フランス大手のAtos
フランスの大手コンピュータメーカーであるAtosも、今回のSC18では量子コンピューティングを前面に出した展示を行っていた。といっても本当の量子効果で計算するマシンではなく、通常のマシンに量子コンピューティングのシミュレータソフトウェアを入れ、量子計算をシミュレーションできるようになっているマシンである。
しかし、本物の量子コンピュータは動きが確率的でデバグなどがやりにくいが、シミュレータなら動作が決定的で、動きが逐一わかるので、量子アルゴリズムの開発などには、こちらのほうが使いやすいとのことである。また、Microsoftの量子コンピューティングの主任研究員のMatthias Troyer教授の講演では、最近のQuantum Inspiredアルゴリズムを使う量子アニールのシミュレータはD-Waveの本物の量子アニーラよりも速いと述べており、シミュレータは結構使えるようである。
Shastaを展示したCray
CrayはLaurence Berkeley国立研究所に納入が決まったNERSC-9(Perlmutter)に採用された新スパコン「Shasta」のブレードを展示していた。
現在のXCシリーズのマシンでは1枚のブレードにCPUとネットワークインタフェースが搭載されており、その組み合わせを変えるには別の種類のブレードを使う必要があるが、Shastaでは、CPU部とネットワーク部などを分離した構造とし、CPUとネットワークの組み合わせが容易に変えられるようになっている。
ちなみにShastaのブレードの撮影は、説明員によってOK/NGの返事が異なっていた。説明員によって対応が違うようである。
展示されていたのは、Shastaのコンピュートブレードと、CrayがShasta向けに開発したSlingshot(ゴムを引っ張って弾や小石を飛ばすパチンコ)というインタコネクトのIntegrated SwitchとTop of the Rack switchのブレードである。これらの3種のブレードは写真で言うと左右の長さは異なるが、上下の方向の長さは揃えられており、ブレードシャシーに適切なブレードを組み合わせて取り付けて使用すると思われる。
コンピュートブレードには4個の水冷コールドプレートが見えるが、裏向きのプリント板の下にもCPUがあり、このブレードに8個のCPUが搭載できる。これは現在の空冷XC50と比べると2倍くらいの密度になっているように見える。
CPUの間に見えるのは、DIMMとDIMMを冷やすための水冷のコールドプレートである。1枚のコールドプレートの両側にDIMMが置けるので、全体では64枚のDIMMを搭載することができる。
Integrated Switchは24個のコネクタが付いており、24ポートと思われる。
Top of Rack Switchは、16個のインタフェースモジュールが見え、2段積みとすると32ポートであると思われる。