昨年7月に、フジテレビが運営する動画配信サービスFODで配信され異例のヒットとなった、ドラマ『ポルノグラファー』の過去編である『ポルノグラファー~インディゴの気分~』(毎週木曜0:00~ 最新話配信)が、現在配信されている。
丸木戸マキ原作のコミックを実写化し、ポルノ小説家・木島理生(竹財輝之助)と大学生の久住春彦(猪塚健太)を中心としたラブストーリーである前作は、配信に加え地上波でも放送され、回を重ねるごとに熱いファンの声が増えていった。『ポルノグラファー~インディゴの気分~』では、木島理生と木島の編集担当・城戸士郎(吉田宗洋)の過去を描いていく。
実はBlu-ray&DVD化の予定も続編を作る予定もなかったというが、作品の展開を促したのは、熱心なファンたちの声。主演の竹財はこの”熱”についてどのように感じているのか、今回インタビューした。
■ドラマの影響でアジアから50人も舞台に
――昨年夏にFODで配信されたドラマ『ポルノグラファー』は、大きな反響を呼び、ファンの熱い要望によってBlu-ray&DVD化されたりサウンドトラックが配信されたりと、一大ヒット作になりました。主演の竹財さんも、ファンの熱さは肌で感じられましたか?
『ポルノグラファー』が終わった翌月に舞台をやっていたのですが、中国、韓国、台湾、シンガポール、マレーシアなどからお客さんが50人くらい来てくれたんです。お客さんと触れ合う時間がある作品だったので、聞いてみたら「『ポルノグラファー』を観て、生であなたを観たくて来ました」と。もちろん日本の方にもたくさん来ていただいたんですが、アジアからわざわざというのはすごく驚きましたね。僕はSNSをやっていなくて、放送中の反響は人から聞くくらいだったので、そのとき初めて強く実感しました。
――ついには続編『インディゴの気分』まで生まれることになりました。
『インディゴの気分』をつくったのは、ファンの方々だと思います。なかなか動かない、上の人達を動かすという(笑)すごいことをやってのけている。そういう熱さは今までに感じたことがないもので、ありがたいです。僕らの仕事は自己満足で終わったらダメで、エンタテインメントは観てくださった方のものになるべきだと僕は思ってるんです。そう考えながら全力でつくったものに対して反響があるのは、本当に嬉しいですね。
――以前に清水(一幸)プロデューサーにインタビューをした時、『ポルノグラファー』のキャスティング理由を尋ねたところ、「(竹財さんが)こういう新しいタイプの作品に出ることがさらに上にいくきっかけになるかもしれない、という気持ちでオファーし、彼がそれを受けてくれた形です」とおっしゃっていました。ご自身としては、いかがでしたか?
以前にもコメントでお話している通り、最初は出演を迷ったんです。僕は経験則から役をつくっていくことが多いんですが、男性を愛したことはなかったので。どうしようかなと思っていた時に原作マンガを読んで、木島理生という人間の面白さ、ポルノ小説家という職業の面白さがそれを超えちゃったので、お受けしました。そして実際に演じてみて、「男性だから」じゃなくて、「その人だから」愛せるんだってことを、この作品から教えていただいた気がします。そういう意味ではステップアップというか、新しい感情をいただきました。
――木島理生のどこを「おもしろい」と感じたのでしょうか?
彼が抱えている闇や素直じゃないところ、嘘を言っているのか本心を出しているのか、原作を読んでもわかりづらくて、「これはおもしろいな」と思ったのがひとつです。それから、木島が作家というところですね。僕ら俳優も何かを体現する職業なので、ゼロから何かをつくりだす、創作をする人ゆえの苦しみは、わかるかも、と。「BL」というくくりで見ると、どうしても「男性同士のラブストーリー」ととらえてしまいますが、もちろんそれも大事な要素でありながら、木島に限らず人間の闇というか、人間らしさ――清廉潔白なだけではない部分にすごく興味があるので、そこを体現してみたいなというのが大きかったです。