USB Type-C接続のハブは必須といえる
もちろん、気になった点もあります。従来は背面にあったSDカードスロットが省略され、デジカメ写真の取り込みがやや面倒になりました。従来からの欠点ですが、USBなどの端子類がすべて背面にあることも、USBメモリーなどを頻繁に抜き差しする場合は使いづらいといえます。これらのことを考えると、USB端子やHDMI端子を備えたUSB Type-C接続のハブを導入し、Mac mini本体の手前や脇に配置するのがよさそうです。
アップル純正のThunderbolt 3/USB-C対応4Kディスプレイが存在しないのも、やや残念な点といえます。サードパーティーでは、LGエレクトロニクス・ジャパンが「LG UltraFine 4K Display」などのThunderbolt 3/USB-C対応4K液晶ディスプレイを精力的に投入しています。しかし、ファンならば「ディスプレイもアップル製品でそろえたい」と思うもの。純正品の登場に期待したいところです。
スペックをカスタマイズすると価格が急に跳ね上がるのも悩ましいところです。もっとも低価格なモデルは値ごろ感のある89,800円(税別)で購入できますが、メモリーは8GB、SSDにいたっては128GBにとどまります。カスタマイズでメモリーを16GB、SSDを256GBにすると価格は133,800円(税別)となり、お買い得感は薄れます。せめてSSDは標準で256GBにしてほしかったところです。
Windowsからの乗り換えも視野に入る佳作
新しいMac miniは、最新のCPUやSSDを搭載してパフォーマンスを向上しつつ、接続端子をThunderbolt 3中心に置き換えることで、現代のMacにふさわしい内容になりました。それでいながら、伝統のサイズや質感の高いボディーを維持しつつ、低騒音で快適に使えることをしっかり追求した点は評価できます。接続端子がすべて後ろにあるのはいささか使いづらいものの、USBやHDMIを切り捨てずに残した点は安心できるポイントといえます。BootCamp(macOSに標準搭載)やParallels Desktop(実売価格は税込1万円前後)を利用してWindows 10を導入すれば、本家Windowsにはない個性を持つ魅力的な小型デスクトップとしてさらに活躍の場が広がりそうです。
これだけ小さく軽いMac mini、自分の環境を自宅でも仕事場でも展開できる“モバイルデスクトップ”として使うのもよさそうです。持ち運ぶならばMacBookなどのノート型Mac、というイメージがありますが、ノート型は底面積が大きいだけに意外とかさばり、液晶パネルがあるので慎重に持ち歩く必要があります。その点、Mac miniはボディバッグなどの小型バッグにもラクラク収納でき、多少の衝撃も気にする必要はありません。T2チップの搭載により強固なセキュリティ機能が備わったので、万が一本体を紛失しても情報漏洩のリスクを最小限に抑えられます。
まとまりのよさから再びのロングヒットとなりそうな新しいMac mini、古いMacを使っているユーザーのみならず、2020年1月にサポートが打ち切られる古いWindows 7搭載パソコンからの乗り換えを検討している人にとっても、注目の存在となりそうです。