受付にいなくてもカメラからの通知で宿泊客の対応が可能に

今回、外国人観光客が快適に過ごすことができる環境を構築するため、NIPPONIA SAWARAが運営するドミトリー「HOSTEL Co-EDO SAWARA」、バリューマネジメントが運営するホテル「佐原商家町ホテルNIPPONIA」、佐原の観光スポット10カ所にIoTソリューションが導入された。

具体的には、「フレッツ光」「ギガらくWi-Fi」「ギガらくWi-Fiカメラオプション」「ギガらくサイネージ」「ロボコネクト」が導入された。IoTソリューションの導入を担当したNTT東日本 千葉事業部 コラボレーション推進部の中村聡子氏によると、「ギガらくWi-Fiカメラオプション」はスマートフォンやパソコンからオフィスや店舗の様子を確認できるサービス、「ロボコネクト」はコミュニケーションロボットを活用して、会話機能やカメラ撮影機能などのアプリケーションサービスをクラウド上で提供するサービスとのことだ。

HOSTEL Co-EDO SAWARAの受付には、多言語による観光・施設情報の問い合わせに加え、情報配信が可能なタブレット端末が置かれている。タブレット端末には、QRコードやNFCを用いてユーザーのスマートフォンを特定のURLと紐づけるサービス「スマートプレート」が導入されている。

宿泊客が「スマートプレート」を利用すると、所有しているスマートフォンの設定言語に合わせて施設や観光の情報が配信される。その情報を持って、佐原を観光することができる。「コンシェルジェ」の役割を「スマートプレート」が果たしてくれるわけだ。

スマートプレートでは、利用者の各施設への時間別来訪者数、利用者属性なども収集可能であり、ホテル側としてはマーケティングに必要なデータを取得することもできる。

加えて、受付にはネットワークカメラも置かれており、来訪者を自動で検知すると、ホテルの従業員に通知が送られる仕組みになっている。つまり、受付にいなくても、宿泊客が来たらわかるというわけだ。

さらに、共有施設に置かれているコミュニケーションロボットの「Sota」とデジタルサイネージも宿泊客をサポートする。「Sota」は「ロボコネクト」に接続することで、対話、顔認識、見守り、プレゼンテーション、写真撮影などが行える。デジタルサイネージでは、佐原の周辺地図など、観光スポットの情報を展示している。デジタルサイネージを見れば、ホテルの従業員に聞かなくても、一通りの佐原の観光情報を得ることが可能だ。

  • HOSTEL Co-EDO SAWARAの受付

  • 「スマートプレート」が導入されているタブレット端末とネットワークカメラ

  • HOSTEL Co-EDO SAWARAの客室。客室にも「スマートプレート」の案内が置かれている

IT活用で効率化した分、おもてなしに注力を

OSTEL Co-EDO SAWARA 宿泊マネージャー 柳瀬健介氏

現在、HOSTEL Co-EDO SAWARAの運営は、宿泊マネージャーの柳瀬健介氏が1人で切り盛りしている。それが実現できているのは、上記のIoTソリューションがあるからだ。同氏によると、本来であれば、HOSTEL Co-EDO SAWARAの運営には3人の従業員が必要だという。

柳瀬氏に、IoTソリューションの使い勝手を聞いてみたところ、次のような答えが返ってきた。

「受付を離れて客室の掃除などをしている時に、お客様がいらしたとしても、ネットワークカメラから通知が来るので、すぐに受付に向かうことができます。また、施設や観光の情報をデジタルサイネージサイネージで情報収集をしているお客さまが多く、便利に使っていただいているようです」

2018年6月からIoTソリューションを導入し、確実に効果を感じているようだ。その反面、柳瀬氏は「改善点も見えてきた」と語る。その1つがデジタルサイネージのコンテンツだ。現在、1つのコンテンツを流す形で表示しているため、見たいコンテンツが流れるまで待たなければならない。そこで、メニュー画面を作れば、見たいコンテンツにすぐにアクセスできるようになる。また、「Sota」については、効果的な使い方を模索中だ。今後、Sotaにカメラの機能を導入して、おもてなしをすることを計画しているという。

柳瀬氏は英語が堪能であるほか、旅行業の資格も持っていることから、「ホテル業務のうち、自動化できるものはITを活用して、空いた時間をおもてなしに当てたい」と話す。