映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』の大ヒットを記念して27日、新宿バルト9にてトークイベント&上映会「武田航平ナイト」が催された。
2018年12月22日より公開されている『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』(監督:山口恭平)は、「平成」という時代が終わりを告げようとしている中、平成仮面ライダーシリーズの集大成と呼ぶにふさわしい記念作品として大きな話題を集め、大ヒットを飛ばした。本作は1月19日時点で、毎年恒例となった「冬の仮面ライダー映画」の累計動員数が1,000万人を突破するといった記録を成し遂げたほか、No.1興行収入となる15.4億円を記録した『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010』超えも狙える大ヒットとなり、冬の仮面ライダー映画シリーズ史上No.1に向けて順調に走り続けているという。
この大ヒットを記念して、平成仮面ライダー19作目『仮面ライダービルド』(2017年)で仮面ライダーグリス/猿渡一海を演じたほか、平成仮面ライダー9作目『仮面ライダーキバ』(2008年)では仮面ライダーイクサ&仮面ライダーダークキバ/紅音也、仮面ライダーキバ/紅正夫を演じ、「平成仮面ライダーの申し子」を名乗るほど仮面ライダー愛の強い俳優・武田航平を大フィーチャーしたイベント、その名も「武田航平ナイト」が開催された。上映作品は『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』に加えて、『仮面ライダービルド』第47話「ゼロ度の炎」(監督:上堀内佳寿也)、『劇場版 仮面ライダーキバ 魔界城の王』(監督:田﨑竜太)である。
司会進行を務める仮面ライダー大好き芸人のしいはしジャスタウェイ(御茶ノ水男子)の呼び込みのもと、『仮面ライダーキバ』主題歌「Break the Chain」のメロディに乗って武田航平が客席側から登場。つめかけた大勢のファンを歓喜させた。
チケットが発売開始から瞬時に売り切れたという本イベントについて、武田は「いやー嬉しいですね。先行販売も一般販売も"瞬殺"だったらしいです。これから僕のことを"瞬殺俳優"と呼んで」と、ニッコリ笑顔で感想を述べたのち「今日、来てくださった方々はもちろん、来ることができなかった方たちにも感謝の気持ちを伝えたい!」と、多くのファンへの感謝の気持ちを表した。
イベント当日の1月27日が『仮面ライダーキバ』第1話の放送開始日だということについて「つくづく"持ってる"男だと思いますね、僕は!」と喜んだ武田は、『キバ』最終回で仮面ライダーキバ/紅渡(演:瀬戸康史)に新たな危機を知らせるため未来からやってきた息子・正夫を演じたときのことを回想し「正夫のシーンは台本関係なく、ただ僕がしゃべりまくっていただけ」と、衣装やメイクを含めて武田のアドリブで出来上がった役だという事実を明かした。
正夫という名前は「石田(秀範)監督と一緒に考えた」そうで、武田によれば「渡役の瀬戸くんは、"奏(かなで)"という"音"にちなんだ名前にしたいと、素敵なことを提案してくれたのですが、石田監督が『うーん、カッコよすぎるな。……正夫で行こう』と決まりました(笑)。衣装も自分で決めてきて、顔も黒くしたいと言ったら通った」と、武田自身のアイデアがほぼすべて採用されたことを話して「これをやりたい!というのがかなり実現するのが『仮面ライダー』のいいところ」と、役者の意見を積極的に活かしてくれる『仮面ライダー』シリーズの美点を強調した。
ここで、『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』および『仮面ライダービルド』テレビシリーズを手がけた山口恭平監督がステージに登場。山口監督は現在期間限定公開中のVシネクスト『仮面ライダークローズ』舞台あいさつで主演を務める仮面ライダークローズ/万丈龍我役・赤楚衛二と共に各地の劇場を回ってきた後に、この場にかけつけたという。
