▼高クオリティ連発なものまねコーナー

その興奮冷めやらぬまま、今度は定番コーナー・ものまねがスタート。1コーラスずつ、出演者陣が次々とものまねカラオケを披露していく。まずは「昔から好きな歌を練習してきた」と語る汐谷が「まっがーれ↓スペクタクル」を披露。雰囲気や、特に語尾感の非常に似た質の高いものだったが、なぜか歌唱後のトーク中には照れを見せていた。

続く本宮は、「ローリンガール」でイントロのセリフから完璧に初音ミクすぎるパフォーマンス。グリーンに染まる客席を前に振付も交えつつ、先ほどのハチャメチャさとはうってかわってボカロらしいイントネーションを完全再現。歌唱後の「ありがとうございました」まで、とにかくパーフェクトだった。

そのクオリティに若干尻込みしつつも、ちょうどこの2曲の中間にあたるような「雪、無音、窓辺にて。」を、続けて吉岡が披露。声質的なハマりもよく無機質感もしっかり出ており、特にア段の発音の忠実さから素晴らしさを感じた。

夜の部は他にも本家に忠実なものまねが多く、若井の「そばかす」もボーカルの入りからロングトーンの切り方と細部に至るまで実によく似ており、歌唱後小山も高評価。さらに近藤の「バラ色の人生」は歌声のみならずクオリティ高い振付も含めて、王子様感の強いステージングを見せてくれた。

その一方で、もちろん「やりたい放題」組も存在。まず駒田は『アナと雪の女王』の「Reindeer(s) Are Better Than People」を、セリフ的な起伏も込めて見事に2役を演じ分ける形で披露し喝采を浴びると、続く伊東は「パート・オブ・ユア・ワールド」を歌唱。しかし、これはモノマネか……? と思っていると、油断したスキにセリフすべて某ネズミで込むというバラエティ的な展開に。地のボーカルが変わらず上手いだけに、これには驚いた。また、相羽は「real Emotion」の冒頭で、英詞パートを歌うと見せかけて見事なモノマネで喋りまくる。しかも歌いだしてからのボーカルも激似で、歌唱テクとやりたい放題の両取りをここでも成し遂げてみせた。

▼コンビネーションバッチリなデュエットコーナー

そしてイベントの最後を飾るのは、デュエットゾーン。まずは吉岡と若井が「逆光のフリューゲル」を披露する。同じユニットでの活動やラジオの担当もあり、コンビネーションには折り紙付きのこのふたり。主線の迫力や確度の高さはもちろん、Aメロからバシバシ飛び出してくるハモの美しさなど、見せ方を含めて思い切り魅了されてしまった。また、3-Bメロを背中合わせで対になって歌うと、そこからの大サビの入りもタイミングばっちり息ぴったり。難所もしっかり乗り切って、歌いこなしていった。

続く汐谷・駒田ペアは『塔の上のラプンツェル』の挿入歌「輝く未来」を、シーンを完全再現しながら披露。しかも汐谷がラプンツェルらしく金髪おさげのカツラをかぶり、さらにランタン係として伊東もその演出に一役買う。そんな、見え方としては若干ネタ寄りのもののはずなのに、歌声はとても美しいもの。最後に響かせたハーモニーもとても心地よく、視覚・聴覚両面から情報量の多すぎる1曲で楽しませてくれた。

女子ペアラストは相羽・本宮による「ライオン」。「私たちは、ライオンのフレンズの歌をうたいます!」とイントロで相羽が宣言する。こちらもユニット活動をともにするふたりらしくコンビネーションは抜群で、相羽の力強い歌声と、本宮のソロよりも少し甘めのボーカルとが絶妙なハーモニーを響かせる。そうして原曲の良さを生かしつつ、サビ前には「がおー!」と"あの作品"を連想させる雄叫びを上げたのは、ニクいポイントだった。

そしてラストを飾る伊東・近藤ペアが選んだのは、大石の持ち歌「恋風」。いわばセルフカバーのような形となるこの曲で、伊東がまずは素直で清涼感ある歌声を響かせれば、続く"本家"近藤もしっかりとそのバトンを受け取り、サビではハーモニーも交えて爽やかかつ甘酸っぱい歌声を響かせていく。こうして最後の最後に大きなサプライズも交えて観客のボルテージをMAXにしたところで、本編は幕を下ろした。

