トピック3:楽天が携帯電話会社になるってどういうこと?
現在は仮想移動体通信事業者(MVNO)として、通信サービスを提供している楽天(楽天モバイル)ですが、総務省から電波の割り当てを受け、新たに携帯電話事業に参入。2005年のイー・アクセス以来、実に13年ぶりの新キャリアの誕生です。 |
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楽天は現在、「楽天モバイル」としてモバイル通信サービスを提供していますが、基地局やアンテナなど携帯電話のネットワーク設備を持っているわけではなく、NTTドコモなどからネットワークを借り、仮想移動体通信事業者(MVNO)として通信サービスを提供しています。
ですが楽天はこの2018年、携帯電話事業を担う子会社「楽天モバイルネットワーク」を設立。同年4月には総務省から1.7GHz帯の電波の免許割り当てを受け、正式に携帯電話事業への参入を表明したわけです。サービスを開始すれば、自前でネットワークを持つキャリアとなります。
楽天は2019年10月のサービス開始を予定していますが、当然のことながら携帯電話事業を展開するためには、今から全国に携帯電話のネットワークを敷設する必要があります。
そのため楽天は、2025年までに6,000億円を調達してネットワークを整備すると説明。現在は6,000億円を下回る額で収まるとしていますが、大手3キャリアは携帯電話のネットワーク整備のため、毎年数千億円規模の投資をしているだけに、本当にその投資額で全国をカバーできるのか? という点には、今も疑問を抱く人が多いようです。
また、楽天はすぐ全国にネットワークを敷設できる訳ではありません。それゆえ当面カバーできるエリアは大都市部など一部にとどまり、それ以外のエリアは当面、2018年11月に提携したKDDIとネットワークのローミングで補う方針のようです。
楽天は現在の楽天モバイルと同程度の料金でサービスを提供する意向を示しており、既存の3キャリアよりも安い料金でサービスを提供できることをアピールしていくと見られます。ですが携帯電話サービスの要は料金より、いつでもどこでも使えるネットワークの充実度です。いかに全国に、充実したネットワークを敷設できるかどうかが、楽天の成否を決めるといっても過言ではないでしょう。
トピック4:ソフトバンクはどうして上場したの?
2018年12月19日、ソフトバンクグループで通信事業を担う子会社、ソフトバンクが東証1部(東京証券取引所第1部)に上場しました。初値が公募価格の1,500円を下回るなど、波乱の幕開けに。 |
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ソフトバンクはソフトバンクグループの子会社で、国内の携帯電話を中心とした通信事業を担っていますが、ソフトバンクグループは2018年12月19日に、ソフトバンクを上場させました。
なぜ、ソフトバンクは携帯電話事業を上場させたのか? そこには同社の戦略転換があるようです。
ソフトバンクは英ボーダフォンの日本事業を買収して2007年に携帯電話事業を開始して以降、イー・アクセスや米スプリントなどを買収するなどして携帯電話事業を強化してきました。ですが日本では少子高齢化で契約の伸びが頭打ちとなり、米国ではスプリントの立て直しが思うように進まないなど、グループの携帯電話事業が停滞して大きな伸びが期待できなくなってきたのです。
一方で大きな成長を見せたのが、中国のアリババに代表されるIT関連企業への投資事業です。そこでソフトバンクグループの代表取締役会長兼社長である孫正義氏は、サウジアラビアのファンドなどと共同で「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を設立し、ライドシェア大手のUberに出資するなど、事業の主体を投資事業へとシフト。出資による緩いつながりで成長企業のグループを構築する「群戦略」をとるようになったのです。
そうしたことから、通信事業のソフトバンクも上場させて独立性を高めるとともに、上場益によって新たな投資のための資金を獲得するというのが、ソフトバンクグループの大きな狙いとなっている訳です。
ソフトバンクは今後、大きな成長が見込めなくなった通信事業に代わり、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資企業らと合弁会社を作って新規事業に力を入れていく方針のようですが、上場直前に大規模な通信障害を起こすなど、最近その通信事業に関する問題も多く見られるだけに、襟を正す必要もありそうです。