放送されるたびにネット上で話題を呼んだドラマ『3年A組 -今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系 毎週日曜22:30~)が、3月10日に最終回を迎える。美術教師・柊一颯を演じる菅田将暉と、生徒役たちとの熱い演技合戦が物語の柱となっているが、忘れてならないのが脇役たち。
中でも、土村芳が演じた相楽文香は第1話から謎めいた存在として登場し、ストーリー展開の鍵に。「元咲宮高校教師」「一颯の元交際相手」「武智(田辺誠一)の悪事を告発しようとして脅されていた」など徐々に人物像が明らかになった。
“教室の外”から、土村はどのようにこの作品と向き合ったのか。最終回直前、深層を探った。
■「次の台本はいつ?」のプレッシャー
――先日、第5話の放送後に今田美桜さんを取材する機会があったのですが、その時点では最終回の台本をもらっていないとおっしゃっていました。土村さんも同じように結末を知らされないまま、撮影が進んだのですか?
同じだったと思います。台本が来るまでは、次に何が起こるのか分からない状況で。衣装合わせの時、プロデューサーさんにドラマが伝えたいメッセージや文香の人物像を大まかにおうかがいして、撮影が始まってからは、「次の台本はいつ来るんだろう……」とずっとソワソワしている状態(笑)。文香が最後にどうなるのかは、クランクインする時には分かってなかったです。
――急展開に毎回驚かされていますが、その衝撃を最初に受けるのは台本を開く出演者の方々なんですね。
衝撃です! 本当のお父さんの話も途中で教えていただいて、ビックリしました(笑)。1話では、何も情報がないまま文香が突然出てきて。台本だけでは文香の情報を集めきれないので、撮影の合間にプロデューサーさんに質問をしつつ、人物像としては見えない部分ではあるんですけど、情報を集めて1つの「線」にしていくような作業でした。
――どんなことを聞いたんですか?
「心を病んでいる」としか聞いてなかったので、どのくらいの傷を負っているのか、とか。文香は、「外の世界に対する恐怖」で出ることができなくなって、自分の殻に閉じこもりながら、過去の出来事に対して「どうすべきだったのか」をずっと悩んでいて。「心を病んでいる」と周りには言われますが、本人としては「病ではない」という受けとめ方をしています。
――それらの心理描写は、台本上ではどのように書かれていたんですか?
説明はほとんどなくて、最初の頃は、「部屋に座っている文香」「テレビを観ている文香」にセリフが一言、二言ぐらいある程度でした。その分、自分が出ているシーン以外のところにも目を向けて、その時点で学校や世間のことがどれぐらい文香に伝わっているのか、父親のことをどのくらい怪しいと感じ始めたのかとか、確認しながらの撮影でした。あとはオンエアを観たり。父親役の矢島(健一)さんも、文香がどうして引きこもってしまったのか、ご存知じゃなかったぐらいで(笑)。