ここからは、グループインタビューでの田嶋氏の受け答えの様子をお届けします。
――Xperia 1は、非常にニッチな層をターゲットとしているように感じますが、勝算はありますか。
ニッチという言葉は使わないようにしてますが、ターゲットユーザーをがっちり掴むというところを今回の最大の目標としています。そのターゲットユーザーをがっちり掴めると、そこから波及効果があると思います。競合との規模感が全く異なりますので、競合と同じことをやっているとどのユーザーも取れないと思います。
まずは頂点のユーザーを掴んで、そこから少しずつ広げて行こうと思います。決してそこだけでとどまろうとは思っていません。ソニーしかできないことをぶれずにやっていこうと思います。
――尖った部分を狙って行く戦略からは、キャリアビジネスではなくてオープンマーケットのほうがしっくりくると思うのですが。
そこについては検討はしていますがコメントできる段階ではありません。ただ、好きを極めたいお客様がどこで買っているかという部分は大事なポイントだと思いますので、鋭意勉強していきたと思います。
――1から生まれ変わりたいと思った背景は?
議論の中で、やはり競合の動きは気になりました。その中でソニーにしかできないユニークな価値を出さないと存在意義がない、ということと、ソニーは世界中のユーザーに楽しんでいただくポジティブなブランドではないか、ということで、本来のクリエイティブエンターテインメントに戻るとともに、コンテンツで勝負しよう、という結論になりました。
――やめてしまおう、という議論はありませんでしたか。また、過去のシリーズで何か反省のようなものはありましたか。
「やめる」ということは、自分たちから口にしてはいけないと思っていましたし、あきらめちゃいけないと思っていました。ただ、どこかに集中しないといけないな、という議論にはなりました。
過去シリーズの振り返りはもちろんやりました。XシリーズやXZシリーズでは市場を読み違えたと思います。その当時は、必要最小限な機能で手ごろな価格の製品が売れるようになると考えてXシリーズを始めたのですが、テクノロジーイノベーションの流れは止まらず、ユーザーもそちらに行ってしまいました。その読み違えは反省点です。
ただ、XZの開発を行っていた3年間に、チップセットパートナーやOSパートナーと、じっくりパフォーマンスやインテリジェンスなどの熟成が行えた点は良かったと思っています。
――カメラでは、これまでレンズを増やすことに抵抗感があったように思います。今回一気にレンズを3つに増やしましたが、考え方の変化はどういったものだったのでしょうか。
今回は、コンテンツを作る体験を研ぎ澄まそうとしたときに、ユーザーのクリエイティビティを最大限引き出す方法を考えました。そこでレンズを取り替えて画角を変えることはクリエイティビティにつながるため、(3眼カメラは)レンズ交換式カメラと考えてレンズを付けようと発想を変えたところ、すんなり抵抗なく採用するという議論となりました。
つまり、レンズを変えてクリエイティビティを刺激していいコンテンツを作るためのトリプルレンズカメラ、と位置付けました。