――そういう心理描写は台本に詳細に書かれているものですか?
細かくは書かれてませんが、監督やプロデューサーさんと話し合っています。単純にハッとさせられて涙するものではないと思っていたので、5話では「どうやって心を持っていけばいいんだろう」というのは、すごく悩みました。4話までのみんなの演技を目の前で見ていたので、そのプレッシャーがすごくて。撮影の前日、寝られないんじゃないかと思うくらい。結局、眠れたんですけど(笑)。
――「私はこうして生きてきた」「生きるしかなかった」というセリフが、とても印象的でした。今田さんにも初めのころは不遇の時代がありましたよね。このセリフと当時の自分を重ねることはなかったんですか?
たしかにそうですね! 言われてみればそうですが、全く重ねなかったです。唯月のことしか考えていなかったので。唯月は事務所に入るために、まず200万円が必要で、夢を叶えるために喜志と付き合って。そういう苦しい状況に追い込まれていますが、夢を追いかけているという意味では理想ですよね。
――手段や目的は人それぞれ違いますが、夢に向かう気持ちは同じよね。今田さんが諦めずにここまで来られたのは、何が支えだと思いますか?
そうですね……演じることに対しての気持ちの変化はありません。でも、「『3年A組』観てます」とか声を掛けてもらえたり、SNSでコメントいただくことも増えたり、そういったみなさんの声は「がんばらないと!」という励み、原動力にはなります。
■「やりたいことに真っ直ぐに、ブレずに生きる」
――「Yahoo!検索大賞」「#MVI(Most Valuable Instagrammer in Japan)2018」など、2018年は世間の評価が形になった年でした。ご自身としては、どのように捉えていますか?
パソコンの授業でも使っていたヤフーでそんな賞をいただけるなんて、思ってもみなかったですし、インスタグラムでもたくさんフォローしていただいて。正直、自分が一番驚いています(笑)。でも、うれしいです。私のことを検索して、知ろうとしてくださっている。がんばりたいなと思います。
――芝居がやりたくて上京し、2018年は今までで最も芝居に触れる機会が多かった年でもあったと思います。柔軟に対応できましたか?
『記憶』と『花晴れ』が少し重なったぐらいで、あとは1つ1つの作品と向き合うことができました。でも、毎回やらせていただく役も全部違いますし、反省することもあります。「この子だったら、どんなことを考えるんだろう」と悩む日々で、結果的には「どの役も難しい!」となりました(笑)。
――『3年A組』では、澪奈の「ブレずに生きる」姿が周囲の生徒にも影響を与えています。視聴者の中には、自分と重ね合わせながらご覧になっている方もいると思います。簡単そうで難しい、でも理想的な生き方。『3年A組』には、それを貫いた方々が集まっているともいえます。
やりたいことに真っ直ぐに、ブレずに生きる。みんなやりたいことにまっすぐでいたい。だけど、それが出来る人はなかなかいない。やりたいことを貫き通すことができる人ってそうそういない。私も高校生の時に、すごく進路で迷ったときがあったので、やりたいことにまっすぐというか、ちゃんと親とかに伝えられて、それを受け入れてくれて、今もこうして続けられていることはすごく幸せなことだと思います。「やりたいことにまっすぐ」「ブレずに生きる」というのも、わりとシンプルな言葉ですけど、結構奥深いなと思います。卒業間近の方とか、そうじゃない方ももちろんですが、ドラマを通して考えてもらえたらいいなと思います。
――ブレずに生きた結果、「Yahoo!検索大賞」にも選ばれたわけですからね。
きっとブレた時もあったかもしれないですけど、事務所のみなさんに引き戻していただいたこともあったと思います。社長とスタッフさんには、感謝しても感謝しきれないくらいです。
■プロフィール
今田美桜(いまだ・みお)
1997年3月5日生まれ。福岡県出身。身長157センチ。A型。高校2年生の時にスカウトされ、福岡のモデル事務所に所属。高校卒業後、現事務所の社長にスカウトされ、2016年8月に上京。「福岡で1番かわいい女の子」と注目を集め、2018年は『記憶』(フジテレビNEXT/J:COM)、『花のち晴れ~花男 Next Season~』(TBS)、『SUIT/スーツ』(フジテレビ)などのドラマに出演した。出演映画『君は月夜に光り輝く』も3月15日に公開を控えている。