そしてカラオケBOXという設定らしく、アンコールを求める「延長! 延長!」の声が響くなか出演者が全員再登場。それぞれの挨拶を経て、最後に小山が「皆さんからの感想をもらうたびに力を奮わせて、おかげで続けてこられました」と感謝を述べ、「出演者の皆さんからの『次も出たいです!』というありがたい声もいただいていますし、今日ここにいる方以外にも抽選に漏れた方もたくさんいて……なので、ここでやめるわけにはいかないと思っています。今後も続けていって、最終的には武道館あたりでやれたら楽しいかな、と思います」と今後の野望もぶち上げたところで、全員でゆずの「夏色」を歌唱。客席に黄色のペンライトの輝きも交じりつつ、サビはシンガロングで会場一体となる。こうして9人と2000人が笑顔の夏色を刻んで、退店の時間と相成ったのだった。

「熱色スターマイン」歌唱中に、「ここを日本で一番楽しいカラオケボックスにしようぜー!」と伊東がシャウトした通りの空間になった、この日のさいたま市文化センター。まるで声優陣のカラオケに紛れ込んでしまったかのような楽しいイベントが、小山の言葉通り近いうちにまた開催されてほしいと、強く願う。きっと驚くような規模感の、最大・最高のカラオケBOXが、また誕生するはずだ。

●「JOYSOUND PRESENTS 小山剛志カラオケ企画第7弾 カラオケMAX」7月21日夜の部セットリスト
M1.勝手にシンドバッド(サザンオールスターズ)/小山剛志
M2.いけないボーダーライン(ワルキューレ)/吉岡茉祐
M3.Wanna be!(BOYS AND MEN)/汐谷文康
M4.Catch the Moment(LiSA)/若井友希
M5.It's My Life(Bon Jovi)/駒田 航
M6.創聖のアクエリオン(AKINO from bless4)/本宮佳奈
M7.リライト(ASIAN KUNG-FU GENERATION)/近藤孝行
M8.Naked arms(T.M.Revolution)/相羽あいな
M9.熱色スターマイン(Roselia)/伊東健人
M10.スキップ・ビート(superfly)/夏目(うたスキ選出枠)
【タイトルorアーティストに「生き物」が入っている曲縛り】
M11.明日も(SHISHAMO)/吉岡茉祐
M12.Monster(嵐)/汐谷文康
M13.カブトムシ(aiko)/若井友希
M14.おさかな天国(柴矢裕美)/駒田 航
M15.ハム太郎とっとこうた(ハムちゃんず)/本宮佳奈
M16.北風小僧の寒太郎(堺 正章&東京放送児童合唱団)/近藤孝行
M17.evolution(浜崎あゆみ)/相羽あいな
M18.大石のテリトリー(ミュージカル<テニスの王子様>)/伊東健人&近藤孝行
【モノマネ縛り】
M19.まっがーれ↓スペクタクル(小野大輔)/汐谷文康
M20.ローリンガール(wowaka feat.初音ミク)/本宮佳奈
M21.雪、無音、窓辺にて。(茅原実里)/吉岡茉祐
M22.Reindeer(s) Are Better Than People(Jonathan Groff)/駒田 航
M23.パート・オブ・ユア・ワールド(すずきまゆみ)/伊東健人
M24.そばかす(JUDY AND MARY)/若井友希
M25.real Emotion(倖田來未)/相羽あいな
M26.バラ色の人生(及川光博)/近藤孝行
【デュエット縛り】
M27.逆光のフリューゲル(ツヴァイウイング)/吉岡茉祐&若井友希
M28.輝く未来(諏訪部順一、桑島法子)/汐谷文康&駒田 航
M29.ライオン(May'n、中島愛)/相羽あいな&本宮佳奈
M30.恋風(近藤孝行)/伊東健人&近藤孝行
【延長】
夏色(ゆず)/ALL CAST