ボーズが10月に発売した、音声アシスタント「Amazon Alexa」に対応したサウンドバー「Bose Soundbar 700/500」と、スマートスピーカー「Bose Home Speaker 500」の体験会が開催されました。イベントに参加して、それぞれの音を聴いてきました。

  • ボーズのAlexaを搭載したサウンドバーを、ボーズのデモンストレーションルームで試聴してきました

わが家で映画館に迫る臨場感たっぷりの立体音響が楽しめるホームシアターシステムは、いまから約10年前を振り返ると、当時は複数のスピーカーや重低音再生用のサブウーファーを部屋に設置する5.1chマルチサラウンド環境が主流だったように思います。

ところがそのトレンドは、しだいに少ない数のスピーカー、省スペースでサラウンド再生を楽しむ方向へと移り変わりました。現在では、薄型スリムな1本のスピーカーだけで迫力のサラウンドが楽しめる“サウンドバー”に人気が集中しています。まず、ボーズが発売したふたつの新しいサウンドバーについて特徴を見ていきましょう。

「Bose Soundbar 700」「Bose Soundbar 500」

  • 下段が上位モデルの「Bose Soundbar 700」、上段が「Bose Soundbar 500」です

Bose Soundbar 700は、横幅98cm、高さ5.7cmのスリムなサイズと、天面にガラスプレートをあしらったスタイリッシュな外観が特徴です。価格は103,680円(税込)。カラーバリエーションには、ボーズブラックとアークティックホワイトの2色があります。

メタルシャーシの本体フレームに、ボーズが長年培ってきた音響技術の最先端が詰まっています。上位機種である本機の特長は、独自開発による楕円形の振動板を持つフルレンジドライバーを左右に2基と、センターの位置にトゥィーターを1基のほか、左右の端に立体感あふれるサラウンド音声を再現するためのPhaseGuideアレイを搭載したことです。

PhaseGuideは筒状の音道管に無数の細かい孔を設けて、DSP(デジタル信号処理回路)によってコントロールしながら音を放出します。壁反射も利用しながら、スピーカーを置いていないユーザーの背後に回り込むサラウンド感を作り出すボーズの独自技術です。

弟モデルになるBose Soundbar 500は、本体がますますスリムでコンパクトなサウンドバーです。横幅は80cm、高さを4.4cmとして、薄型テレビの足もとにもすっきりと置けるサイズ感です。天面はマットな仕上げの樹脂素材。メタルボディによるプレミアム感あふれるデザインを上位モデルと共有しています。価格は71,280円(税込)。

本機はPhaseGuideアレイは非搭載ながら、本体の左右側面に向けてスピーカーユニットを配置しているので、壁反射によって同じくリアルなサラウンド感が得られます。

このほかにも、コンパクトなスピーカーでサイズを超えるパワフルな低音を再現する独自の音道管技術、「QuietPortテクノロジー」は、Soundbar 700/500の両モデルに採用されました。

初期設定と操作はカンタン

複雑に思えるホームシアターシステムの初期設定については、ボーズが5.1chタイプのホームシアターシステムにも搭載してきた自動音場補正機能「ADAPTiQ」によって、簡単に行えます。音場測定に必要なマイクを載せたヘッドセットを身に着けて、専用のモバイルアプリ「Bose Music」に表示されるガイダンスに従いながら、リスニング位置でベストなサラウンド感が得られるようにフルオートでセットアップします。

  • オートセットアップ機能「ADAPTiQ」のヘッドセットマイク。Bose Musicアプリと合わせて設定を行います

Bose Soundbarが搭載するHDMI端子は、テレビから映像と音声の両信号を1本のケーブルで伝えられるARC(オーディオ・リターン・チャンネル)機能に対応しています。

例えば、ホームシアターでBlu-rayディスクの映画鑑賞を楽しむときの基本的な機器の接続は、Blu-rayプレーヤー・レコーダーからテレビへ、さらにテレビのARC対応HDMI端子からサウンドバーにHDMIケーブルでつなぐかたちになります。ARC対応のHDMI端子を搭載していないテレビの場合は、映像をHDMIケーブルでつないで、音声は光ケーブルでサウンドバーの入力に送り込むことも可能です。

