去る12月13日、カシオの耐衝撃ウオッチ「G-SHOCK」誕生35周年を記念したイベント「35th Anniversary G-SHOCK FAN FESTA SHIBUYA 2018 CONFERENCE」が東京・渋谷ストリームホールで行われました。2018年4月に誕生35周年を迎え、5月のFAN FESTAでは「タフテスト体験ラボ」など幅広い層が楽しめる体験型イベントを開催したカシオ。今回はアニバーサリーイヤーイベントのファイナルとして、G-SHOCKを若者に広めるきっかけとなった土地、渋谷から発信です。
「タフネス」をテーマにしたG-SHOCKは、1983年にDW-5000Cが誕生して以来、高い強度と機能性、ファッション性で人気を誇ってきました。さまざまなシーンに沿ったプロダクトを研究開発、提案し続ける一方で、ファッション・アート・スポーツ・音楽などカルチャーとリンク。2017年9月には世界累計1億本の販売を突破しています。
危険な場所で働く人のタフな時計だったG-SHOCK、それが“ファッションアイテム”になったそもそものきっかけは「渋カジ(渋谷カジュアル)」でした。その発祥の地、渋谷でイベントが行われたのは必然ともいえます。オープニングとなった日本人15歳以下のアクションスポーツ頂上決戦「NEXT GENERATIONS」、12月1日~9日の「SHIBUYAタフクイズラリー」と、すでにG-SHOCKと渋谷の街を楽しめるキックオフイベントが行われてきました。
これらのイベントを受け、改めて誕生から35年の振り返りと今後の展開が提示されたカンファレンス。冒頭ではカシオ計算機 取締役 副社長執行役員の中村寛氏がスピーチ。1980年代後半、G-SHOCK誕生直後のドイツでヨーロッパ販路を拡大すべく奮闘したことや、ヨーロッパで人気が出たDW-6900の思い出を語りました。
さて、渋谷と音楽カルチャーのパートでは、2組のミュージシャンが登場。1997年リリース「渚にまつわるエトセトラ」のPVで幅広い層にG-SHOCKを印象付けたパフィー、「Powered by G-SHOCK SHOCK THE RADIO」のパーソナリティを務めるOKAMOTO'Sが、「渚にまつわるエトセトラ」のコラボライブを披露しました。パフィーの2人は、「G-SHOCKはかわいいし丈夫、すごく便利でよくつけていたんです」とコメント。PVの収録で身につけていたG-SHOCK(BABY-G)が2人の私物であったことも明かされ、会場をわかせていました。
35年を振り返る「G-SHOCKストーリー」
カシオ計算機の上間卓氏からは、2000年を境として、35年の歩みやカルチャーとの結びつきを紹介した「G-SHOCKストーリー」解説があったのも、今回ならではです。
前半は「若者カルチャーと進化したG-SHOCK」。G-SHOCK誕生のきっかけとなった「落としても壊れない丈夫な時計」という提案書から2年、数百本の試作を経て誕生した第一号・DW-5000Cから、90年代のアメリカ西海岸の横ノリカルチャーを通じ大人気となった逆輸入モデルのDW-5900、1994年のELバックライト搭載DW-6600、社会問題を提示したイルカ・クジラモデル、映画「スピード」からキアヌ・リーブスモデルのDW-5600など、ターニングポイントとなったモデルが登場。
さらに、1995年のエクストリームスポーツ系選手との開発、1996年のホワイトボディLover's Collection、新たな付加価値として登場したコラボモデルの増加と、90年代の躍進と戦略がわかります。
コラボモデルのマイルストーン「G-SHOCK×ユナイテッドアローズ」
また、いまだに高い人気を誇るG-SHOCK×ユナイテッドアローズのAW-500も、この頃に誕生した一本です。ゲストとして登壇したユナイテッドアローズ 上級顧問 栗野宏文氏は、発売された1996年を振り返り「90年代は音楽やファッションの組み合わせを楽しむ時代であり、モノ選びが重要な時代でした。渋谷にはその力があるファッション好きが集まっていたので、G-SHOCKの逆輸入モデルも注目されたのでしょう」と説明。
「2018年の今は当時と空気があり、完成度の高い物、質のいい物、社会問題と関係した物が売れます。G-SHOCKはどんな層にも響くリアルさがあり、仕掛けても売れない時代なのに売れ続ける。そうした物こそが今後も売れ続ける存在だと思います」とファッション業界のプロとしてG-SHOCKの強みを語りました。
後半「2000年代から現在のG-SHOCK」では、2000年初頭の迷走期を経て、電波ソーラーGW-300を皮切りに再び「狂わない・止まらない・壊れない」に挑戦したプロダクト回帰期へ。
2008年の25周年にはイベント「SHOCK THE WORLD」、コンセプトストア「G-SHOCK STORE」をスタート、2017年には累計出荷台数1億個を達成。そして35周年の今年は、NIGOやKolorなどのコラボ、またTEAM G-SHOCK結成やBリーグ、ヴィッセル神戸のオフィシャルウオッチスポンサーなど原点でもあるスポーツカルチャーとの連携強化が説明されました。
その後は、世界選手権2連覇の劉衛流龍鳳会男子チームによる“日本で最もタフ”な演武「空手道」の披露、日本の伝統文化から“落語界のタフネス”柳家花緑氏によるオリジナル落語「G-SHOCK開発秘話」の披露も。G-SHOCKとカルチャーの関わりの幅広さを感じさせる内容となりました。