東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京2020と表記)の開催は、2013年9月にブエノスアイレスのIOC(国際オリンピック委員会)総会で決定しました。そこから開催に向けた整備が本格化しました。すでに5年5カ月が経過しており、残すところは1年6カ月です。
夏季五輪は4年に1度の祭典であり、大会期間中は国内外から非常に多くの人が東京を訪れます。となれば当然、そこにはさまざまなビジネスチャンスが眠っていることでしょう。
そこで本稿では、東京2020の開催までおよび、「その後」に需要が見込まれる職種や資格についてご紹介していきます(本稿はあくまでアイデアであって、詳細なデータの分析や関連企業へのヒヤリングに基づくものではありません)。
ハード面よりソフト面での雇用が増加!?
上述のように、東京2020まで残すところ500日程度です。したがって、競技場や施設の建設といったハード面の整備はかなり進んでいるとみるべきでしょう。また、初めて開催する開発途上国のケースと異なり、競技場や施設以外の、交通やホテルなどの新規のインフラ投資は限定的と考えるべきでしょう。
施設の解体や民間利用への改修など、東京2020終了後に増加が見込める仕事はありそうです。ただし、ハード面では東京2020終了後に反動で需要が減る可能性も認識すべきでしょう。
一方、飲食を含む施設の運営や警備、通訳・翻訳などソフト面はこれからも需要が増えるでしょう。少しでも東京2020に関わりたいのであれば、公式スポンサーや、日本で人気が高い競技種目のスポンサーをチェックしてみるのも一手かもしれません。
東京2020と直接関わらない間接的な需要についても、やはりソフト面での雇用増加が見込めそうです。具体的には、観光業、ホテルや民泊などの宿泊業、飲食業などでしょうか。オリンピックにちなんで、スポーツ振興関連やメディア関連、インバウンドだけでなくアウトバウンドも含めて外国人との交流を前提とした語学関連なども面白いかもしれません。
やや古い資料ですが、リクルートワークス研究所が2014年に発表したレポートによれば、東京2020による雇用創出は81.5万人です。ただしこれは2013年から2020年までの8年間を対象とした予測です。2019-20年の2年間に限れば、38.3万人とのことです。
東京での暮らしはどうなる?
東京2020の開催期間は、オリンピックとパラリンピックを合わせて約1カ月間。開催地域も東京を中心に近隣県のみです。したがって、オリンピックに直接関わらない人が圧倒的に多いわけです。
逆の見方をすれば、開催期間中に首都圏では、東京2020を最も身近に実感することになるでしょう。首都圏を訪れる日本人や外国人は大幅に増えそうです。交通渋滞や電車の混雑、コンビニや商店の会計での長い行列などが想定されます。
首都圏で勤務するビジネスマンにとっては有り難くない話かもしれません。就活する学生にとっても「暑い夏」になりそうです。そうした不便への対応として、バイク便の利用や近郊のサテライトオフィスの使用、ソーシャルメディアを用いた面接、あるいは電子マネーによる簡単決済などが一段と普及するかもしれません。また、首都圏の企業では、時差出勤や自宅勤務、あるいは長期休暇の取得を奨励するところが出てくるかもしれません。