『仮面ライダージオウ』で、50年後の未来からやってきた神秘的な美少女ツクヨミを演じて注目されている大幡しえり。未来の世界で「最低最悪の魔王」になると言われている仮面ライダージオウ/常磐ソウゴ(演:奥野壮)に接近し、本当に彼が魔王になってしまうのかどうかを注意深く見張る立場のツクヨミだが、仲間思いで正義感の強いソウゴの行動に同調し、将来彼が「魔王」にならない方向へ導こうとする。
12月22日公開の映画『平成仮面ライダー20作記念 仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』でもツクヨミ役で大活躍を見せる大幡に、これまでのテレビシリーズをふりかえっての感想や、『仮面ライダージオウ』初の映画に向けた意気込み、自身の演じるツクヨミの人物像について大いに語ってもらった。
――現在は『仮面ライダージオウ』の撮影に明け暮れる毎日かと思いますが、撮影現場でのみなさんのチームワークについて、お聞かせください。
ツクヨミはソウゴ、ゲイツ、ウォズと絡んでいることが多いのですが、みんなそれぞれ個性があり、それがチームワークのよさにつながっています。いちばん年下の奥野(壮)くんがみんなの中心にいる感じで、そこが彼の「ソウゴっぽい」ところかなと思いますね(笑)。ゲイツ役の押田(岳)さんはゲイツと一緒で、ひとつのことに一直線といいますか、まっすぐなところがあるんです。彼がときどき考えすぎてしまうところを、奥野くんがちょっとポジティブな言葉をかけて、いい雰囲気にしていくという……。奥野くんのポジティブな部分に、みんな助けられていることって多いんですよ。ウォズ役の渡邊(圭祐)さんは私より5つも年上なのですが、ぜんぜん年齢の差を感じさせないくらい接しやすい方です。そんなこともあって、みんなの仲はすごく良いと思います。
――東映特撮ファンクラブ(TTFC)の「ジオウ補完計画」でも、奥野さん、押田さん、渡邊さんたちが自由にコミカルなやりとりをされているみたいですね。
「ジオウ補完計画」は楽しいんですよ。特に渡邊さんのウォズって、もともと口調が独特でしょう。「補完計画」ではあれがもっとすごくなって、ウォズ感120パーセントというか、面白すぎちゃって(笑)。ウォズの言葉に対してツクヨミが質問する、という場面がよくあるのですが、私が笑ってしまって、言葉を発することができなくなることがときどきあるんです。そういうときはさすがにカットがかかりますけれど、笑ってあんなに涙が出ることなんて、初めての経験でしたね。みなさんに申し訳ないなと思いつつ、面白すぎる渡邊さんもいけないんじゃないか……と思ってしまいます(笑)。
――『ジオウ』に出演されたことで、以前からのファンの方たちに加えて、新しいファン層が増えた、なんてことを実感する出来事はありますか?
インスタグラムをやっているんですけれど、『ジオウ』出演が決まってからすごくフォロワー数が多くなったんです。撮影現場で握手をした小さい子のお母さんが「今日、握手してもらった子の母です」みたいなコメントを付けてくださったりして。ファンの方からのコメントもたくさんいただきますので、すごく元気が出ますし、うれしく思っています。
――撮影現場で子どもたちと接することがあるんですね。
この間も、現場に子どもたちが何人か来ていたんです。女の子もたくさんいて、「女の子もいるんだなあ」と思い、うれしかったんです。遠くから「ツクヨミだーっ!」って大きな声が聞こえたので、手を振ったらすごく喜んでくれました。握手をしに行くと、すごく緊張していて、それもとてもかわいかったです。緊張をほぐすために私から「その服、可愛いね」とか声をかけたりして、できるだけ打ち解けるように努めました。私自身もともと子ども好きなので、子供達と接する機会があるのはとても楽しいことなんです。
――うかがっていますと、ツクヨミのファンは女の子が多いみたいですね。男の子の反応はいかがですか?
男の子にも女の子と同じように接しているんですけれど、男の子は恥ずかしがってしまって、お母さんから「ほら、握手してもらいなよ」なんてうながされて、その様子がとっても可愛いんですよ(笑)。
――撮影現場を離れて私服姿でいるとき、子どもたちに「ツクヨミだ」と気づかれることはありますか?
それが、ぜんぜん言われないんです。『ジオウ』の出演者は現在のところ、ほとんど気づかれないようです。私の場合、撮影のときはコンタクトレンズをしていて、ふだんはメガネでいることが多いんです。1人で出かけるときもメガネなので、なかなか気づかれないのはそのせいもあるんじゃないかと思っています。この髪型とこの衣装でないと、子どもたちにはツクヨミだと認識してもらえないんじゃないでしょうか。
――ツクヨミのキャラクターを自分のものにできた、というきっかけになったシーンなどがあれば、教えてください。
これまでのお話ですと、第3、4話でソウゴが「魔王」にならないよう監視する、というところから、ソウゴを良き未来へと導きたいという風に変化するくだりがあります。ツクヨミとして、ソウゴに自分の思いを伝えられた……というのが、私自身が演じた中で「うまくできたんじゃないか」と初めに思った部分です。
――ツクヨミは50年後の未来からやってきた人間ですが、現代を生きる我々には思いもつかない「未来人」を演じる上で、特に気をつけているのはどんなところでしょうか。
ツクヨミって、織田信長を知らないんですよね(笑)。何十年も未来では、日本の戦国時代のことはあまり歴史的に関係ないのかな、なんて思ったりしました。ツクヨミを演じる上では、そういった「現代では当たり前の常識」という部分が「未来」では失われている、という認識で演じることもあるんです。
たとえばこの衣装でも、ツクヨミは当たり前のようにマントを着けていますし、マント姿のまま高校に行ったりするでしょう。逆に、なんでこの時代の人たちはマントを着けていないんだろう、という感覚を持っているはずなんです。そういった現在と未来の常識の違いは強く意識して演じています。
また、「冷静」な視点というのも大事ですね。未来では、手で操作するゲームが存在しないという設定ですので、ソウゴがコントローラーを使ってゲームをやっているのに対して、冷たい目というか、とても冷静な視線で見つめているという雰囲気を出すように努めました。