江里子さん、実はパシり疑惑

――江里子さんは、すごくちょっとしたことで喜べると本の中にも書いていて。

江里子:美穂さんには「お姉さんはちょっとしたことで喜びすぎでチョロい」なんて言われて(笑)。本にも書いたんですけど、ちょっとカレー作ってくれただけで喜んで。

美穂:簡単なヤツだって(笑)。

江里子:でも、当たり前のことじゃないから。この関係性だって当たり前じゃないし、人に何かしてもらうことは、当たり前じゃないから感謝したいのよって言ったら、「そんなもんですかねー、私はあんまりないですけどねー」って言ってましたけどね。

――江里子さん、美穂さんの物まねがうまいです(笑)。美穂さんが喜ぶのはどんなときですか?

江里子:私がオウムの鳴きまねをしたときとか。

美穂:犬とか猫の動画を見せてくれたときとか……。

江里子:あと、アメリカンドッグを買ったら、ケチャップとマスタードがついてなくて、でももう1回もらいに行くのもなんだし、というときに、「わかった私行ってくる」って、美穂さんが来てたパーカーを羽織ってもらいにいったら、喜んでくれたわね。あれは誕生日だったから。

美穂:それはすごいありがたかったね。

――パーカーを着て、というのは……。

江里子:似た顔でも他人がケチャップとマスタードもらいに来たらさすがにと思って、パーカーを着て、美穂さんになりすましたんですね。なりすましパーカーよ。当人になりきってね。

美穂:そういうのしてくれるよねたまにね。

江里子:ゼリーを固めるゼラチンがほしいってときとかも買いにいったりね。

美穂:あと、引きこもってたときには、麻婆丼とか買ってきてくれたりね。そういうときはうれしいですけどね。

江里子:私が買ってきましたっていったら、美穂さんは「うむ」って。仕方ないわよね、"美穂様"だからね! でもちょっと待って! 私、美穂さんのパシリなのかしら!

30代はトガってた

――おふたりは、ネタでも本でも「おばさん」という状態を、いい感じで受け入れている感じがするんです。それでも美穂さんは、30代では受け止めきれなかったときもあったということでしたが。

美穂:私は30代は"トガリおばさん"だったんですけど、今はほんとに自然と受け入れられてますね。ネタになるから助かってるということもあるし。

――年を重ねるごとに気楽になったとか、そういうことはありますか?

江里子:さすがの私でも、節目というか、20代から30代になるとき、30代から40代になるときは考えたけど、けっこう記憶が飛んじゃってるというかね。

美穂:なくなっちゃったの?

江里子:やっぱり、そのころは日々生きるのに精いっぱいで、そのとき楽しく生きられれば、という感じだったのかもね。地味なキリギリスだったのかも。

美穂:お姉さんはそうなのね。

江里子:ということは違うの?

美穂:なんだろう、お笑いを始める前は、「何かしたいけど何もできない」というモヤモヤした感じを持ってて、お笑いというものを見つけてからは、気持ち的にもモヤモヤしなくなったというかね。

江里子:20代とかに戻りたくないって書いてたものね。でも、20代で1回パーマかけたじゃない? ニュアンスパーマっていうの?

美穂:おしゃれにしたかったんじゃない? まだわかってなかったから、あきらめられなかったんでしょうね。

江里子:ニュアンスだなー、ニュアンスパーマだなーって思ってた。

美穂:なんだったっけあれ……『めぐり逢えたら』の……。そう、メグ・ライアンにしてほしかったときがあって。

江里子:メグ・ライアンだったの!!!

美穂:安いパーマ屋さんにいったら失敗して、メグ・ライアンのはずが、柳家喬太郎さんみたいになって、泣きながら自分で落として……。

江里子:落としてあれだったのね……。

美穂:直毛だからニュアンスにあこがれてたんだけど、もうそのときに「わかったな」と思って。今は何も逆らわなくても大丈夫。今日も取材があるから、白髪も染めてきたし。

江里子:さすがおしゃれよ美穂さん。

――でも、確かに白髪もできるし、髪の質も変わってくるしで、40代のいろんな変化とかをみんなで共有できたらいいなと思うんですよ。単におしゃれでピカピカなところだけを見せるのではなくて。

江里子:そうですね。皆さんが皆さん“美魔女”じゃないといけないわけでもないし。憧れはあるけど、そういう方ばかりじゃないし。確かに、きらびやかな話は話題になりやすいけど、地味な話ってなかなか出てこないから。そういえば、この前、二の腕の話題で『あさイチ』に出演させてもらって、「二の腕ジャパンのスタメンです」って言ったら、ツイッターで同世代の皆さんが「私も、私も」って立候補されてて。

美穂:みんなで共有できたらいいですよね。

江里子:ちょっと笑いながら話ができたらいいというのはあるかもしれないですね。

■阿佐ヶ谷姉妹
姉・渡辺江里子(1972年7月15日 栃木県出身)、妹・木村美穂(1973年11月15日 神奈川県出身)からなる2人組。劇団東京乾電池研究所にて知り合い、以降旧知を深める。2007年10月、お笑いライブ出演をきっかけに正式にコンビ結成。以来、さまざまなバラエティ番組で活躍している。