続いて、補正効果が最大7.5段分にまで引き上げられた5軸手ブレ補正機構の実力をチェックしてみました。
7.5段分の補正効果が得られるのは、レンズ内手ブレ補正機構を搭載する「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」と組み合わせて「5軸シンクロ手ブレ補正」が働いた場合。それ以外のレンズを装着した場合はボディー内手ブレ補正機構のみが働き、最大7段分の補正効果となります。
補正効果を確かめるべく、実際にスローシャッターでの手持ち撮影を試してみました。意識してカメラをしっかりと構える必要はありますが、広角域から標準域までの焦点距離であれば、2秒ものシャッター速度でも手ブレの発生が大幅に抑えられました。さすがに4秒では手ブレを完全に防ぐことはできませんでしたが、まったく使えない失敗写真にはならず、リサイズしてSNSなどで使う分には問題ないほどの小さなブレに抑えられました。
現行のOM-D E-M1 Mark IIは、ボディー単体で5.5段分相当、12-100mmと組み合わせた場合は6.5段分相当の補正効果を持っています。補正効果の高さは十分すぎる内容でしたが、E-M1Xはそれ以上に補正効果が高くなり、たいへん心強く感じられました。シャッター速度が稼げることで感度の上昇が抑えられ、より精細な仕上がりが得られるのは大きな魅力といえます。
バッテリー撮影枚数は十分、USB充電にも対応
E-M1Xのバッテリーは、E-M1 Mark IIと同じリチウムイオン充電池「BLH-1」を使用しますが、E-M1Xは同時に2つ装着できるのがアドバンテージです(1個だけでも動きます)。2つ装着した際の撮影可能コマ数は約870枚と十分で、今回の作例撮影でもバッテリー切れを気にすることなく余裕を持って撮影できました。高速連写を多用するスポーツやポートレートなどの撮影でも、バッテリー交換の手間が少なくなるでしょう。三脚にカメラをセットしたまま交換できることや、USB充電に対応したことも頼もしく感じます。
次回の後編では、AIで特定の被写体にピントを合わせ続ける「インテリジェント被写体認識AF」や、ボディー内でNDフィルターの効果を切り替えられる「ライブND」の実力を検証したいと思います。
著者プロフィール
大浦タケシ
宮崎県都城市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、雑誌カメラマンやデザイン企画会社を経てフォトグラファーとして独立。以後、カメラ誌および一般紙、Web媒体を中心に多方面で活動を行う。2018年は写真展(個展)が開催できず猛省。今年は少なくとも写真を撮りため、写真展の足がかりをつくりたいと考えています。日本写真家協会(JPS)会員。