ゴツめながら操作性は良好
装着感は、正直ややゴツめです。バンドは本革らしさがあり雰囲気十分。バンドの内側はシリコン素材で切り込みパターンが入り、肌に触れる部分が少なくサラリとした着け心地ですが、ケースが12.6mmという厚みのためか重心は腕からやや高い位置にあります。ディスプレイは小さすぎず大きすぎず、タッチ操作にはほどよいものの、エクササイズ用としては大ぶりな印象でしょうか。
腕時計としての使い勝手は良好。ふだん腕時計として利用するときは、FSTN液晶に時刻を白黒で表示するシンプルな仕様ですが、視認性は高く、明るい屋外でも時刻がはっきり見えます。画面にタッチするか、側面のボタンを押せばAMOLEDに一瞬で切り替わるので、アプリを使いはじめるときのストレスはありません。省電力モードにすると、AMOLEDが機能せずFSTN液晶のみの表示となり、最大30日と驚異的なバッテリー持久力を発揮しますが、機能は時刻などの表示と心拍数・歩数測定のみ。残念ながらアプリは使えません。
ディスプレイが1.39インチ/400×400ピクセルという解像度なだけに、アプリの操作性も上々です。タッチ/スライド/フリックといったタッチディスプレイならではの操作にもキビキビ反応し、ストレスがありません。Google Mapなど、スマートフォンと通信を伴うアプリの起動時はやや待たされるものの、それ以外はスピーディー。搭載されているSoC(Snapdragon Wear 2100)のパフォーマンスを考えると、ソフトウェアの改良が操作性向上に貢献しているといえそうです。
手首で「OK Google」が便利
TicWatch Proは、Android端末やiOS端末と連携させることが可能です。どちらもアプリストアから「Wear OS by Google」をダウンロードして、TicWatch ProとBluetoothでペアリングさせることで、スマートフォンに届いた通知の転送などができます。本体にマイクを内蔵していますが、利用する端末によって通話機能には差があります。
iOS端末と連携しているときはTicWatch Pro側から電話をかけられず、スマートフォンに着信があった場合もTicWatch Proに通知が届くだけ。通話そのものはできない仕様(通話はiOS端末側で行う)です。Android端末と連携していれば、スマートフォンに届いた着信にTicWatch Proから応答できます。
意外なほど重宝したのが、Google Assistantです。FSTN液晶で時刻が表示されているとき右方向へフリックすると起動し、マイクボタンをタップするとボイスコマンドを実行できます。「OK Google」での起動にも対応しているので、思い立ったときに天気予報を調べたり、(Googleカレンダーに登録された)翌日のスケジュールを確認したりも容易です。手首にあるTicWatch Proは、スマートフォンより話しかけやすいこともポイントでしょう。
エクササイズの情報はFSTN液晶で
エクササイズ支援機能も充実しています。右側面に2つあるボタンの下側を押すと、標準内蔵アプリ「TicExercise」が起動。室外ラン/室外ウォーク/室内ラン/サイクリング/フリースタイルの中から種類を選ぶと、経過時間や距離、心拍数といった情報が画面に表示されます。Google Fitもプリインストールされているので、「Fitエクササイズ」アプリで腕立て伏せや腹筋の回数も測れます。
ここまではスマートウオッチでよく見かける機能ですが、TicWatch ProはFSTN液晶を使っているときでも、エクササイズに関する情報を確認できます。AMOLEDに切り替えることなく、経過時間や走行距離、心拍数や走行ペースを確認できるので、運動に集中できます。バッテリーを節約しながらも、エクササイズに関する情報を表示できるのは、ほかのスマートウオッチと比べて大きなアドバンテージといえるのではないでしょうか。
「操作しやすい」スマートウオッチ
なにを求めるかによってスマートウオッチの評価は変わりますが、こと「操作の快適性」について、TicWatch Proはハイレベル。FSTN液晶は日差しの強い屋外でも見やすく、タッチパネルのレスポンスも良好でした。ときどきアプリを起動したり、通知を受け取ったりと、スマートウオッチとしてごく普通の使いかたをしても、満充電から3日は平気で使える高い省電力性能も強みといえます。
惜しまれる点は決済機能です。NFC搭載でGoogle Payに対応していますが、本稿執筆時点(2019年1月)では日本で利用できません。装着時の重心も気になるところで、もう少しケースが薄ければランニング時の異物感も減ったはずです。とはいえ、コストパフォーマンスを含め、全体の満足度が高いデバイス。スマートウオッチを使ってみようかなと思っている人は、ぜひ注目してみてください。