――最近は芸人さんがドラマに出ることも、定着していますが、芸人さんがすんなり演技できるのは、やっぱり漫才やコントをしていることと関係があるんでしょうか。

そうですね。コントも漫才も、演じる部分がありますから。僕らの場合は漫才なので、素の自分を残したまま演じないといけないんですね。でも、ドラマってそうじゃなくて、違う人間にならないといけない。そこの難しさは感じます。漫才やってるときの演技じゃダメだなということは感じます。

――今後も演技は続けたいですか?

またチャンスがあるのならば。ただ、ミスするとその場の方に申し訳ないので、なるべくセリフが少ない役がいいなと思いますね(笑)。昔からドラマを見るのは好きなので、セリフの少ないキープレイヤーでやりたいです(笑)。

■親に黙ったまま芸人に

――ドラマ撮影時期は、ちょうどM-1グランプリの予選中でしたが、予選の空気はいかがでしたか?

周りの人から言われたのは、僕らが予選に出ると、空気が変わるということは言われました。しっかり聞く態勢になるというか。

――それは、期待されてるとかそういうことなんですかね。

明るい会場なんですけど、「さあ聞かせてもらおうか」という空気になるのはちょっとやりにくかったところもありました。というのも、聞いてる方に緊張感があるということは、フラットに、気楽に笑ってもらえないということなんで。

――この作品は高校生の話ですが、ご自身の高校時代はいかがでしたか?

僕は高校時代はサッカー部でした。周りを笑わせるタイプで、わりと騒がしいグループにはいましたが、学校は嫌いじゃなかったので、遅刻はするけど毎日学校には行ってました。学校終わったら、海に行ったり、川で泳いだりしてました。

――ドラマの中では、母と息子の葛藤も描かれていましたが、そういう思い出は?

僕は自分のやりたいことを親に黙ったままで芸人になったので、そういう葛藤はなかったですね。高校時代に、ドラマの中みたいに、やりたいことやたりたくないことを言いあえる関係性というのもいいなと思いました。

――芸人になったことをご家族が知ったのは?

芸人になるって言わんままなりまして。なって数年経って、関西の漫才のコンテストの決勝戦のテレビを見て知ったので、親からしたら、本気でやってる状態ってことはわかったので。心配はされましたが、やめろとは言われませんでした。

――最後に、このドラマは愛媛で放送で、配信で全国の方にも見てもらえるとのことで、ドラマを見る人におススメポイントをお願いします。

見終わったら、もっと家族を大切にせないかんなとか、自分って家族に大切にされてたんやなと思えるような話になってますので、ぜひ見てください。

■水田信二
1980年4月15日生まれ、愛媛県伊予市出身。2006年に川西賢志郎とお笑いコンビ・和牛を結成し、ボケ担当。和牛結成時より『M-1グランプリ』に出場し、2015年以降は4大会全て決勝に進み、うち3大会で準優勝している。今回はドラマ『恋する 肉食べ女子』(18年)、映画『家族のはなし』(18年)に続く、3回目の役者としての出演となる。

■著者プロフィール
西森路代
ライター。地方のOLを経て上京。派遣社員、編集プロダクション勤務を経てフリーに。香港、台湾、韓国、日本などアジアのエンターテイメントと、女性の生き方について執筆中。現在、TBS RADIO「文化系トーラジオLIFE」にも出演中。著書に『K-POPがアジアを制覇する』(原書房)、共著に『女子会2.0』(NHK出版)などがある。