Firefox 65の新機能は以下の通り。
トラッキングからの保護を強化:コンテンツブロックの設定オプションが簡易化され、トラッキングを制御するために標準、厳密、カスタムの3つのオプションとなった。 サイト情報パネルのデザインも変更され、コンテンツブロックセクション(アドレスバーの小さな[i]ボタンをクリックすると表示される)には、閲覧したWebサイトでFirefoxが検出、ブロックした内容が表示される。
多言語環境の改善:about:preferencesでは、[言語と外観]セクションがアップデートされた。新たな言語を選択すると、言語パッケージが自動でインストールされ、Firefoxの再起動後に追加される。
macOSでのHandoffをサポート:Mac上のFirefox上で(FirefoxまたはSafari経由)、iOSデバイスで中断したページを表示することができるように。
AV1コーデックをサポート(Windows版):新しいビデオ圧縮コーデック「AV1」をサポート。ロイヤリティフリーのAV1は、HEVC/H.265に代わる動画コーデックとして注目されている。
WebP画像フォーマットをサポート:WebPは、よりコンパクトなファイルサイズで既存のフォーマットと同程度の画質が得られる。この結果、パフォーマンスとWeb互換性が向上した。
新機能を具体的に見ていこう。まずは、トラッキング保護機能の強化。これまでも、「Do Not Track」として、Webサイトからのトラッキング(追跡)を拒否する機能が搭載されていた。Firefox 65では、その設定などを含め、より使いやすくなった。まずは、[オプション]→[プライバシーとセキュリティ]で[コンテンツブロッキング]セクションを表示すると、図5のようになる。
ブロッキングの精度は、[標準]、[厳格]、[カスタム]の3つから選択可能だ。デフォルトは[標準]で、普段の使用ではこの設定で問題ないだろう。[厳格]を設定すると、Webサイトによっては、正しくページ表示が行われないこともあるが、より高いトラッキング対策を施したい場合は選択するとよい。しかし、デメリットもある点も覚えておきたい。
[カスタム]では、Cookieの設定もより細かく設定できる。
実際に、コンテンツブロッキングを使用すると、どうなるかを見てみよう。Webサイトを表示して、アドレスバーにある[i]ボタンをクリックすると、[コンテンツブロッキング]項目が表示される。
さらに、[トラッカー]を選択すると、現時点でトラッキングされている相手が表示される。
メニューの下にある[コンテンツブロッキングを管理]をクリックすると、本ページ上部に掲載した、図5 [コンテンツブロッキング]セクションの画面となる。
トラッキング以外では、[言語と外観]セクションがアップデートされた。
新たな言語パッケージを追加すると、自動的にパッケージがインストールされ、手軽に新しい言語へ対応できるようになった。変更は、再起動後に有効になる。
そして、動画コーデックのAV1、画像フォーマットのWebPがサポートされた。
AV1は、HEVC/H.265に代わる動画コーデックとして注目されている。もっとも大きいのは、ロイヤリティフリーな点であろう。コーデックの性能としてはかなり優秀なので、今後、普及が進むと予想される。そこに対応したのは、ユーザーとしては安心できる。
画像フォーマットWebPへの対応は、さまざまな経緯を経ているが、まずはMozillaの決断に賛成したい。WebPについては批判的な意見もあるが、正しく画像が表示されないページがあるのも、問題といわざるをえない。そういった点が解消されたことは、ユーザーにとってよいことと思う。
Firefox 65の変更点
さて、新機能について見てきたが、Firefox 65の変更点も以下に紹介する。Firefox 65では同時にセキュリティアップデートもなされており、[最高]が4個、[高]が3個、[中]が1個の計8個の脆弱性が修正されている。
macOS、Linux、およびAndroidで、スタックスマッシング保護によるセキュリティを強化した。この変更は、すべてのプラットフォームでデフォルトで有効になっている。「スタックスマッシング」は、悪意を持った攻撃者が破壊や脆弱なプログラムを制御したりするセキュリティ攻撃を指す。
ウィンドウを閉じるときに警告を表示(自動セッション復元が再起動に対して有効・無効かは関係しない)。
より簡単なパフォーマンス管理:about:performanceでは、タスクマネージャページが改良された。タブとアドオンのメモリ使用量を報告する(図11)。
Webサイトによっては、複数のポップアップウィンドウが同時に開かれるのを防ぐためのポップアップブロッカーを改善。
このほか、Windows向けFirefoxでは、32ビットおよび64ビットのMSIインストーラーで利用可能となった。エンタープライズ環境では、利便性が向上するだろう。UI的なアップデートは少なかったが、トラッキング対策について強化されたのが、今回のバージョンの特徴といえる。危険度の高い脆弱性も修正されているため、既存のユーザーはすみやかにアップデートしたほうがよいだろう。