声優・羽多野渉が12月12日に2ndフルアルバム『Futuristic』をリリースする。約4年ぶりのアルバムとなる今作は5th~8thシングルのほか新規楽曲が5曲収録されるなどボリュームたっぷりの内容となっている。

  • 羽多野渉(はたのわたる)。3月13日生まれ。長野県出身。81プロデュース所属。主な出演は『千銃士』ラップ役、『ガイコツ書店員 本田さん』ガスマスク役、『中間管理録トネガワ』山崎健二役、『アイドリッシュセブン』八乙女楽役など(左)
    彦田元気(ひこたげんき)。作・編曲家やDJとして活動(右)
    撮影:Wataru Nishida(WATAROCK)

今回は羽多野渉と、TVアニメ『ユーリ!!! on ICE』EDテーマ「You Only Live Once」などこれまで羽多野に数多くの楽曲を提供してきた作曲家・彦田元気の対談が実現。『Futuristic』収録の新曲「CAPSULE HEART」で再度タッグを組んだふたりの関係性や楽曲についてはもちろん、アルバムタイトルにもなっている「未来」についても話を聞いた。

▼この瞬間にひとつのメロディが生まれている

――彦田さんから羽多野渉さんへの楽曲提供は、「You Only Live Once」(『ユーリ!!! on ICE』EDテーマ)、「ハートシグナル」(『ひとりじめマイヒーロー』OPテーマ)、「All day long, All night long」に続いて今回の「CAPSULE HEART」で4曲めになるんですね。

羽多野 そうなんです。彦田さんは1曲ごとに新たな発見をさせてくれる作曲家さんなんですよ。毎回いろんな自分を向き合うことになります。

彦田 「CAPSULE HEART」でも新しい羽多野さんを見せたいなと思って制作させていただきました。これまで応援してきた方も、はじめて羽多野さんに触れる方にもおすすめしたいです。低い声で歌ったり、かと思えば高くなったり、ラップパートもあったりと、一曲でいろんな羽多野さんの顔が見られると思います。

羽多野 とにかく構成が複雑なんですよ。

――過去への哀愁と未来へ向かって歩みだす力強さを意識されているということですが。

羽多野 いろんなシーンが浮かんできて、まるで1本のミュージカルみたいです。やりがいのある楽曲ですね。本来、自分に得意な分野があれば、そこをベースにして曲を作ってもらうやり方もあるかもしれない。でも、2011年からアーティスト活動を続けてきて、いまも自分は何が得意かがわからないんです。なので、毎回違うことにチャレンジしている。それが血となり肉となり、次の音楽活動に生かされています。

――新しい姿を見たくて、毎回楽曲の雰囲気をガラッと変えているのは、アーティストとして信頼しているからこそなのかなと。

彦田 そうですね。やっぱり楽曲って、難しすぎると歌う側はもちろん、聴いている側にも伝わってしまうんです。そのバランスが大切なんですけど、「羽多野さんならいける!」と思って毎回制作しています。

羽多野 ありがたいなー(笑)。

――実際に「CAPSULE HEART」を歌ってみていかがでした。

羽多野 デモ音源を聴いた時点で構成の複雑さを感じていました。しかもラップパートもある。ラップなんて習ったこともないのに(笑)。でも、レコーディングで心強かったのは、彦田さんはもちろん、プロデューサーさんやミキサーさんたちが、歌っているときに「とってもいいですよ!」「ハマッていますよ!」って嬉しい声をかけてくれるんです。どんどんモチベーションが上がるんですよ。

――やっぱりやる気に直結してくるんですね。

羽多野 チャレンジする心が膨らんでいきましたね。みんなで協力しながらレコーディングを進めていったので、孤独に立ち向かっている感じはまったくなかったですね。それに現場でもいろいろなアイデアが飛び交って、本来ボーカルがないパートなのに「ここにハモが入ったらどうですかね」と言ったら、その場でメロディが生まれて。

彦田 ラップパートのシーンからメロディに向かっていくところがあるんですけど、やっぱりそこはメロディアスにいきたかったんですよ。なので、その場で僕が鍵盤を叩きながら、「この音ですね」って音を出して羽多野さんに歌ってもらって、あれは感動しましたね。

羽多野 しびれましたよ。「この瞬間にひとつのメロディが生まれているんだ!」って。

――そういった化学反応的に生まれることがあるんですね。

羽多野 それがあまりに楽しすぎて、レコーディングが終わってからみんなでラムチョップを食べに行きましたからね(笑)。

彦田 これまでたくさんアニソンの現場に関わらせてもらいましたけど、一番楽しかったです。それくらい全員テンションが上がっていましたからね。

羽多野 めっちゃめちゃにね。「みんな、このあとどうですか?」って。最終的にお店の人から「そろそろお時間なんで」って言われる時間まで居ましたからね(笑)。