カップリング曲でテーマにしたのは、いちばん身近な存在である母

――また、YouTubeではMVのTV Sizeが公開されています。今回のコンセプトはどういったものなのでしょう?

歌詞もアニメも仲間がテーマになっているように思ったので、MVもより仲間の存在を意識できるようなものにしたくて、いつもツアーで一緒に回ってくれているおなじみのバンドメンバーにお願いして、一緒に撮りました。意外と距離も近かったので、「なんかちょっと気恥ずかしいね」みたいに言いながらでしたけど(笑)。でもその分、今までの中でいちばんライブに近いMVになったのかなって思います。

――たしかに。これまでは強めの楽曲が多かったのもあって、アー写の衣装で力強く歌われていることが多くて。

そうなんですよ!(笑)。それに割とキリッとして歌うほうが多かったので、笑顔のMVもそんなになくて。だから今回は、すごく自然体に撮れたのかなって思いますね。ソファのシーンとかは、それこそもうぐでーっとしてたので……人をダメにするソファでした(笑)。

――その裏側は、メイキングでも観られると思います。

はい! 今回はレコーディングの様子も撮っていただいているので、徐々に「ヤバい」ってなっていてる状態も観れると思います(笑)。

――そしてカップリング曲「Weak and Brave」は、歌詞も手がけられました。

この曲はプロデューサーさんから「この曲は愛情とかそういうものをテーマに、力強くかっこいいものを書いてほしい」というお願いがあったので、それに沿って書いていくことになりまして。自分の中で愛情を象徴していたり、力強くてかっこいい存在ってなんだろうなって考えたときに、「私にとってはお母さんだな」って思ったので、それをテーマにしました。

――結構直接的に織り込んだ部分もありましたか?

やっぱりありましたね。でも今回は、ただ母親にありがとうみたいな感じの楽曲にはしたくなくて。自分の家庭を振り返ると、実は母子家庭で育ってきていたこともあって、母親との繋がりは人一倍大きかったように思うんですよね。それで、母もきっと私を育てるために「ひとりで頑張らなくちゃ」って、どんどん傷を背負って強くなっていったのかな、って最近気づいたんです。

自分自身もたぶん、それを幼心になんとなくわかっていて。だからこそたぶん、早く歌手になるっていう夢をかなえて支えてあげたいって強くなれてたと思うんですよ。「足りないからこそ弱いからこそ、お互いに強くなれた」っていうところを書きたいなと思ったんです。……でもまだこのことを、お母さんには言えてないんですよね(笑)。

――リリース日までには言いますか?

どうですかねぇ? 恥ずかしいなぁ……まぁ、いずれ伝わるだろう、ということで(笑)。

――ということはその分、レコーディングでもどう歌いたいかというイメージは明確だった。

そうですね。この曲のレコーディングは表題曲とは逆にすごく早くて、一発目からチームのみんなにも「いい感じだね」って言ってもらえたので、やっぱり歌詞を書いたのはすごく大きかったのかなって思います。それに、身近な人を歌うっていうことでイメージもしやすかったのかもしれないですね。でも私にとっては母親がそういう力強くてかっこいい女性像なんですけど、友達だとかいろんな人に当てはめて聴いてもらいたいな、と思いながら書いていたので、みんなにとっての大事な人を思い浮かべて聴いてもらえるといいのかな、と思います。

長いツアーならではの、ツアー中の変化も楽しんでほしい

――そしてアジアツアーの後半戦や12月に出演されるブラジルでのイベントなど、年末に向けてライブの回数もまた増えていきます。そちらに向けての意気込みをお伺いできますか?

はい。特にアジアツアーは、セットリストはほぼほぼ同じでいきたいなって思っているんですけど、毎回同じ曲をやっていても会場ごとに見えてくる景色や反応って全然違っていて。それを受けてスタッフさんやバンドメンバーのみんなと毎回話し合って、「じゃあ、次はこうしてみよう」ってどんどん挑戦できるのが、こういう長いツアーのいいところでもあり楽しいところなんですよ。なので、そういう意味では1公演ずつ変化を楽しんでもらえるツアーになっているのかなって思っています。

――そういう場所ごとの反応を感じながら、後半戦も回られていく。

はい。あと、国内では今まで東名阪での公演が多かったんですけど、今回はそれ以外の地方各地にも行けるのもすごく楽しみですね。なかなか行けなかった場所に歌を届けに行くっていうことだけでも意味のあることだと思いますし、さらに何か歌いに行った意味みたいなものを残していけるように、1公演ずつ大切にていねい丁寧にやっていきたいですね。会場自体も、結構密集度の高いものところが多いと思うので、そういうところもすごく楽しみです!

――実はそのツアーが終わると、もう2018年が終わってしまうんですよね。

そうなんですよー! 1年早かったぁ!(笑)。

――なのですごく気が早いんですけど、来年やってみたいことがあればお教えいただけますか?

さっき「野音で集大成を見せれたかな」って言いましたけど、もっともっと新しい扉を開いていく時期なのかなって思います。自分らしいものが自分の中で固まってきた今だからこそ、守りに入らず新しいものに挑戦していくっていうのは、来年の課題かなって思います。

それに個人的には、やっぱり今までアニメやアニソンがきっかけで自分や自分の曲を知ってもらえたりと、そういうものに助けてもらっていた部分がすごく大きかったと思うんですよ。なので、あくまでこれは個人的な目標なんですけど、今度は逆に自分が何か恩返しできたらいいなっていうふうには思いますね。「鈴木このみを通じて、アニメにちょっと興味を持つようになった」みたいに言ってもらえるようになっていけたら、とても嬉しいですね。

●鈴木このみ15thシングル「蒼の彼方」
発売日:10月24日
・通常盤(CD)
価格:1,300円(税込)
・DVD付盤
価格:1,800円(税込)
CD収録内容
1.「蒼の彼方」
2.「Weak and Brave」
3.「蒼の彼方」off vocal
4.「Weak and Brave」off vocal
DVD収録内容
1.「蒼の彼方」Music Video
2.「蒼の彼方」Making Video

  • 通常盤

  • DVD付盤