そして最後に、これらの食材をよりおいしく食べるための方法について解説してもらった。
食材を冷凍するにあたり西川氏が推奨しているのが、調味料を用いて食材を冷凍する「下味冷凍」というテクニックだ。味付けをこの段階でできるだけでなく、調味料が食材をコーティングして乾燥などの冷凍トラブルから守ってくれるメリットがあるという。
上手に下味冷凍をすれば、均一に食材を保護してくれるうえ、下味をつけるという工程を済ませて冷凍するので、調理時間を短くすることが可能。そして、いざ解凍したときはしっとりと仕上がるなど、いいことだらけなのだ。特に砂糖やみりん、はちみつなどの糖分を含む調味料は保水作用があるので、よりその傾向が強いそう。
下味解凍の方法は?
下味冷凍には2つのパターンがある。1つは、醤油やみりん、オリーブオイルと塩など、シンプルに下味をつけたもの。こちらは、解凍後の調理次第でいろいろなメニューに活用できるようになっている。
もう1つは、食材を生姜焼きのたれや香草とオリーブオイル、タンドリーチキンのたれなどに漬け込み、あとは火を通すだけで調理が完成するパターンだ。いろいろなメニューには転用しにくいが、手軽に1品を増やせるのが嬉しいところ。
基本的には、下味をつける料理ならば、その段階でなんでも冷凍できるそうなので、お好みの料理や味付けをして冷凍してしまおう。その際は「均等にムラなく味をつける」点に留意したい。
冷凍王子直伝の下味冷凍レシピ
味付けだけでなく、食材のおいしさを守ってくれる下味冷凍。せっかくなので、「冷凍王子」の西川氏に、おススメの下味冷凍レシピを教えてもらった。
みそみりんヨーグルト漬けのごま焼き
材料(2人分)
下味冷凍した「魚のみそみりんヨーグルト漬け」 2切れ / いり白ごま 適量 / ししとうがらし 6本 / しいたけ 2枚
つくり方
1.魚は塩少々(分量外)を振って5分おく。
2.ジッパー袋に無糖ヨーグルト(150g)とみそ(大さじ2)、みりん(大さじ1)を入れ、バッグの上からよくもんで混ぜ合わせる。
3.1の魚の余分な水分をふき取り、2に入れ、なるべく空気を抜いてジッパー袋を閉めてよくなじませる。薄く平らにならし、そのまま冷凍保存する。
4.調理前に下味冷凍した「魚のみそみりんヨーグルト漬け」を氷水解凍または冷蔵室に置いて解凍しておく。
5.4の「魚のみそみりんヨーグルト漬け」の漬けだれをぬぐい、表裏にごまをまぶしつける。
6.フライパン用ホイルを敷いたフライパンに5を乗せ、弱火で両面を3~4分ずつ焼く。途中、空いたスペースにししとうがらしと、3~4等分に切ったしいたけも入れ、同時に焼く。
7.6の魚が焼けたら取り出し、ししとうがらしとしいたけに残った漬けだれを少々加え、からめながら焼く。
豚とチンゲン菜の卵炒め
材料(2人分)
下味冷凍した「豚ひき肉オイスターソース味」(250g) / チンゲン菜 1株 / 卵 2個 / マヨネーズ 大さじ1 / サラダ油 小さじ1
つくり方
1.ジッパー袋にオイスターソース(大さじ2)と酒(大さじ1)、みりん(大さじ1)、しょうゆ(大さじ1/2)、ごま油(大さじ1/2)を入れて軽く混ぜ合わせる。
2.1に豚ひき肉を加えて、バッグの外側からよくもんで混ぜる。なるべく空気を抜いてジッパーを閉め、平らにして冷凍保存する。
3.調理前に下味冷凍した「豚ひき肉オイスターソース味」を氷水解凍または冷蔵室に置いて解凍しておく。
4.チンゲン菜はざく切りにする。卵はときほぐしてマヨネーズを加え、よく混ぜ合わせる。
5.フライパンに油を熱して4の卵を流し入れ、中火でふんわりと炒めていったん取り出す。
6.空いたフライパンに3の「豚ひき肉オイスターソース味」を入れて再び火にかけ、中火でほぐしながら炒める。おおむね火が通ったら4のチンゲン菜を加え、ふたをして1分ほど蒸し焼きにし、5の卵を戻し入れ、手早く炒め合わせる。
少し多めに作って冷凍ストックをためていくという発想
冷凍テクニックを活用すれば毎日の調理時間の節約につながり、メニューのバリエーションを広げられる。
西川氏は「週末などにまとめて作り置きすることは皆さんよくされていますが、私は冷凍に関しては料理する日に普段の1.5倍作って、多めに作った分を冷凍することをおすすめしています。そうやって冷凍ストックを作っていけば、いざというときに便利。作り置き料理を作るための時間をわざわざ週末にとるのは大変ですが、料理をする日に1.5倍なら、時間も手間もさほど変わりませんから」と、毎日の調理サイクルの中に「冷凍」を組み込んでいくことが、苦労なくバリエーションを増やすコツだと話す。
下味冷凍など、冷凍王子直伝のテクニックを活用して、毎日の食卓を手軽においしく彩ってみてはいかがだろうか。