続いて行われたパネルディスカッションでは、Lマウントアライアンス3社のキーマンが登場。今回の協業体制と各社の思惑についてなど、興味深いエピソードを数多く聴くことができたので、その一部をここでご紹介したい。
パネラーは、パナソニック アライアンス社 イメージングネットワーク事業部事業部長の山根洋介氏、ライカカメラのドイツ本社からプロダクトマネージメント主席日本代表窓口の杢中薫氏、シグマからは商品企画部部長 大曽根康裕氏。ファシリテーターは、アイ・イメージング・フラッグ代表の石田立雄氏が務めた(以下、敬称略)。
石田「フォトキナでの発表は、カメラ専門誌の10月号でも大きく取り上げられていました。今日は、その衝撃を改めてお聞きしたいと思います。パナソニックさん、S1の企画が立ち上がったのはいつごろでしたか?」
山根「2、3年前です」
石田「じゃあ、そのときにマウントも決める必要が出てきたんですね。最初は、自社オリジナルのマウントで行こうと考えていたわけですよね?」
山根「うーん……まぁ……そうですね(笑)。フルサイズをやるにあたってどんなマウントにしようかというのは一番大切な話です。(カメラにとって)心臓部になりますので。そのとき、マウントに求められる条件というのを色々考えました。
作品の表現力を高めるためにしっかりとした光学性能で大口径。写真と動画のどちらにも親和性の高いマウントであることも必要。あとレスポンス、レンズとカメラの間の通信速度や賢さをどうしていくのか。そういったところを担保できるマウントはどうあるべきか、と。当時、私は技術屋でしたから、自前で開発するならどうしようかと考えていました」
石田「その検討過程でLマウントが候補に挙がった」
山根「3年前、責任者としての立場になったとき、この事業(フルサイズ機)を立ち上げるにはどうしたらいいだろうとかなり考えました。5年も10年もかかっていたら、確実に(事業が)死んでしまいます。それなら、一緒にやれるパートナーさんを探すのがひとつの手だろうと。
また、ライカさんとはすでに技術協業提携というのを結ばせてもらっていて、マウントに関しても少しずつそういった議論をさせていただいていたというのもありました。あと、このLマウントは動画と静止画に親和性が高くて、非常に良いマウントだなぁといったところから、ぜひ使わせていただけないかと相談をしたのがスタートになります。去年(2017年)の1月22日の日曜日です(一同笑)。
私たちは、フルサイズマウントに関して自前でやるようなものは持っていない。それにLUMIXブランドは、まだ十数年の歴史しかない。カメラ業界大手さんのブランド力には大きく及びませんから、まずは信頼あるブランドさんが使っているマウントを使うということが必要になってくると思いました。小判ザメみたいですけど(笑)。ただ、Lマウントが素晴らしいことはわかっていたので、これを使わせてほしいと考えることは自然な流れでした」
石田「その話を聞いてライカとしてはどう思われましたか」