――ところで、ブレイクして変わったことはありますか?
長田:テレビ局の人や会社の人が、すごく寄って来て話しかけてくるようになりましたね。大人たちが(笑)。
松尾:あれ? それほど話したことないのにタメ口だぞ、みたいなこととか(笑)。
長田:でも信用しすぎてはいないですね。これだけ芸歴を重ねてきているので、頭を冷静に判断しないと、経験上、わかるので。
――たしかに「キングオブコント」も、実は1回目から出ていますからね。
長田:そうなんですよ。ずっと中途半端なところにいて、それはある意味よかったのかもしれないですけれど。客観的に先輩も後輩も、浮き沈みを真横で見ている環境にいたので。
松尾:あの人はバッと行ったけれど、仕事がどんどん減っているのは、ああいうことかなあとか、そういうことを冷静に見ていました。だから、自分たちの状況をそこまで喜んでいないというか、いつか落ち着くことですし。みんなテレビにバーッて出た人たちは、六本木とかに飲みに行って遊んでいたなあ。だいたいそういう人たちは落ちて行ったなあと、そうはなるまいと。
長田:売れている時にあまり動いていない人は、落ちて行っている感じがしますね。逆に売れていた時にいろいろと動いた人は、残っているなあという感じがする。だから、ライブは絶対に必要だと思う。
松尾:あれは嫌だこれは嫌だとよく文句を言っている人を見ていて、なんでこの人、文句言っているのかなと思っていた人はいなくなっているので、だから僕らは求められたことは必ずやろうと。
長田:忙しくなると単独ライブをやらなくなる人も多いのですが、そこをおろそかにすると下がってきたときに本当に何もなくなっちゃう感じがするので。
松尾:下がってきた時に急にライブやりたいと言っても、それじゃもう遅いだろうという(笑)。
――たしかにバナナマンさんなど、毎年単独ライブやっていますよね。
長田:さまぁ~ずさん、バカリズムさん、千鳥さん、めちゃくちゃ忙しいと思いますが、やっています。いまも出続けている理由には、そういうこともあると思いますね。
――先ほどの売れている時に動くという話で、単独ライブ以外に何か考えていますか?
長田:YouTubeチャンネルを持っていて、テレビやライブではできないようなことをそこで魅せられているので、僕は全部つながればいいなあと思っていて、テレビやライブ、ネット、SNS、お客さんはバラバラですけれど、そこを統一して、どこでもお客さんを集められるようにしたいですね。テレビを観ていたお客さんがライブに来てくれるためには、YouTubeのネタを見て面白いと思って、劇場に来てくれるような、そういうシステムを作れればいいなと。
――お二人はネットとの親和性が高い上に、使い方が上手ですよね。「U.S.A.」の替え歌も流行りました。
長田:ノリですけどね。自分たちでコント職人だって、実はあんまり思っていなくて、いろいろできたらいいなあと思っているだけなんです。何に特化したらいいというわけではない。やれることは全部やる感じです。
――素人目線では「キングオブコント」準優勝の一方で、ものまねで大人気みたいになって悔しい、みたいな構図を思い描いていましたが、ぜんぜん違いましたね。
松尾:そこまで、です(笑)。さっきも言いましたが、練習とかするほうでもないんで。ただ、面白いと思っているからやっている。僕らが一番面白いと思うものが単独ライブだと思っているので、ものまねなどは、いろいろなものにあわせてノリでやっているものですけど、ライブは楽しい。
長田:テレビが作り出すイメージというものが、みなさんのなかにいろいろとあると思うので、そこをどういろいろなところに変換していけるかということが1個の課題ですね。たとえばものまねで大食いしている姿を見ていて僕らの単独ライブを観に行こうという人は少ないと思うんですよ。でも、それで気になって僕らのことを調べ、YouTubeチャンネルのネタを観て、ネタも面白いと思って来てもらう、そういうシステムですね。
――戦略的ですが、自然に回しているところも人気の秘密かもしれないですね。
長田:もうけっこうSNSで連動感出している奴はいて、時代を見て行かないとお笑いも厳しいなとは思いますね、いまは。だから、アンテナは常に張っています。