加えて、Wi-Fiに接続してAmazon MusicやSpotifyの音楽配信や、インターネットラジオのTuneInを楽しんだり、Bluetoothでスマホやタブレットに接続して端末内の音楽を聴けるワイヤレススピーカー機能も備えています。

サウンドバーの基本操作は、Bose Musicアプリとスマホのペアで行うか、またはAlexaを利用する音声ユーザーインタフェースを使う方法があります。音声操作については、サウンドバーの本体に8つのマイクアレイを内蔵。ボーズのノウハウによって高い集音性を実現しているところも、差別化のポイントです(ボーズは、航空機用ノイズキャンセリングヘッドセットなど他のオーディオ機器の開発によって、深く広いノウハウを蓄積しています)。

  • “アレクサ”とトリガーワードを話しかけるとフロント側のスリットに配置されているLEDランプが静かに光ります

  • Android/iOSのモバイル端末に対応するBose Musicアプリ。オプションのスピーカーも含むサウンド設定をアプリから行ったり、音楽ソースの選択操作にも対応しています

AlexaによってAmazon Musicの音楽再生だけでなく、天気やニュースを音声で読み上げてくれたり、スマートホーム機器の遠隔操作もできます。Bose Soundbarの2機種とBose Home Speakerの組み合わせによる、マルチルーム再生も楽しめます。将来はソフトウェアのアップデートによって、もっと色々な機能を追加することも検討されているそうです。

上位の700には、スタイリッシュなハードリモコン「Bose Soundbar Universal Remote」が付属します。サウンドバーと一緒に使うテレビのリモコン信号を記憶させれば、テレビの専用リモコンの役割をひとまとめにできて便利です。スマホアプリとハードリモコンに搭載する1~6のプリセットボタンに、良く聴く音楽ソース、インターネットラジオのステーションを割り当てて、一発で呼び出せる機能もあります。

  • ユニバーサルリモコン機能を備える「Bose Soundbar Universal Remote」。上位モデルのSoundbar 700に付属しています

  • こちらはSoundbar 500の専用リモコン。Soundbar 500も別売オプションとしても販売される「Bose Soundbar Universal Remote」に対応しています

Bose Soundbar 700/500のサウンドを体験

今回、ボーズのデモルームでBose Soundbar 700/500のサウンドを体験しました。Soundbar 700は豊かに広がるきめ細かいサラウンド成分の階調感が見事。驚くほど生々しい臨場感です。

映画を再生すると効果音が背後にしっかりと回り、まるで作品の舞台に飛び込んでしまったような迫力を味わえます。役者の声がとても明瞭で聴きやすく、様々な音の成分が交錯するシーンでも人の声が立体的に前へ出てくるような感覚がありました。音楽ライブのデモンストレーション映像では、張りのある声の弾力感や楽器の濃厚な音色に思わず引き込まれてしまいました。

Soundbar 500のサラウンド感も、上位モデルに引けを取っていません。スポーツ系のデモ映像はスタジアムの情景がイメージできるほど音の粒立ちが鮮明で、活き活きとしたイメージが頭の中に広がります。どちらのモデルもサウンドバー単体で鳴らし切る低音がとてもどっしりと響いて、その量感の豊かさに圧倒させられました。

  • 重低音を肉付けしたい場合、ぴったりなサブウーファー「Bose Bass Module」があります。左側がおおきめな700、右側が500になります

さらに、Bose Soundbarの両モデルには、豊かな重低音再生を肉付けできる「Bose Bass Module 700/500」や、リア側のサラウンド成分をよりリアルに再現したい場合に最適な「Bose Surround Speakers」がオプションとして用意されています。ふだんから映画を見る機会が多く、スピーカーの置き場所など部屋の環境にゆとりがあれば、ぜひ導入を検討したいアイテムです。

  • リア側のサラウンド再生をリッチにする手のひらサイズの「Bose Surround Speakers」。音声信号はワイヤレスで受けて再生できるのが特徴

デモンストレーションでは、大きな音でコンテンツを再生しながらでも、本体の内蔵マイクが正確にユーザーのボイスコマンドを拾ってくれる実力も確認できました。この性能なら、大音量を鳴らしながら使うことの多いサウンドバーに、Alexaの音声コントロールを搭載したことも納得できます。