オリンパスのマイクロフォーサーズミラーレスの最上位モデル「OM-D E-M1X」は独自のさまざまな撮影機能を搭載しており、先日開催されたカメラ展示会「CP+」でもタッチ&トライコーナーが人気を集めていました。

前回掲載した「オリンパス『OM-D E-M1X』、常識破りの撮影機能を試す【前編】」では、そんな多くの独自機能のなかから手持ちハイレゾショット機能と、最高7.5段の補正効果が得られる5軸手ブレ補正機能の実力をチェックしました。後編となる今回は、「インテリジェント被写体認識AF機能」と「ライブND機能」の実力を検証したいと思います。

  • オリンパスが2月下旬に発売したミラーレスのフラッグシップモデル「OM-D E-M1X」。ボディー単体モデルの実売価格は税込み36万5000円前後

ドライバーや運転席にピントを合わせる「インテリジェント被写体認識AF」

インテリジェント被写体認識AF機能は、フォーミュラーカーのドライバーやバイクのヘルメットを認識し、そこにピントを合わせる機能です。一般的なオートフォーカスでは、カメラに近いノーズ(車体の先端部)にピントが合ってしまうことが多いのですが、いわゆるAI(機械学習)を活用することで被写体が何であるかを認識し、ノーズよりも奥にあるドライバーやヘルメットにピントを合わせる機能です。ほかにも、航空機やヘリコプターなどのコックピットや、鉄道車両の運転席などを認識してピントを合わせられるといいます。

実際に試してみたところ、該当する被写体への捕捉精度はかなり高く、まるでカメラが意識を持っているかのように感じました。動いているものを撮影する場合、どこのAFエリアを選択したらよいか迷うことも多いのですが、そんな不安を払拭してくれる実用性の高い機能だと実感できました。近い将来、ピントを合わせたい被写体をカメラに記憶させておき、いざ実物にカメラを向けると顔認識AFのように自動的にピントを合わせ続ける、というような機能も出てくるかもしれません。

  • 鉄道車両の場合、インテリジェント被写体認識AFではフロントウインドウを認識してピントを合わせます。撮影者は、被写体と選択したAFエリアの重なり具合や、ピントの状態などを気にする必要がなく、ひたすらフレーミングに集中できます

  • インテリジェント被写体認識AFは「C-AF+TR(追尾AF)」を選択すると自動的に機能します。こちらも、運転席のフロントウィンドウをしっかり捕捉してくれました。流し撮りの腕のなさは大目に見てください……(笑)

  • フロントウインドウが特殊な形状の車両もしっかり捕捉してくれます。デフォルト設定の場合、それまで捕捉していた被写体の前を別の被写体が横切ったときなど、そちらを捕捉してしまうことがあるので注意が必要です

  • 都電を正面から狙ってみました。車両と線路のバランスを考えてアングルを変えながら撮影しましたが、終始捕捉し続けていました。通常のAFでも問題のないシチュエーションですが、安心感は被写体認識AFのほうが断然勝ります

  • インテリジェント被写体認識AFは、旅客機の撮影でも有効です。写真は、誘導路をタキシングする旅客機を狙ったものですが、コックピットの窓周辺を被写体認識AFが捕捉してピントを合わせ続けました