次に、画質をチェックしてみましょう。それぞれに開放値F4通しの標準ズームを装着し、ズームの24mm側で晴天の屋外風景を撮ってみました。感度は最低感度を、絞り値はF5.6を選択しています。
結果は、両モデルとも遠景の細部までをシャープに解像する優れた描写性能を確認できました。2台の細部表現力は、数あるフルサイズセンサー搭載機の中でもトップレベルといっていいでしょう。特にZ 7は、今回使用したレンズの光学性能が優秀であり、画面全域にわたって高精細を維持できています。
高感度を比較する
最後に、室内で静物を撮影し、高感度時の画質を見てみましょう。撮影条件は、標準ズームの70mm側を使用し、絞り値をF16に、ホワイトバランスをオートにそれぞれ設定。感度は、ISO6400から1段ずつ上げながら撮影しました。高感度ノイズリダクションは、初期設定である標準(ノーマル)を選んでいます。
結果は、どちらも非常に低ノイズであり、感度ISO6400から12800ぐらいまで発色や細部表現力も実用十分なレベルといえそうです。ISO25600以上は、暗部を中心にやや目立つノイズと、ノイズリダクション処理の影響による解像感の低下が気になります。特にZ 7は、初期設定のノイズリダクションが少々強めで、その分だけ細部がつぶれ気味になっています。α7R IIIのほうは、Z 7に比べてノイジーである分、ディテールが残っています。
もちろん、ノイズリダクションの設定を変更したり、RAWで撮影して自分で現像したりすれば、また違った結果となるでしょう。
両機種はこんなユーザーにおすすめ
トータルとしては、Z 7は握りやすいグリップと見やすいファインダー、強力な手ブレ補正、ワンランク上のレンズ光学性能などが魅力であり、α7R IIIは機動性に優れたボディと安心感のあるダブルスロット、良好なバッテリー持久力、スピーディな連写とAFなどが魅力といえます。
交換レンズの充実度については、いち早くフルサイズミラーレス分野に参入したソニーEマウント採用のα7R IIIが有利です。Eマウントレンズは、ソニー純正品だけでなく国内外の多くのサードパーティ製品が用意されています。さらに、マウントアダプターも含めると、レンズの選択肢は非常に豊富です。
新開発のZマウントを採用したZ 7は、いまのところ専用の交換レンズは標準ズームと35mm単焦点、50mm単焦点の計3本となります。いずれもハッとするくらい写りのいいレンズであり、画質に徹底してこだわる人ならきっと満足できるはずです。また、純正のマウントアダプターを介して多くのFマウントレンズが使用できることは、すでにFマウントレンズを所有しているニコン製一眼レフユーザーにとっては大きなポイントでしょう。
少々強引ですが、個人的な結論としては、画質重視のユーザーおよびニコン一眼レフユーザーに対してはZ 7をおすすめします。レンズだけでなく、外部ストロボやバッテリーなどのアクセサリー類が共用できるメリットもあります。
一方のα7R IIIは、製品としてもシステムとしても先行している分だけアドバンテージがあります。今回の試用では、幅広いユーザー層にアピールできる優れたカメラに仕上がっている、と改めて感じました。