――『疑惑』は過去に何度か映像化されてきました。そういった点でのプレッシャーはありましたか。
どうしても比べられる対象になりますからね。ただ、松本清張作品はそういうことがほとんどですので、最近は慣れました(笑)。最初に『黒革の手帖』をやったときは、過去にそうそうたる方が出ていたのを見て、大変だなと思いましたけど。
――過去のインタビューで米倉さんは「清張作品を演じるときは松本先生のお墓にお参りに行く」と話されていましたが、今回も行かれましたか。
まだ行けてないんですよ。でも必ず行きたいなと思いますね。
――墓前では、なんとご報告されますか。
お墓をきれいにして、「ああ、スッキリした。今回もありがとうございました」と言うだけですね。
――そして『疑惑』は津川雅彦さんの遺作となりました。津川さんとの思い出をお聞かせください。
「あれをしろ」というよりは、お芝居をする中で「これをやってみる?」ということを結構提案をしていただきましたね。私の中でとても印象に残る俳優さんですし、20年くらいのお付き合いになりましたが、本当にお付き合いできて良かったなと確信しています。さみしいですね、本当に。
■今年挑戦したいことは
――ところで、『疑惑』では悪女を受け止めるという役に挑戦されていますが、今回に限らず、米倉さんは数多くのことに挑戦されてきた印象です。
新しいこと、見たことのない世界に挑むということに対して、なにも感じていないわけではなく、もちろん怖さもあります。ただ、泣いても笑っても、経験したもの勝ちだと考えています。「誰も味わっていないんじゃないか」と足を踏み入れる人生の楽しさというものを、自分自身が健康であるうちは味わっていたいなと思っていますね。
――今年、挑戦したいことがあればお聞かせください。
『CHICAGO』!!(8月1日~4日大阪・オリックス劇場、8月7日~18日東京・東急シアターオーブにて上演予定) 頑張ります!
――楽しみにしております! それでは最後に、『疑惑』の見どころをお聞かせください。
女性が主役で、あちこちで力量を見せている作品になっています。女の怖さがお弁当箱にいっぱい詰まっていますので(笑)、色とりどりの人物像は必見ですね。