発行部数250万部超えとなる東野圭吾の代表作『手紙』。これまで舞台化、映画化もされてきた同作が現代に時代を移し、テレビ東京系ドラマスペシャル『東野圭吾 手紙』(12月19日21:00〜)として放送される。
強盗殺人犯(佐藤隆太)の弟、という運命を背負った青年・武島直貴(亀梨和也)が、周囲の差別や偏見に苦しむ姿を描いていく同作だが、作品の中で一筋の光となるのが、本田翼演じるヒロイン・白石由実子だ。直貴と心を通わせ、夫婦ともなっていく存在であり、本田初の母親役ともなった。出演者が一様に「苦しかった」と語る同作の中で、本田は何を考え演じていたのか、インタビューした。
――試写を拝見しましたが、周囲の方もみんな泣いているような作品で。本田さんも、声のトーンなどこれまでとすこし印象が違うようにも思いました。
今回、武島くんと出会う時期、お付き合いする時期、結婚した後という3つの軸になっているので、わかりやすく、と思って演じていました。観てくださる方がわかりやすいように髪型も変えさせていただきましたし、最初の方は子供っぽくして、最後は落ち着いたトーンで話すように心がけていました。
――深川栄洋監督とも、役について話されたんですか?
由実子というキャラクターについて、最初はもっとツンツンしている女の子ではないかと思っていたんですが、監督は「そうじゃない。彼女は辛いことを乗り越えて、普通の人として生きてる女の子で、自分の過去を微塵も相手に想像させない子なんだよ。普通にしているのが1番難しいから、すごく芯が強い子だと思う」とおっしゃっていて、心に残っています。「唯一、明るい光を持って来れる子」ということもお話しました。
――そうやって、キャラクターを深めていくことが本田さんの演技の基本ということでしょうか?
演じる役の人間性を知るのって、すごく大事なことだと思うので、どの現場でも毎回行っています。
――実際に完成したドラマを見て、印象に残ったシーンはどこでしたか?
辛かったのは、自分の子供が周りの子から外されているシーンです。母親として、そこに怒るのではなく受け止めなければいけない、という自分の芝居も辛いものがありました。周りの方の印象を悪くしちゃいけないという思いがあるから、ああいう場でも怒れない。「娘は関係ない」なんて言えないところが、難しかったです。
――主演の亀梨さんとは、夫婦役ともなりましたが、どのような印象でしたか?
すごく気さくな方で、現場の空き時間もよくお話してくださいました。夫婦役だからコミュニケーションを図ろうと思っていたのですが亀梨さんも意識してくださったので、空気感がつくれたと思います。ふだんはキラキラなんですが、撮影になると急に芸能人のオーラがなくなって、地味な男の人になるところがすごかったです。