メッシュの実力やいかに
まずはAtermの親機+中継器のパターンと同じく、子供部屋とリビングにVelopを設置した場合を比較してみましたが、リビングでの接続が劇的に改善しました。特に11ac対応機器の場合、5GHz帯を選んでくれるので混信しないのが効いているようです。SSIDを選び直す必要もないので、特に携帯ゲーム機などでの接続性と利便性も格段に改善しました。
ただし、なぜか子供部屋とリビングの間にある筆者の仕事部屋の速度が遅くなってしまったので、続いて、仕事部屋に3台目のVelopを増設してみたところ、仕事部屋の速度もばっちり改善。実は数値時出ていませんが、リビングでも通信への反応が改善しました。おそらく3台目に追加したPC部屋のノードがリビングへの中継点として機能することが関係しているのでしょう。思わぬ副作用です。
今回は偶然3台目が中継点に来る位置だったわけですが、これが4、5……と増設してネットワークが複雑になった場合でも、経路などを考えずに済むのは正直ありがたいです。このくらいの台数になると自宅用というよりは企業や商業施設などのネットワークとしての運用になりそうですが、その規模でも十分通用するのがVelopのすごいところ。同社によれば、鉄筋コンクリート造りのビルの3フロアをを6台のVelopだけでほぼフルカバーした例もあるといいます。
なお、Velopの最大ノード数は開発側では10台までを確認しており、ユーザーの導入例としては10台以上も確認されているようです。メッシュルーターを謳う製品でも3台程度までしか増設できないものもあるので、Velopならかなり大規模なネットワーク構築を視野に入れている場合も安心ですね。
最近のルーターに要求される機能として、特定の端末のアクセス時間を制限するペアレンタルコントロールや、特定の端末(3台まで)に優先して帯域を確保するQoS機能も搭載しています。
惜しまれるのは、フレッツ光ネクスト網でのIPv6 IPoEやIPv4 over IPv6には対応していないこと、悪質サイトのブロックやLAN内保護といったセキュリティ機能を搭載していないこと。とはいえ、このあたりは全員が使うわけではないし、たとえばIPv6なら別のルーターを用意し、Velopはブリッジに専念すれば済むことなので、そこまで大きなデメリットには数えなくていいでしょう(IPv6関連機能やセキュリティ機能については、メーカーに問い合わせたところ、将来対応する予定のようです)。
詳しくない人こそメッシュを使うべき
無線LANのセッティングは、そこそこ経験のある人でも周囲の環境等に左右されるので、ベストな環境を作るのは一苦労ですが、メッシュルーターの場合、「とにかく電波の届きやすいところに置いておけばいい」という単純明快さと、それによって得られる効果の高さは素晴らしいの一言。これから導入するならメッシュしかないでしょう!というくらい気に入りました。
Velopは無線ルーターとしては正直高価な部類に入ります。本音を言えば低下を20%引きくらいにしてほしいです。とはいえ、ルーターは家庭内のインフラそのものであり、5〜10年くらい使うものだと考えると、下手に安いのを買って苦労したりストレスを溜めるよりも、きちんといいものを買って快適に過ごした方が結果的に安上がりだと思います。
パソコンなどを買うときに「自分は初心者だから安いもののでいい」という人をたまに見かけますが、それは心得が逆です。初心者だからこそ、金で快適を買ってください。せっかくのITライフを小銭を惜しんで苦痛に変えたらもったいないです。苦労するのはそれを楽しみにしている変た……もとい、好事家だけで十分です。
Velopを頑張ってでも買うべき人 |
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今の無線LAN環境に不満がある人 |
セッティングが面倒な機種は嫌な人 |
家が2階建てなどで比較的広かったり、接続する機器数が多い人 |
既存の非メッシュルーターでも十分な人 |
部屋数が2つ程度で家が狭い人 |
接続するクライアント数がせいぜい5台未満の人 |
フレッツ網でIPv6などを使いたい人 |
著者プロフィール
海老原昭
Windows開発専門誌→パソコン総合誌→インターネット専門誌→Mac専門誌の編集・記者職を経てフリーに。Apple認定サポートプロフェッショナル(10.6)。専門はアップル関連全般とITガジェット系全般。2019年こそは仕事用のMacを新調したいと切に願っています。