さて、本製品を使い始めてまず最初に感じるのは、手首がある程度持ち上がった状態でないと、操作がしづらいということだ。
マウスの握り方には、全体を手のひらで覆う「かぶせ持ち」と、両サイドをつまむ「つまみ持ち」に大別されるが、本製品はかなりサイズが大きいため、手の大きさが標準以下だと、自然と前者の握り方となる。マウス自体が傾いているので「かぶせ持ち」という表現は微妙に違和感があるが、手全体を密着させて持つという点では紛れもなくこちらだ。
ところが、この「かぶせ持ち」では、手首の付け根をデスクにつけるために手首を下に押し付けなくてはならず、自然な操作ができない。本製品は上部に操作系が集中しているために、手首そのものが宙に浮いた形になってしまうのだ。もう少し緩く持つ方法もあるが、そうすると左右ボタンはギリギリ押せても、ホイールに指が届かなくなる。
持ち方のストレスはパームレストで解消
そこでパームレストなどを使って手首を1~2cmほど持ち上げた状態を作ってやると、手のひらの付け根を軸にマウスを動かすのが容易になる。筆者の手は平均より大きいほうだが、このほうが明らかに動かしやすい。こうした症状を見る限り、手が大きい欧米人にとっては使いやすくても、日本人には大きすぎるのではないか、と思わなくもない。
もうひとつのネックは、本体を上につまんで持ち上げにくいことだ。一般的に、マウスの操作中は、本体を持ち上げ、手首の先でしゃくるような操作を無意識に行っていることが多いが、本製品はそうした動かし方が苦手だ。
なぜかというと、本製品は頂点に向かって幅が狭くなるデザインになっており、左右からつまんで持ち上げようとすると、ツルッと滑ってしまうからだ。三角錐を両側からつまんで持ち上げようとする様子を想像してもらうとわかりやすいだろう。慣れの問題ではなく、デザイン自体がそのような性格になっているのは、ちょっと解せないところがある。
本体左側面の2つのボタンは、スイッチが硬めなので、親指でこれらを押そうとすると、人差し指と中指にも力が入ってしまい、裏側の左右ボタンもつられて押してしまいがちだ。慣れてくれば、人差し指と中指ではなく、薬指と小指に力を入れることで、誤クリックを防げるようになる。
本体上部のボタンはマウスを動かしながら押すのは難しく、マウスの操作をいったん止めて押す形になる。もともとこのボタンはカーソル速度の切り替えるためのもので、動かしながら押すことは想定されていないのだろう。親指が届く位置に無理なくレイアウトされているのはよいことだが、操作中に押すタイプのショートカットを割り当てるのは、少々厳しいかもしれない。