三つ巴の戦いへ
もう一つの新製品は、高温加熱式を採用したプルーム・エスです。低温加熱式は電子たばこのカスタマイズという一面もあるのですが、高温加熱式は電子たばことは異なる仕組み。JTとしては、プルーム・テックでカバーできなかった層にアピールすることが狙いです。
紙巻きたばこに似たたばこスティックを高温で熱して、蒸気を発生させるのが高温加熱式です。iQOS以降、BATのgloが販売され、今回のプルーム・エスで大手3社の製品が出そろいました。
手のひらに収まる本体は曲面を生かしたデザイン。スティック型のiQOS、たばこ箱のような形状のgloに対して、左右非対称のデザインで、収まりのいいデザインです。プルーム・エスのたばこスティック(20本入り)はレギュラーが1種類、メンソールが2種類、価格は480円(税込)です。
上部のフタをスライドさせると電源がオンになり、たばこスティックを挿入してボタンを長押しすると、スティックが加熱されます。加熱温度は200度。iQOSが300度、gloが240度とされており、それよりも温度は低くなっています。加熱温度は40秒程度と比較的長めです。
長押しでバイブ、加熱終了でもう一度バイブが作動し、そこで吸い始められます。加熱方法はスティックの周囲から熱するタイプで、gloと同じ仕組みです(iQOSはスティックに刺さるブレードが発熱し、たばこスティックの内部を熱します)。
プルーム・エスが加熱温度を200度に設定したのは、ニオイを減らすためとのこと。高温加熱式は、紙巻きたばこの「燃やす」ではなく、「蒸す」という表現が近く、独特のニオイが出ます。
吸い込んで出るのは煙ではなく蒸気で、ニオイもすぐに消えますが、iQOSは独特のニオイが強めです。gloはそれに比べてやや少なく、さらに温度が低いプルーム・エスは、ニオイがより減っているようです。ただし、周囲の人が十分に気付くレベルだと思うので、マナーを守って吸いましょう。
JTによれば、ニオイは紙巻きたばこの5%以下に削減したといいます。健康懸念物質は90%以上カットしたとのことです。もちろん、ゼロではないので過信は禁物です。
味に関しては、思ったよりも大人しい印象。200度という温度のせいか、蒸気の量もあまり多くはなく、吸いごたえもそれほど強くはありません。とはいえ、ゆっくり深く吸い込めばたばこの吸いごたえを感じます。
200度で熱するものの、火は使わないため不始末の心配はなく、吸い終わった直後のたばこスティックに触れても多少暖かいという程度で、安心して処理できます。ただ、プルーム・テック、プルーム・テック・プラスのたばこカプセル、そしてたばこスティックも小さいので、子どもや動物の誤飲には注意が必要です。
海外の電子たばこは、リキッドにいろいろな味を加えて違いを楽しむ文化になっています。JTでは既存のプルーム・テックで、そうした味の違いを楽しめるように、さまざまなテイストのたばこカプセルを発売しています。
対して現時点では、プルーム・テック・プラスのたばこカプセルは、レギュラーが2種類、メンソールが2種類。プルーム・エスのたばこスティックはレギュラーが1種類、メンソールが2種類だけで、まだまだもの足りないところです。
ちなみに、プルーム・テックとプルーム・テック・プラスのたばこカプセルはサイズの互換性があり、どちらでも吸うことができます。JTはカプセルに合わせたリキッドを同梱しているとしており、JTが提案するテイストを味わうためにはカプセルとカートリッジのセットを利用するよう推奨しています。このあたりは、個人でいろいろと試してみるのも面白いでしょう。
デバイスとしては、カプセルとカートリッジの交換が発生するプルーム・テック・プラスは、すでにプルーム・テックを利用しているのでそれほど手間は感じませんでした。プルーム・エスは、スティックの周囲を加熱するだけでほとんど汚れないため、iQOSほど頻繁に清掃する必要はありません(公称は20本に1回の掃除)。そのため手間がかからないメリットがあります。
プルーム・テックとプルーム・エス、どちらもマイクロUSB端子を備えているので、そのままケーブルを差し込めば充電できます。独自の充電アダプタが必要だったプルーム・テックの欠点が解消されたのは、うれしいところです。
ただ、いずれもマイクロUSBなのは気になりました。今どきだと、スマートフォンがUSB Type-C化しており、iQOSの新製品もUSB Type-Cを採用しているため、最新機器としてはUSB Type-Cを採用してほしかったところです。
「プルーム・テック・プラス」+「レギュラーのたばこカプセル」がお気に入り
一通り試した感覚だと、個人的には「プルーム・テック・プラス」+「レギュラーのたばこカプセル」の組み合わせが良好な印象でした。ニオイが少なく、水蒸気量も多くて吸いごたえがあります。
一つ難点を挙げるなら、デバイスを購入しないと試せないところでしょうか(友人にユーザーがいれば1本ちょうだいとも言えますが)。JTもそれを理解しているようで、各所で試用機会を設けてアピールしていきたい考えを示しています。
アクセサリ類やカラーバリエーションの充実もJTの戦略として示されており、特にプルーム・エスは1月29日の発売に合わせて2色のツートンカラーも同時発売。さらに4色を追加する予定となっています。
こうしたバリエーションなどの個性に加え、ニオイの少なさに吸いごたえを追加したプルーム・テック・プラスとプルーム・エスで、JTの反撃が始まるのか、興味深いところです。