――白倉さんもおっしゃっていましたが、今回の映画はまさに平成仮面ライダーの「送り手」と「受け手」が等しく「ありがとう」という感謝の気持ちを抱くことのできる作品になっているんですね。

本当にそうなんです。映画の中では、平成仮面ライダーを愛しているみんなの思いによって仮面ライダーたちが出現するという演出なのですが、どのカットも「愛」にあふれているというか「平成仮面ライダーへの恩返し」という、みなさんの愛を僕たちなりに注入させていただいています。スタッフ全員がそういう気持ちになって臨んでいました。

――桐生戦兎役の犬飼貴丈さん、常磐ソウゴ役の奥野壮さんの先輩・後輩ライダーの共演についてはいかがでしたか?

ソウゴと戦兎が雨の中で芝居をしているシーンがあるのですが、そこでは劇中の設定というより、俳優・犬飼貴丈として後輩の奥野に、仮面ライダーの先輩として思いを繋げると言いましょうか、「伝える」つもりで演じているな、と思いました。もちろん、表面上は台本のセリフを犬飼が言って、奥野がそれを受けているだけなのですが、それ以上の"メッセージ"を先輩から後輩へと伝えていると感じられたのがよかったですね。2人の心情を表すのに「雨」でいきたいと思って降らせたのですが、だんだん寒くなってきた時期で役者たちは大変だったと思います。それでもすごく雰囲気の出た、よいシーンになったと自負しています。

――平成仮面ライダー20人が大集合するというクライマックスのビジュアルが圧巻ですが、そこに至るまでに、クウガからエグゼイドまでの18人の仮面ライダーにもそれぞれの見せ場が盛り込まれていて、それぞれの仮面ライダーに思い入れのある人にとってはたまらない演出が観られますね。

限られた時間しかないですから、20人もの平成仮面ライダーにそれぞれの見せ場を与えるのは本当に難しかったですね。しかしアクションシーンに関しては、すべての仮面ライダーが活躍できる場面を作れるように努力しました。ポーズや決めゼリフなど、立ち回りのスタイルでも当時の動きをできるだけ取り入れました。

好きな方は「テレビで観ていたとき、この仮面ライダーはこんな戦い方だったよね」とか、すぐわかってもらえるような演出を意識的にやらせてもらいました。各仮面ライダーが「ライダーキック」も出すのですが、それぞれ放送当時と同じようなエフェクトを使っているので、これをご覧になった方はぜったい「懐かしい!」と思っていただけたと思います。

今回は、敵に対して一斉に20が同時にワーッ!とキックするのを避け、何人かに分けて仮面ライダーたちがキックしていく演出にしています。各仮面ライダーはみんなキックが個性的ですから、できるだけ1人ずつ見せたいと思ったんです。さらに、テレビシリーズではあんまりキックをしていない仮面ライダーも、今回の映画でレアなキックを見せますので、そういった部分も楽しんでもらえると思います。

――歴代平成仮面ライダーがそれぞれの専用マシンに乗って疾走するシーンもあり、大迫力でした。

あれこそ、僕が監督として参加して最初のころ、脚本が固まる前から「こういうことをやりたい」とお願いしていたところなんです。"仮面ライダー"ですから、みんなバイクに乗って走ってきてほしいと。そこで、現存している仮面ライダーのマシンがどれだけあるのか、捜すところから始めています。10年以上も前のマシンを掘り出してきて、可能な限り修理してもらって使ったものもありました。これだけのマシンが勢ぞろいしているのって、今までにはなかったんじゃないでしょうか。また、映画ならではといえば、20人の平成仮面ライダーがそろった背後でナパームの大爆発をやりましたね。あれだけの大爆発もなかなかできる事ではないので、ぜひ映画館の大スクリーンであの迫力を体験してほしいです。

――では最後に、改めて山口監督が映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』に込めた"思い"をお聞かせください。

この映画では、なかなか歴代平成仮面ライダーが1か所に集合しません。最初から一気にドカッと集まって勢ぞろい、みたいな演出にしたくなかったんです。じらすようになかなか集まらなくて、何人かの仮面ライダーが小チームを組んで戦っていく中で、最後にバーンと結集する。20人の平成仮面ライダーを群として扱うのでなく、一人一人が"見える"ように描きたかったんです。平成仮面ライダーはどれも個性的ですからね。

今回、仮面ライダーのことが大好きな高校生・アタルが出てきますけれど、この映画ではみんなアタルの気持ちに乗っかってくれたらいいな、と思いながら撮っていました。平成仮面ライダー20作、どの作品が好きな方でも等しく楽しめる映画になっています。

映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー 平成ジェネレーションズ FOREVER』は現在大ヒット公開中。なお、マイナビニュースでは平成仮面ライダー20作を記念した『仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』大特集を展開している。

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