方針の転換ではなく、本質にフォーカスして正確に定義しなおした

-- この新しいカテゴリーの定義は、FileMaker社の方針の転換点なのでしょうか。それとも従来の延長線上にあるものでしょうか。

米FileMaker Inc. ワールドワイドマーケティング担当バイスプレジテンドのアン・モンロー

ルケイツ 方向を変えたということではなく、本質によりフォーカスしたものです。私たちは「What is FileMaker for(直訳すれば、FileMakerは何のためのものか?)」をもっと伝えていきたいと思っています。

アン パワフルなテクノロジーを多くの方にとって利用しやすくするために、技術的な拡張はもちろん推進していきます。しかしカテゴリーとしては、どのような技術かということよりも、お客様の問題を解決することにフォーカスしていきます。

エプリング FileMakerが仕事におけるチームの基盤であること、情報を共有し生産性を高めるという考え方に、変わりはありません。

ルケイツ 将来を見すえて、定義をより正確にしたということですね。

どのレベルの開発者にも、カスタム Appのユーザにも、良いエクスペリエンスを提供したい

-- FileMakerは開発環境も実行環境も備えたプラットフォームですが、最近の進化の方向性としては開発の方に重きが置かれているようにも見えます。

ルケイツ 開発を加速させることはもちろん重要です。しかし私たちは、開発はせずにカスタム Appを使う側のユーザのエクスペリエンスをモダンなものにしたいと思っています。モバイルでもWebクライアントでも、ユーザのエクスペリエンスを良くするように努めています。ユーザのために開発をするのであり、それがユーザのためになるからです。

-- 以前から、FileMakerはシチズンデベロッパー(プロの開発者ではなく、実際の業務にあたりながら開発をする人)がカスタム Appを開発して生産性を上げられるプラットフォームであるというメッセージがありました。しかし新しい技術との統合や外部システムとの連携など、シチズンデベロッパーにとって難しいプラットフォームになりつつあるのではないでしょうか?

エプリング 開発のベテランにとって効率よく作れることも、初めて作る人にとって簡単であることも重要であると考えています。初めて開発をする人のエクスペリエンスが良いものになるようにしていきますので、今後のリリースを楽しみにしていてください(笑)。

ルケイツ 開発のプロでなくても、たとえばESSによってリッチなインテグレーションが容易にできるようになりましたね。このようにノーコード、ローコード、プロコードの、すべてのレベルの人に合わせたプラットフォームを提供していきます。リソースや時間が足りないなどお客様にはさまざまな事情がありますが、オンラインのコミュニティに8万人以上が参加している、1,000社以上の開発パートナー企業があるなど、お客様を支援する優れたエコシステムがあることもFileMakerプラットフォームの特長です。

エプリング 開発のプロ向けにはDevCon(毎年開催されている開発者会議)で技術的な情報をお伝えしていますが、FileMakerプラットフォームをまだ使ったことがない人、作ったことがない人向けのアプローチにも力を入れています。プロの生産性を上げることと、シチズンデベロッパーがビジネスの問題を解決すること、この両方を満たすロードマップを進めているところです。

人材育成に対する取り組みは?

-- 初日午後のスペシャルセッションでは、スマートフォンの台数は急成長しているのにコンピュータサイエンスの卒業生の数は横ばいで、スキルギャップが生じているという話がありました。開発スキルを持った人材の育成も、FileMakerプラットフォームにとって重要ということでしょうか。

ルケイツ スペシャルセッションでの話は一般論ですが、人材やコミュニティは成長させていきたいと思っています。米国とヨーロッパでは42 Silicon Valleyというコーディングカレッジとのパートナーシップにより、コンピュータサイエンティストを目指す若者に対して無償で教育を提供し、彼らをFileMakerコミュニティの企業にインターンとして受け入れる取り組みを始めています。

ファイルメーカー社 North Asia Sales Directorの日比野暢

エプリング 日本ではキャンパスプログラムを展開しています。世界各地でそれぞれの事情に合った試みをしています。

日比野 キャンパスプログラムは日本でのみ実施しているプログラムです。大学、専門学校、高校で、年間200人の生徒・学生がFileMakerを学んでいます。FileMakerを習得したことで就職が決まった大学生もすでに出ています。日本の企業のイノベーションに役立つ取り組みですので、今後もさらに加速させていきたいと考えています。