――井上さん、向里さんとしては神牙の弟・刀眞役の萩原壮志さんとの絡みも多く、ファミリー的なチームワークを築かれているのではないですか。

井上:刀眞は可愛いよね。

向里:可愛い~、もう大好きです!

松野井:私の出番は夜8時すぎが多いんですけれど、その時間になると刀眞くんは帰らなければならないんです。だからなかなか会えないのが残念なんですよ。でも、一度彼が宿題をやっているときにご一緒したことがあります。可愛いですよね。神牙、楓沙、刀眞の3人って、みんな足が長いんです。「椅子で育った」感じがするんですね(笑)。正座とかしてなくて育ったっていうか。

井上:何、その"お局"的な、年上感を出した意見は(笑)。

松野井:いや~、ファンとしての意見も言わせてよ~(笑)。そんなところが素敵だなって。やっぱり特撮作品って「見栄え」が大事じゃないですか。だから現場に行くと「眼福」だなあって思いますよ。この3人の身の上に何が起きるんだろうと、もうドキドキしながらファン目線で見守っています。

――かねてから、松野井さんの言葉には『神ノ牙』および『牙狼<GARO>』シリーズへの強い愛があふれているように思えますね。

松野井:そうなんですよ。あふれているのが自分でもわかります。

――そんな松野井さんがそばにいらっしゃると、井上さんも演技がしやすいんじゃないですか。

井上:いや、愛があふれすぎて最近はちょっとうるさくなってきているかも(笑)。

松野井:語り出すと、止まらなくなるからね。こんど語り出したら止めてね(笑)。

向里:雅さんとは現場では一緒になることは少なくて、アルヴァと楓沙として少し会話があるくらい? ですけれど、2人とも猫を飼っていることもあって現場では仲良くお話をさせていただいています。

松野井:そうね。キャストやスタッフのみなさんとは和気あいあいという雰囲気でやっていますね(笑)。

――EPISODE07「絆/断」では、人気子役として数々のドラマやバラエティで活躍していた鈴木福さんがゲスト出演されました。大の特撮ヒーローファンでもある福さんと共演したときの印象はいかがでしたか?

井上:最初はずっと距離感があったんですよ。現場で会っても、ちょっと挨拶するだけみたいな。撮影の最後の日に彼がご家族と一緒に来ていて、そのときにすごく話す機会があったんです。そこで「僕『仮面ライダーディケイド』好きでした!」って告白されました(笑)。

向里:うわあ、可愛いですね!

松野井:ヒーローへの憧れを持っているところ、すごく可愛いね~!

井上:お互いに、いっぱい写真を撮りましたよ(笑)。

――つい最近オンエアされたEPISODE09は、井上さんが監督を務められた回として放送前から話題を集めていました。演出されている瞬間を撮った写真も発表されていますが、いかにも監督という雰囲気で、カッコいいですね。

松野井:(写真を見て)あっ、カッコいい!

井上:監督回の写真、いつ撮られたのか覚えていないんです。この日、ジャージを着ていたんですよ。ジャージの上下(笑)。

向里:でも、監督っぽい威厳がありますね。

井上:世の中の監督はジャージ姿で演出しないでしょうよ。

松野井:じゃあ、井上くんにとっての「監督」はどんなイメージなの?

井上:やっぱりジャケットにジーパン、ハットにサングラス……かな。

松野井:それって雨宮(慶太)監督でしょ(笑)。

井上:そういうカッコで撮っていればよかったかな……(笑)。

向里:確かに、そっちのほうが良かったかな。

松野井:カタチから入るわけね(笑)。

――共演者ではなく、監督として井上さんの指示を受けたときの印象はいかがですか?

向里:私はそんなに出番がなかったから……。

井上:いや、けっこうあったよ(笑)。

松野井:あるある。

井上:ファーストカットはアミリ、ラストカットは楓沙だったから。

松野井:ありがとうございまーす!

井上:事前の発表では大々的に「井上正大監督回」なんて言われていましたが、まあ「総集編」でもありますからね。僕としては、ああ今日は総集編か、と思って観てくださって、最後のクレジットで僕の名前が出て、そうだったのかと気づく……くらいに思っていたのを、けっこう大きく宣伝されてしまったかな、という感じです。あまり先入観を持って作品を観てもらいたくないので……。僕としては、EPISODE09の監督として何か爪痕を残してやろうというのではなく、EPISODE00から12までの中で、後半が面白くなるための「EPISODE09」であればいいと思ってやらせていただきました。

松野井:EPISODE09もそうなんですけれど、毎回、映像がとても綺麗なんです。スタッフさんたちのこだわりと情熱を感じますよね。

井上:僕自身、総監督の梅津(芳臣)さんやプロデューサーの林(洋輔)さんたちと、最初の段階からずっとストーリーについて深いところまでつめていくことができました。そういう意味もあって、僕の監督回がストーリー全体を紹介する「総集編」でよかったと思っています。ただ、他のアニメ作品などを観ていて、総集編が入ると冷めてしまうところがあるんですよね。「ああ、今日は総集編ですか」って(笑)。だから今回はそういう気持ちにならないような「意味のある、面白い総集編」を作りたいと思って、取り組みました。そうなっているかどうかは、ご覧になった方たちに聞いてみないといけませんけれどね。今回監督をやったことを通して、本当に「スタッフさんはすごいんだよ」という部分をコアなファンの皆さんに知ってもらえたらいいなと思いました。照明、編集、キャストも含めてみなプロの集団ですから、僕が監督してもこんな素晴らしい作品になりますよ、と(笑)。

松野井:と言いつつ、けっこう演出は細かかったですよ。

向里:(笑)。

松野井:普段は友だちみたいに接してくれていますけれど、いざ撮影になったら「はい、ここから監督!」みたいな感じで切り替わって。「よーい、ハイ!」って(笑)。いい意味でピリっとした雰囲気があって。そういう緊張感を出してくるなあって思った(笑)。

井上:そうかなあ(笑)。

松野井:あの日は確かに「監督」でしたよ。いちばん厳しかったかもしれない。

井上:あとEPISODE09では、狼斬役の高杉(亘)さんにもう感謝の言葉しかないですね。朝早くから深夜にかけての撮影であっても、すごく協力的に接してくださって。高杉さんのおかげでたくさんいい画が撮れたので、嬉しかったですね。

――いよいよ残るエピソードもわずかになってまいりました。今後、神牙は、楓沙は、そしてアミリはどうなってしまうのでしょうか!?

井上:最終話(EPISODE12)にかけて、「おっ、こうなるのか!」と驚かせるような展開がみなさんを待っていると思います。ぜひ最後までお楽しみいただきたいですね。

(C)2018「JINGA」雨宮慶太/東北新社