12月1日にスタートした「新4K8K衛星放送」(以下、新4K放送)。映像がキレイになるのは歓迎ですが、いくら映像がキレイでも、放送開始時刻にテレビの前に座っていられるわけでなし、そうなると必要になるのは「ビデオレコーダー」。ここでは、新4K放送に対応したパナソニックの「4K DIGA DMR-SUZ2060」を利用し、スマートフォン連携などイマドキの機能を通じて4K DIGAを読み解きます。
ビデオレコーダーの新4K8K衛星放送とは、「新4K放送テレビチューナーを内蔵し、番組をハードディスクやBlu-rayディスクに録画できること」を指します。そう聞くと、チューナーを足す程度のことのように聞こえますが、決してそうではありません。DMR-SUZ2060ならではの機能に迫る前に、ビデオレコーダーの新4K放送対応に欠かせない変更点・進化点を説明しておきましょう。
ひとつは「H.265/HEVC」のサポートです。地デジやBSデジタル放送のビデオコーデック(映像データを圧縮・伸張するソフトウェア)にはMPEG-2が採用されていますが、その後にパソコンやスマートフォンで普及した「H.264/MPEG-4 AVC」をスキップし、より圧縮効率が高い「H.265/HEVC」が新4K放送に採用されています。
さらに新4K放送は、HDR規格「Hybrid Log Gamma(HLG)」の対応も必須です。新4K放送対応をうたうテレビやビデオレコーダーには、これらの機能を実現するICチップとチューナーが欠かせません。
録画に使う外付けハードディスクの接続方式も見直しが必要です。従来の地上デジタル放送やBS/CS放送は、一部のチャンネルを除いて最大1,920×1,080画素(フルHD)の“2K”ですが、新4K放送は3,840×2,160画素と情報量が増えることもあり、録画先のハードディスクには高速性が求められます。
DMR-SUZ2060を含め、新4K放送の録画を外付けハードディスクに行うテレビ、ビデオレコーダーでは、接続方式にUSB 3.0が必要(USB 2.0対応ハードディスクは利用できない)とされるのはこれが理由です。
ハードディスクの容量も要チェックです。新4K放送には圧縮効率に優れるビデオコーデック「H.265/HEVC」が採用されており、解像度はフルHDの4倍であってもデータ量は1.4倍程度(ビットレートはBSデジタル放送が最大24Mbps、新4K放送が最大35Mbps)で済みますが、放送データの受信と同時に映像を圧縮するためのICが(民生品に搭載できる水準の価格では)入手しにくく、2018年12月現在の新4K放送録画対応機は○倍モードでの録画に対応していません。
つまり、現状では必ずDRモードでの録画となります。DR(ダイレクトレコーディング)モードとは、放送データをそのまま録画する方式で、画質の劣化も音質の劣化もありません。録画するデータは圧縮されないので、より容量が大きいハードディスクが必要になるのです。
Blu-rayドライブ搭載機の場合、新4K放送の録画とダビングには新規格「BD-RE V5.0」に対応している必要があります。この規格は、Ultra HD Blu-rayにも採用されている著作権保護技術「AACS2」をサポートしており、一般社団法人 放送サービス高度化推進協会(A-PAB)も、4K映像や8K映像の著作権保護技術として認定しています。
DMR-SUZ2060は「4K DIGA」をうたうだけあって、上述したポイントを網羅しています。新4K放送を視聴/録画できることはもちろん、BD-R/REにダビングができて、さらには従来のDIGAで慣れ親しんだ機能も……。次項では、実際にDMR-SUZ2060で新4K放送を体験したときの様子をお伝えします。