既に中国のRoyoleという企業が折り畳みスマートフォンを製品化しているほか、サムスン電子も2019年に折り畳みスマートフォンを投入することを明らかにしています。他にもスマートフォン大手などが2019年に折り畳み型スマートフォンを投入すると言われているだけに、2019年は折り畳みスマートフォンが大きく花開く1年となりそうです。
スマートフォンの変化はそれだけではありません。2018年もファーウェイの「HUAWEI P20 Pro」に代表される3眼カメラを背面に搭載した機種や、OPPOの「Find X」などのようにカメラを使う時だけスライドさせることでノッチをなくした機種など、カメラに関してはさまざまな工夫が見られましたが、その傾向は2019年も続くことになりそうです。
というのも2018年末頃にも、4つのカメラを搭載したスマートフォンが登場したり、ディスプレイのフロントカメラ部分だけ穴を開ける“穴開きディスプレイ”を採用することでノッチ部分をなくしたスマートフォンが発表されたりするなど、大きな動きが相次いでいるのです。2019年はそうした要素がより多くのスマートフォンに入ってくると見られるだけに、大きな注目ポイントとなるのではないでしょうか。
政治が業界全体に暗い影を落とす?
期待すべき出来事も多い2019年ですが、一方で懸念されるのは、今年も政治が携帯電話業界の動向に強く影響する可能性があることです。
携帯電話と政治に関連した問題の1つに挙げられるのが、携帯電話の料金に関する動向です。2018年は菅義偉官房長官が「携帯電話料金は4割程度値下げできる余地がある」と発言したことは大きな話題となりましたが、その後総務省が実施した「モバイル市場の競争環境に関する研究会」では、携帯電話会社に分離プランの導入を要求する緊急提言案を公表。通信料金と端末代を完全に分離し、通信料を原資として端末代を値引くことを実質的にできなくすることを、携帯電話会社に要求しています。
そうした行政側の要望に応じる形で、2019年には春頃に、NTTドコモが分離プランを軸とした新料金プランを導入するとしているほか、ソフトバンクのワイモバイルブランドも、2019年の分離プラン導入を予定しています。
ですが分離プランの導入が進めば、特に高額なスマートフォンほど安く購入できなくなるため端末販売に大きな影響が出るのは確実でしょうし、その影響を受ける形で、体力が弱っている日本のスマートフォンメーカーの中から撤退するところが出てくる可能性も否定できません。
そしてもう1つは、安全保障や貿易などを巡る米中の摩擦に端を発した、中国メーカーの通信機器に関する問題です。米国の要請を受ける形で、日本政府はファーウェイやZTEなどの中国企業から通信機器を調達しない方針を打ち出したとの報道が2018年12月に相次いでなされており、政府が2018年12月10日に発表した「IT調達に係る国の物品等又は役務の調達方針及び調達手続に関する申合せ」が、その方針を示すものと見られています。
ですが実は、5Gの電波割り当て指針「第5世代移動通信システムの導入のための特定基地局の開設に関する指針」でもこの申し合わせに留意することが求められており、5Gでは携帯電話大手の設備からも、実質的に中国メーカーが排除されることになるのではないかとの見方が広がっているのです。対象と見られているのは現在のところ基地局などの通信設備ですが、そうした中国メーカーへの風評を受ける形で、近頃好調な中国メーカー製スマートフォンの販売に影響が出る可能性もありそうです。
さらに今後米中の対立が激化すれば、中国メーカーだけでなく、iPhoneをはじめ中国で生産している多くのスマートフォン、そして中国メーカーに部材を提供している日本企業にも、大きな影響が出ることが予想されます。そうなれば業界全体の技術進展にも大きな影を落とすこととなりかねないだけに、解決に向けた何らかの糸口が求められるところです。