一方のAMD。同社のイベントで行われたDeep Diveでだいたいの説明は終わってしまっており、EPYC 7nmとこれに続くRyzenの7nm世代(Zen 2 Ryzen)に関しても特に補足することがない。

  • Photo11:本人的には邪魔をしていないつもりだろうが、画面塞いどるがな(言っても理解してくれない)

あえて言うのであれば、Ryzen Gの後継絡みの話である。CPU Deep Diveのレポートを書いたときには、Consumer向けにもVega 7nmが来るという前提であったが、その後、GPU Deep Diveのレポートを書いたタイミングで考えを改めた。

つまり、筆者はRyzen Gの7nm世代版が、Zen2+Vegaではなく、Zen 2+Naviという構成になると考えている。この時点で、チップセット側にGPUを統合する、というアイディアはなくなる。

Naviは7nmを前提にした設計になっているから、14nmで製造されるチップセットを統合するのは難しい。いまさらPolarisという話にもならない。入れるとしたらVegaになるが、投入時期を考えると、やはりいまさら感がぬぐえない。

可能性としては図1のように、CPUとGPU、メモリコントローラやPCIeまで全部7nmで統合してしまうか、図2のようにCPUとGPUをそれぞれDiscreteで製造し、これをMCMでチップセットとつなぐかのどちらかである。

コスト的にはどちらも微妙なところで、図1とするには、Ryzen Gのためだけに新規の7nmの製品を起こせるかがポイントである。7nm(それもEUVではなくDUVのマルチパターニング)の場合、新規デザインだと初期コストがだいたい1.5億ドルほどになるとされる。

もちろん、図1のケースではCPUやGPUそのものは再利用になるからここまでコストは掛からないとは思うが、それでも5,000万ドルは堅い所であり、その初期投資を回収できるほど生産するのかという点が判断の分かれ目となる。

図2のケースでは、初期コストはそれこそI/O Dieの分だけなのでずっと安く上がるはずだが、Zen2のダイとNavi GPUのダイの合計だけで、Ryzen Gのコストを上回りそうである。このあたりの損得計算が判断しにくいところではあるが、このどちらかの構成が採用されるのではないかと筆者は考えている。

7nm世代のRyzen 3は2019年春に登場?

ところで投入時期について。正直なところ、7nm世代のRyzen Gは2019年中に投入されるかどうか、怪しいと考えている。現実問題として2020年にずれこむか、2019年中としてもかなり遅い時期だろう。

これは同社の製品展開がそうなっているからだ。元々のスケジュールを振り返ると

  • 2017年4月:Ryzen(Zenコア)
  • 2018年2月:Ryzen G(Zenコア+Vega)
  • 2018年4月:Ryzen 2(Zen+コア)

となっており、スケジュール的に言えば2019年2月とかにRyzen GのZen+コア+Vegaが投入される順序となる。そして(7nmが順調なら)2019年4月にZen2コアベースのRyzen 3が出てくるという感じだろうか。7nm世代のRyzen Gはその後(2020年)になる計算だ。

先の項で「いまさらVegaという話にはならない」と書いたのは、このことにはNaviベースのコンシューマ向けGPUが展開されている、という前提である(詳しくは次回のGPU編で)。

そんなわけで、2019年はRyzen Gの12nm移行版が第1四半期に、そして第2四半期にZen2ベースのRyzen 3000シリーズ、そして第3~4四半期にはZen2ベースのThreadRipperが投入されるといった感じになるのではないかと考えている。

ひょっとすると、CPU Deep Diveの最後で書いたRyzen 9みたいな代物も、第3四半期あたりに投入されるかもしれない。まぁこれが出るか出ないかは、ある意味Intel次第であるが。