、吉田くんと猪塚くんという、今回のキャストだったからだと思います。照れもないし、「やれることをやってやろう」っていう2人で、どこまでも付き合ってくれる。ちゃんとカットがかかるまで演じきる、僕の好きなタイプの役者さんたちでした。それを監督が、「こいつら、カットかけなかったらどこまでやるんだろう」っておもしろがって止めなかっただけだと思います(笑)。でも確かに、女性に対するのと男性に対するのでは気の使い方は違うし、気が楽というのはありますね。2人は年も近いので、どうしたいのか言い合えますし、女性に対してはなかなか言いづらいこともすんなり言える関係だったから、というのはあるかと思います。

――竹財さんはマンガがお好きなんですよね。BLマンガにはどういうイメージがありましたか?

ボーイズラブ自体は理解ができないので読んでませんでした。マンガの中でもバトルものやスポ根ものが好きで、恋愛もの自体読まないので。特にBLは、どういう層の方が読んでいるのかもわからない、まったく未知のものでした。だから正直、『ポルノグラファー』への反響はちょっと意外だったんです。たとえSNSでも、いわゆる腐女子といわれる方が……あんまり言われたくない言葉なんですかね、ごめんなさい。

――それは大丈夫なんじゃないでしょうか(笑)。

そういう方は、どっちかというとこっそり楽しみたいんだと思ってたので、熱い声をあげてくれたのが意外だったんですよね。すごくありがたかったし、強いなと思いました。

――たしかに難しいところではありますね。SNSでは言えるけど、実生活では隠しているという人はまだ少なくないと思います。

これは違うのかもしれないけど、僕ら男がエロ本を読むような感じなのかなと思ってたんですよ。「これ、すごくいいよ」っておすすめしたいけど、友達から「こいつ、こういうの好きなんだ」とは思われたくない……みたいな。男同士でいうと、「お前ナース好きなの!?」「えっ、人妻モノ好きなの!?」って思われたくないから(笑)。そういう学生時代の淡い記憶もよみがえりました。

――かつてはそういう感じがあったけれど、『おっさんずラブ』や、2020年公開予定の映画『窮鼠はチーズの夢を見る』など実写作品も増えてきて、BLはよりポピュラーなものになりつつあるんだと思います。『ポルノグラファー』もその端緒のひとつになったんじゃないでしょうか。

ありがとうございます。「これが好き」って声をあげられる状況はすごく喜ばしいことだと思うので、もっともっと盛り上げてください!

■竹財輝之助
1980年4月7日生まれ。熊本県出身。2004年、『仮面ライダー剣』で俳優デビュー。映画『未来予想図 ~ア・イ・シ・テ・ルのサイン~』(07)、『脳内ポイズンベリー』(15)、ドラマ『アンナチュラル』(18)などに出演。