歴代平成仮面ライダーが勢ぞろいする映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』の大ヒットを記念して、過去に上映された「平成仮面ライダー」映画の中からファンによって選ばれた2作品を上映する「平成仮面ライダーリバイバル上映イベント」が開催された。2月17日には『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』が上映され、主演の半田健人と東映の白倉伸一郎プロデューサーによる舞台挨拶が行われた。

  • 左から、白倉伸一郎プロデューサー、半田健人

1月18~30日にわたって『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』公式サイトで実施された「平成仮面ライダー映画・あの名作をもう一度!キャンペーン」にて、数ある平成仮面ライダー映画の中から、「みんなで応援したい映画」「もう一度スクリーンで観たい映画」を選出する大アンケートを実施。それぞれ1位に輝いた作品と『仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』との2本立て上映が、2夜にわたって催された。第1夜では「みんなで応援したい映画」の1位である『劇場版 仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ』(2010年/監督:坂本浩一)が上映され、翌日の第2夜では「もう一度スクリーンで観たい映画」の1位となった『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』(2003年/監督:田崎竜太)が上映された。

『パラダイス・ロスト』上映終了直後のステージに、仮面ライダーファイズ/乾巧(いぬい・たくみ)を演じた半田健人と、本作のプロデューサーを務め、現在は『仮面ライダージオウ』を手がけている白倉伸一郎氏が登場した。

テレビシリーズ『仮面ライダー555』(2003年)で乾巧を演じて大ブレイクし、俳優・タレントとして幅広く活躍するようになった半田は、その高い人気ゆえに『555』終了後も2014年の『平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊』や2015年の『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』、そしてネット配信のミニシリーズ『dビデオスペシャル 仮面ライダー4号』と、たびたび「平成仮面ライダー」の映画作品にゲスト出演する機会を持った。このことを受けて、半田は「呼んでいただくたびに、自分はいくつになっても"たっくん(劇中での巧の愛称)"でいなきゃいけないな、という自覚のようなものをひしひしと感じます」と、仮面ライダーファンの熱い思いに応えて感想を述べた。

半田は『パラダイス・ロスト』が「もう一度スクリーンで観たい」仮面ライダー映画の1位に選ばれたことについて「やはり映画は大きなスクリーンで上映されるのを前提に作られていますので、このような形(劇場)がいちばん望ましい。1位に選んでもらえたのはとても光栄で、ありがたい」とファンに感謝の気持ちを表した。

白倉氏は「日本映画監督協会でのイベントが数年前にあり、そこでもこの映画が上映されたことがあった」と、『パラダイス・ロスト』の根強い人気を実例として挙げた。半田が「僕はそのとき、最前列で観ていました」と言うと、白倉氏がすかさず「僕はその真後ろで、半田の頭がジャマだなと思って観ていました」とジョークで返し、観客を笑わせた。白倉氏自身も『パラダイス・ロスト』を10数年ぶりに観て「この映画すげえなと、他人事のように楽しめた。(田崎)監督すごい」と感想を述べ、本作の完成度の高さに改めて驚く様子を見せた。

『パラダイス・ロスト』では、さいたまスーパーアリーナにて1万人ものエキストラを募り、「超満員のオルフェノクに囲まれて、巧(ファイズ)と仮面ライダーサイガ、ならびに仮面ライダーオーガが決戦を迎える」というクライマックスシーンの迫力が今なお語り草になっている。半田は1万人ものエキストラ参加者を前にしての演技について、「当時、僕は19歳になったばかりで、芸歴もまだ1年たっていない時期。そんなころに1万人ものエキストラのみなさんがひしめく中で、いつもどおり芝居をしろというのはムリな話ですよ」と、かなりの緊張があったことを打ち明けた。白倉氏が「半田健人が!?」と意外そうなリアクションを取ると、「田崎監督によれば、あの現場でいつもと同じように芝居ができたのは芳賀優里亜だけだった」と、ヒロインの園田真理を演じた芳賀優里亜の肝のすわった女優魂の凄さを語った。

改めて1万人エキストラの撮影状況をふりかえった半田は、「エキストラの方々の、撮影スタッフへの協力体制がすばらしかった。みなさんの芝居が完璧すぎて、逆に僕らがNGを出すわけにはいかないというプレッシャーがありました」と、膨大な人数のエキストラのひとりひとりが「オルフェノク」という役柄を意識して、ちゃんと演技をしていたことに感銘を受けたと話していた。ここで「当時、エキストラに参加された方ってこちらに来ていらっしゃいますか」と尋ねた白倉氏が、数名の観客から手が挙がったのを観て感激しつつ「ありがとうございます」と礼を言う場面も見られた。さらにエキストラについての裏話として白倉氏が打ち明けたのは、「みなさんのお名前をエンドクレジットに並べて『THANK YOU!』の文字を作るためプログラムを組んで、6時間くらいかけて手作業でやりました」と、エキストラ参加者に感謝の思いを込めた特製エンドクレジットの製作秘話であった。

半田は映画の思い出として「初日に3時間の大遅刻をしてしまった。理由は寝坊です! 唐橋(充)さんや溝呂木(賢)さんは緊張して眠れなかったと話していましたが、僕はガースカ寝ていまして、翌日目を覚ましたのが撮影場所に着いていなければいけない時間だった」という失敗談を語った。ちなみに当日の様子は『パラダイス・ロスト』のメイキングが収録されたDVD『555(ファイズ)リポート』を参照してほしいとのことだった。