――竹山さんはAbemaTVやGYAO!でも番組をやってらっしゃいますが、インターネットの配信番組は「地上波ではできないこと」というのを売りにしてやってたりするじゃないですか。地上波でも戦ってる竹山さんとしては、そういう傾向をどう受け止めているんですか?
もちろん、AbemaもGYAO!も「地上波でできないことをやろう」というコンセプトはありますけど、「より過激なことをやろう」という考え方は排除されていますよね。どエロとか、そういうことをやって勝ってもしょうがないだろうという雰囲気がありますよ。だから、テレビ番組もインターネット番組も、同じになってくると思います。Abemaとかは視聴者の年代がそれぞれ何%って全部データが出るから、それを見させてもらったりするんですけど、視聴者層はこれからテレビもネットも関係なくなってくると思いますね。ネットのほうが資金的に持てばの話ですけど、あと10年経ってもっとテレビとネットが並んだときにどうなるのかなと思いますけどね。
――ネットのほうが丸くなってきてるというイメージですかね?
ネットの番組が始まったときは、やっぱり「打倒地上波で行こうぜ」って尖ってたと思うんですけど、会社もだんだん大きくなってきて、「わざとそう言うのはやめよう」とか「おかしなことはやめよう」ってなってきてるから。ただ、「言いたいことはちゃんと言いましょう」というスタンスではありますね。今の地上波は「言いたいことがあってもそれはいろんな関係があるからちょっと待ってください」っていうのが現状。でも、それに視聴者が気づいちゃってる。気づいてるから、本当はそこで逆に行ったほうが面白かったりするのに、なかなか地上波は行かない。そのジレンマというのは感じます。
――ネットにはその自主規制がないと。
逆も逆じゃないほうも普通に流しちゃいますから。特に、テレビでガッツリ育っててないネットで育った子、今の30歳くらいまでの子っていうのは、結構そっちを信用する傾向がありますよね。それはそれで危険だと僕は思うんだけど。
――地上波でも逆に行こうと道を突破するのは、やはり若い制作者に期待する部分もあるのでしょうか?
そうでしょうね。Abemaの藤田(晋社長)さんや、SHOWROOMの前田(裕二社長)くんが出てきたように。ちょっと今までどおりの考え方だと難しいと思います。まず、お茶の間の選択肢が増えちゃってるから。うちだって、普通のおじさんとおばさんの夫婦だけど、地上波・BS・CSだけじゃなく、Amazonプライム・ビデオ、YouTubeも見てますからね。
■系列・メディア超えたコラボを
――竹山さんは、とんねるずの木梨憲武さんがやってる、TBSラジオとGYAO!のコラボに衝撃を受けていましたが、地上波テレビもそういう取り組みをやっていったら、面白いですよね。
それも1つの案だと思いますね。「これもできない、あれもできない」って、結局テレビ局側の都合で、視聴者のことを本当に考えてないと思うんですよ。視聴者って結構グチャグチャになって遊んでるのを見たかったりするんですよね。僕らだって子供の頃、『仮面ライダー』を見ていて、お正月になると“仮面ライダー大集合!”が見たいわけですよ。だから、憲武さんのやってるコラボも、本当にやっちゃうのはすごいなぁってなる。そこにフジテレビが入ってもいいと思うんですよ。
――昔、『27時間テレビ』の生放送でフジとテレ朝、フジとTBSがコラボしたときなんて、ワクワクしました。
自分でもYouTube(『カンニング竹山~拝啓テレビ局様チャンネル』)をやってるんですけど、目的はそれなんです。地方局とかに自分で交渉するんですけど、そうすると、インターネット×テレビ局っていうのはいけるけど、そこにもう1局つけるっていうのがなかなか難しいんですよ。1回、インターネット×福岡の局×名古屋の局っていうコラボが成功しそうになったんですけど、インターネットと名古屋はOKなのに、福岡が名古屋と違う系列だから入れないって言いだして。もうそれは上の方としゃべったけど堅物だから動かない。その部下は「面白い!」って言って動くんですけどね。だから、そういうことができるようになったら楽しいなあと思うんです。
――YouTubeの企画以外でも、積極的に企画をプロデューサーや編成の方などに提案したりするんですか?
しますよしますよ。でも、あくまで演者ですから、局の人からやってくれないと、僕らは動けないですよね。キー局は難しいけど、一番大きいし影響力もあるから、一番素敵な局だと思うんです。だから、テレビでなにかやるなら、やっぱり一番のところがやりがいもあるだろうし、楽しいんだろうなと思いますよね。
●カンニング竹山
1971年生まれ、福岡県出身。92年にお笑いコンビ・カンニングを結成し、“キレ芸”でブレイク。現在は『探偵!ナイトスクープ』(ABCテレビ)、『ラストアイドル』(テレビ朝日)、『偉人たちの健康診断』(NHK BSプレミアム)といったバラエティ番組のほか、『直撃LIVE グッディ!』(水曜、フジ)、『ノンストップ!』(金曜、同)、『ビビット』(月曜、TBS)といった情報番組にコメンテーターとして出演する。この他、『たまむすび』(月曜、TBSラジオ)、『ラストアイドル in AbemaTV』『土曜THE NIGHT』(AbemaTV)、『カンニングの恋愛中毒』(GYAO!)にレギュラー出演、YouTube『カンニング竹山~拝啓テレビ局様チャンネル』を展開。