NHKが完全オリジナルのゾンビドラマに挑んだ『ゾンビが来たから人生見つめ直した件』(総合・毎週土曜23:30~23:59 全8回)。タイトルを聞いて、「本当にNHK?」と疑ってしまうが、制作陣にも「ゾンビ好き」が揃う意欲作だ。

物語は、平成元年生まれのアラサー女子3人組を中心に展開する。地元の同級生であるみずほ(石橋菜津美)、柚木(土村芳)、美佐江(瀧内公美)は1つ屋根の下で暮らしている中、近所の山中にある施設が炎上したことを朝のニュースで知る。その頃、街ではゾンビのようなものが発生し、住人を襲い始め……。

絶望的な状況の中、登場人物たちは「自分自身の欲望や生きる意味」に気づきはじめる。今回、柚木を演じた女優・土村芳は、何を思うのか。タイトルに沿って、自身が追い込まれた実体験から「人生見つめ直した瞬間」を振り返ってもらった。

  • 土村芳

    『ゾンビが来たから人生見つめ直した件』に出演する土村芳 撮影:宮田浩史

■ゾンビ愛に溢れたスタッフ陣

――NHKがゾンビ作品。聞いた時は耳を疑いました(笑)。

私もです(笑)。

――柚木はどのような役柄ですか?

すごく自由で、好きなことをして生きています。アラサー同級生3人組を中心に物語が展開するのですが、その中で柚木は十代で止まっているようなキャラクター(笑)。少女のような、天然でマイペース。でも、意外と人を見る目はあったりもする不思議な女性です。

最初に役柄の説明を紙でいただいて、それをもとにリハを重ねつつ、どんどん設定が追加されていったというか。3人の会話では、好き勝手な発言をしつつ、新しい話題を振っていたり、今のところ自分発信が多いです。相手が受け止めようが、受け止めまいが関係ない(笑)。いかに自由に、そして好き勝手にやれるかが課題でした。

――これまでにない役ですね!

確かにそうですね! 楽しい試練として受け止めています。たくさんリハを重ねたのは、やっぱり3人のシーンです。石橋菜津美さん(小池みずほ役)、瀧内公美さん(近藤美佐江役)とは初めてなので、3人の空気感や会話のリズムをつかむためにも、リハはとても重要な時間でした。

劇中では、ゾンビに噛まれた登場人物が人間らしさを残しつつも徐々にゾンビに変わっていきます。ゾンビと人の境界線、何をもって「その人」なのか。そういう考えさせられるテーマも込められています。ゾンビの作り込みも細かくて、ゾンビメイクのエキストラさんに「おつかれさまです」と声を掛けられた時は、本当にビックリしてしまいました(笑)。

  • 土村芳

    『ゾンビが来たから人生見つめ直した件』主要キャスト(左から渡辺大知、土村芳、石橋菜津美、瀧内公美、大東駿介)

――ゾンビが襲ってくる世界では、人間の本性も明るみに。

登山では人の本性が出るとも聞きますが、それと同じなんですかね? チャレンジングな企画なので、制作スタッフの方も気合いが入っているというか、ゾンビのリアクションが面白ければみんなで笑って、すごく活気がある中で楽しく撮影が進んでいます。ゾンビ作品に対する愛に溢れたスタッフさんたちが集まっている現場です。

――ちなみに、これまでゾンビ作品とどのように関わってきたんですか?

映画でもほとんど見てこなかった作品です。実際にこんな世界になるのはイヤ……というか、サバイバルな生活はきっと送れません(笑)。