武田の"よどみのない"トークを感心して聞いていたという山口監督は、「さっきまで赤楚と一緒にトークをしていたんですけれど、もう"よどむよどむ"!!」と、フリートークの経験値において、赤楚よりも"安心感"があると武田を絶賛していた。『キバ』ではチーフ助監督を務めていた山口監督の印象を尋ねられた武田は、「とにかくいい人。やさしくて、周りを見ることができて……でも、たまにキレるときがあった(笑)。そんなときは、あの山口さんも熱くなることがあるんだなと思っていた」と、ただ温厚なだけでなく、チーフとして後輩たちにピリリとした緊張感を与える厳しさを持ち合わせていたことを回想していた。
反対に『キバ』当時、山口監督から見た武田の印象は「あのころから異彩を放っていましたね。音也も強烈なキャラでしたが、そもそも武田航平という人間がすごかった」と、武田の大物ぶりを直感していたことを明かした。『ビルド』で約10年ぶりに再会したときの印象を聞かれると、「音也のときは、若さゆえの暴走がいい味を出していた。一海を演じるにあたっては、役をがっつりまとめてきた。この役を任せて大丈夫だなと思わせる、俳優としての"成長"が感じられた」と絶賛した。
途中、『仮面ライダーキバ』『仮面ライダービルド』の両作品でメイン監督を務めた田﨑竜太監督から、武田に文書によるメッセージが贈られた。次ページに全文を掲載しつつ、武田のリアクションをご紹介しよう。
「仮面ライダーキバ」出演時の武田航平の印象や、思い出に残っているエピソードをお聞かせください。
「紅音也というのは今から振り返ってみればかなりの難役だったと思います。台本ヅラだけで読めば、歯が浮きまくってしまうようなセリフの連続、しかも子ども番組としてはギリギリの大人っぽい世界観ですが、航平くんの音也がそれを口にするとなぜか許せてしまうし、胸の中にストンと落ちていく感覚がありました。
航平くんと脚本家・井上敏樹さんが生み出した紅音也はまさに奇跡の出会いを果たした組み合わせだと思います。ですが、この役を自分のものにするために実はかなり努力をしていらっしゃったのではないかと思っています。今回「平成ジェネレーションズ フォーエバー」では「紅音也」という固有名詞が飛び出してきたので、映画の詳細を知らないタサキとしては「まさか紅音也登場か?」と一人客席でわくわくしてしまったこと、ぜひ航平くんにお伝え下さい」
"恩師"ともいえる田﨑監督からの熱いメッセージを受け取った武田は、感激しながら「努力したって……ぜんぜん何もしてないですよ(笑)」と照れ笑いを交えてコメント。音也という役を演じるにあたっては「脚本の井上さん、田﨑監督など、現場のスタッフさんたちとも話し合って役を作っていました。山口さんをはじめとする助監督さんから"こういうことやろう!"なんて提案してくださったり、カメラマンのいのくま(まさお)さんもノッてくださったり、みなさんと力を合わせてできあがったキャラクターが音也なんです」と、『キバ』時代を改めてふりかえった。
『仮面ライダービルド』で久々に仮面ライダー作品でご一緒した時の武田さんの印象や変化を感じた部分をお聞かせください。
「紅音也と猿渡一海は随分違う人物だと思います。ですが、やはり航平くんの持っている『男』としての魅力を下敷きにしたキャラクターでは共通しているのかもしれません。
こちらの役では思いを寄せる女性には冷たくあしらわれ続けていますが、『カシラ』と慕う男たちからは大人気。コメディ的なお芝居をしてもちゃんと熱い『カシラ』の軸はブレず……航平くんの進歩、成長を間近に実感することができました。
が、一方で……幻徳のことを『ヒゲ』と呼ぶことなど、田﨑は随分『ビルド』では航平くんを甘やかしましたがその後『アドリブ禁止令』を食らったと聞きました。そういう部分は変わっていないなぁとも思っています」
田﨑監督の言葉を受ける形で、武田は「アドリブ禁止令というのは、『平成ジェネレーションズFOREVER』の撮影中に、大ベテランのスクリプター(記録)・たかいわれいこさんから言われたことなんです。『武田、あんたアドリブ禁止!』って言われて、どうしよう……と山口さんに聞いたら『……だ、大丈夫だよっ』って小声でOKをもらった」と話し、台本にないアドリブ演技をこっそり続けることができたと打ち明けた。