続いて、補正効果が最大7.5段分にまで引き上げられた5軸手ブレ補正機構の実力をチェックしてみました。

7.5段分の補正効果が得られるのは、レンズ内手ブレ補正機構を搭載する「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」と組み合わせて「5軸シンクロ手ブレ補正」が働いた場合。それ以外のレンズを装着した場合はボディー内手ブレ補正機構のみが働き、最大7段分の補正効果となります。

補正効果を確かめるべく、実際にスローシャッターでの手持ち撮影を試してみました。意識してカメラをしっかりと構える必要はありますが、広角域から標準域までの焦点距離であれば、2秒ものシャッター速度でも手ブレの発生が大幅に抑えられました。さすがに4秒では手ブレを完全に防ぐことはできませんでしたが、まったく使えない失敗写真にはならず、リサイズしてSNSなどで使う分には問題ないほどの小さなブレに抑えられました。

  • (1/30秒、ISO4000)

  • (1/15秒、ISO2000)

  • (1/8秒、ISO1000)

  • (1/4秒、ISO500)

  • (1/2秒、ISO250)

  • (1秒、ISO200)

  • M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROで撮影。E-M1Xとの組み合わせで約7.5段分の補正効果が得られる唯一の交換レンズです。ちょっと意地悪をして、テレ端の100mm(35mm判換算では200mm相当)で撮影してみました。さすがにシャッター速度が2秒以上となるとブレの発生が散見されますが、1秒以下のシャッター速度ではブレの発生は見当たりません。200mm相当の望遠でもこれほどの効果が得られるとは、正直驚きました。三脚いらずのカメラといっても過言ではないでしょう(2秒、ISO200)

  • (1/4秒、ISO200)

  • (1/2秒、ISO200)

  • (1秒、ISO200)

  • (2秒、ISO200)

  • 大胆にも、シャッター速度4秒から1段ステップで1/4秒まで撮影。レンズは、7段分の補正効果が期待できる「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」を使用しました。さすがに4秒ではわずかにブレが発生し、シャープネスに欠ける仕上がりになりましたが、ブレの量はとても4秒での撮影とは思えません。2秒ではブレの発生は見受けられず、等倍でも満足できます(4秒、ISO200)

  • (1/4秒、ISO320)

  • (1/2秒、ISO200)

  • (1秒、ISO200)

  • (2秒、ISO200)

  • こちらもM.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PROで撮影した写真です。やはり、4秒のシャッター速度の結果は厳しめですが、2秒ではブレの発生はありません。夜景撮影イコール三脚が必須、という概念を打ち消してくれる素晴らしい機能だと感じました。恐るべし、OM-D E-M1X!(4秒、ISO200)

現行のOM-D E-M1 Mark IIは、ボディー単体で5.5段分相当、12-100mmと組み合わせた場合は6.5段分相当の補正効果を持っています。補正効果の高さは十分すぎる内容でしたが、E-M1Xはそれ以上に補正効果が高くなり、たいへん心強く感じられました。シャッター速度が稼げることで感度の上昇が抑えられ、より精細な仕上がりが得られるのは大きな魅力といえます。

バッテリー撮影枚数は十分、USB充電にも対応

E-M1Xのバッテリーは、E-M1 Mark IIと同じリチウムイオン充電池「BLH-1」を使用しますが、E-M1Xは同時に2つ装着できるのがアドバンテージです(1個だけでも動きます)。2つ装着した際の撮影可能コマ数は約870枚と十分で、今回の作例撮影でもバッテリー切れを気にすることなく余裕を持って撮影できました。高速連写を多用するスポーツやポートレートなどの撮影でも、バッテリー交換の手間が少なくなるでしょう。三脚にカメラをセットしたまま交換できることや、USB充電に対応したことも頼もしく感じます。

  • バッテリーホルダーには、リチウムイオン充電池「BLH-1」が2個装着できます。両方ともフル充電の場合、約870枚もの撮影が可能。1個だけのみホルダーに装填してもカメラは動きますが、持ったときのバランスがあまりよく感じられませんでした

次回の後編では、AIで特定の被写体にピントを合わせ続ける「インテリジェント被写体認識AF」や、ボディー内でNDフィルターの効果を切り替えられる「ライブND」の実力を検証したいと思います。

著者プロフィール
大浦タケシ

大浦タケシ

宮崎県都城市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、雑誌カメラマンやデザイン企画会社を経てフォトグラファーとして独立。以後、カメラ誌および一般紙、Web媒体を中心に多方面で活動を行う。2018年は写真展(個展)が開催できず猛省。今年は少なくとも写真を撮りため、写真展の足がかりをつくりたいと考えています。日本写真家協会(JPS)会員。