カンファレンスの最後は、“G-SHOCKの生みの親”伊部菊雄氏による「DREAM PROJECT」のプレゼンです。過去、お得意のジョークとともに語られるのはG-SHOCKの開発秘話が多かったのですが、そこは35周年の締めくくり。冒頭から様子が違っていました。
「ヘビーデューティー向けにつくったG-SHOCKが若者に人気となってから、彼らにずっとファンでいてもらいたいと研究して生まれたのが、フルメタルのG-SHOCK(MR-G)です。これは、1996年に若手と組んだ『フルメタルG-SHOCKプロジェクト』によるもので、ネバーギブアップ精神でベゼルカバーを外すことに成功したから実現できたのです」(伊部氏)
メタルモデルの開発にいたった経緯と、若い世代を鼓舞しながら邁進してきた日々が語られます。
「そして、初のエレガンスモデルとして開発したのが金無垢モデルでした。ベテランの力を結集したDREAM PROJECTでは、ステンレスの1.5倍という重さの衝撃吸収構造、複雑な金加工に成功。コンセプトモデルを出展したBASELWORLDでは売ってほしいとの声が多かったのですが、製品評価していないモデルは販売できないとお断りしてきました。40周年には今までにないわくわくするG-SHOCKをつくりたいので、ベテランと若手混合の新規プロジェクトを組む予定です。常に進化する姿を見せるのがG-SHOCKのミッションだからです」
40周年では次世代の技術者が話すので見守ってあげてください、とファンには少々寂しい展開に。しかし、その直後に「数十秒ですから絶対目を瞑らずに」と流された動画には、なんと金無垢G-SHOCKの評価テスト動画が!
「この製品評価ビデオを外部の方々にお見せするのは初めてです。もし壊れたらありのままをお伝えするつもりでしたが、すべてのテストがクリアできました。『DREAM PROJECT』のスタートから5年、衝撃吸収技術、美しく見える造形などを追求したモデルがここに完成したのです。ほぼハンドメイドで月3個、年35個の世界限定受注品ですが、2019年2月には価格や販売方法をお伝えできると思います。メンバーの力が結集して実現したモデルとなりました。今後も私たちはチャレンジ精神を見せていくつもりです」
ビッグニュースをさらりと伝え「私には絶対似合わないモデルです」と笑った伊部さん。界隈のザワつきをよそに、カンファレンス自体はG-SHOCK付きハンマーによる鏡開きで大団円。さらに後半には[ALEXANDROS]のライブタイムもあり、生真面目さを感じさせる前半から一転、伊部さん言うところの「わくわくするような」G-SHOCKらしいイベントでした。しかし35周年の集大成であり未来への第一歩となる金無垢モデル、いったいどんな人が手にするんでしょうね。