俳優の千葉雄大が、世界中の番組が取引されるフランス・カンヌの見本市「MIPCOM」(ミプコム、10月15日~18日)のレッドカーペットで、熱い声援を受けた。主演ドラマ『プリティが多すぎる』(日本テレビ、毎週木曜24:59~)のワールドプレミアの舞台あいさつのために来場し、海外バイヤーや外国人記者勢から注目を浴びていたのだ。そんな千葉を現地で直撃し、作品に込めた思いを聞いた――。

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    「MIPCOM」のレッドカーペットを歩いた千葉雄大 (C)Yann COATSALIOU - 360 Média

貴重な経験に「ありがたい」

毎年10月に行われるMIPCOM。今年は110の国と地域から、総勢約1万3,800人の業界関係者が、ドラマやアニメ、ドキュメンタリー、バラエティを売り買いするために集まった。

今は「ドラマの黄金時代」と言われているほど、ドラマの流通が活発なため、世界展開を目指す新作ドラマの発表が続々。そんな中、千葉が主演する『プリティが多すぎる』が、アメリカ、スペインの公式ワールドプレミアに並んで、アジア作品を代表して『Way Too Kawaii!』の英語タイトルで上映された。

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MIPCOM公式ワールドプレミア上映を知らせる看板

同作は大崎梢氏の同名小説が原作。千葉は大手出版社で働く入社3年目の編集者で、「南吉(なんきち)」というあだ名を持つ主人公・新見義孝役を演じ、文芸編集部の元エースが「プリティ満載の」の原宿系ファッション誌を扱う職場で、新たな自分の役割を見つけていくお仕事ドラマが描かれている。世界中から観光客が集まる原宿の街を舞台に「日本のカワイイ文化」の本質も感じ取ることができる内容であることから、制作段階から世界発信を狙って作られているドラマでもある。

ワールドプレミア上映に先立ち、南仏特有の青空と紺碧の海が臨めるMIPCOM会場では、フォトコール(公式写真撮影)や、海外メディア各誌らからのインタビューに応えている千葉の姿があった。初めてきたというカンヌは「到着したら良く晴れていて。気持ちのいい場所ですね。海外の映画・映像祭で海外プレスの方々からインタビューを受けるのも初めての経験となり、緊張もしています。でも、何より貴重な経験をさせてもらい、ありがたいです」と話した。

カンヌでカワイかったポメラニアン

海外メディア対応からさっそくうれしい反応もあったというので、それについて尋ねると、「僕が演じる『南吉』が抱える仕事の悩みや葛藤に共感してくださる記者の方もいました。現実の世界でもやりたい仕事が見つからない若者や、何をしたいかわからない学生も多く、でも、やりたい仕事につけることは稀(まれ)。生きている中で、仕事はやりがいにつながる要素は大きいと僕は思っているので、難しいこともあるけれど、苦手だと思うことでもなんでもやってみると、前向きな自分に出会えるかもしれませんよね。それはこの作品のテーマでもあります。若者の励みになるドラマを目指していることが、海外の方にも伝わっていただけていることがうれしかったです」と、自身の思いを交えて答えてくれた。

米大手メディア誌の記者は「日本のカワイイ文化がテーマにあることもこのドラマの注目ポイント」と評価。千葉と共にカンヌに来場した日本テレビの森有紗プロデューサーは「“カワイイ”という言葉は、21世紀に入って世界に最も広まった日本語だとも言われています。このドラマをご覧になって、“カワイイ”の持つ意味と、そのユニークな魅力を探求してほしい」と話す。

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    海外メディアのインタビューに応じる

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    レッドカーペットで取材を受ける

千葉は「カワイイ」という言葉をどのように捉えているのか。聞いてみると、「嫌なことも吹き飛ばせる言葉だと思います。あらゆるものの形容詞になるおもしろい言葉ですよね。ドラマではそんなカワイイの言葉の意味について深く考える役でもあり、だから、カワイイは成長させてくれる言葉なのかもしれません。周りからなんと言われようと、自分がカワイイと思えれば、それでいいんじゃないかなと思います。だって、カワイイは作れますから。僕は“ビジネスカワイイ”と言われることもありますが(笑)」と答えた。

初めて訪れたカンヌで千葉が「カワイイ!」と思ったものは「ポメラニアン」だという。「カンヌはポメラニアンを連れて歩いている方が多いなと思いました。淡い色合いを上手に使った街の家並みの風景もカワイイ。街歩きも少し楽しみたいです」と、美しい街並みで知られる南仏の土地柄にも興味が惹かれている様子だった。