インバウンドマーケティングとは?
前項で、広告業界におけるインバウンドについて触れましたが、実は近年、マーケティングにおいてもインバウンドが活用されており、それを「インバウンドマーケティング」と呼んでいます。
まだインターネットが一般家庭に普及していなかった時代、われわれ消費者は、テレビCMや雑誌に掲載されている商品を自然と目に耳にし、良いと思ったものをお店で買い求めるのが一般的でした。
しかし、スマホの普及によって、個人がいつでもどこでもインターネットが使える環境が整った近年、消費者の購買プロセスは、「欲しい」「見たい」「知りたい」ものを自らインターネットで検索し、そこから有益な情報を得て比較検討し購入する、という流れになっています。そのままインターネット上で購入する人も多いですね。
このように、消費者自らが検索してウェブサイトを訪れた際に、自社の商品やサービスに興味を持ってもらい、購買意欲に結び付くよう仕掛けるマーケティング手法のことを「インバウンドマーケティング」といいます。
アウトバウンドマーケティングとは
一方、テレビCMや雑誌、電話での勧誘、DM、訪問販売や店頭でのセールストークなど、消費者の意思とは関係なく、会社自らが積極的に宣伝をする手法を「アウトバウンドマーケティング」と呼びます。
アウトバウンドマーケティングは昔からあるマーケティングの手法ですが、現代人のライフスタイルに逆行した手法ともいえます。
例えば、近年では、共働きによる不在世帯の増加、固定電話の減少が顕著なことから、電話での勧誘や訪問販売から購買に繋げることは困難になっています。また、忙しい現代人にとって、興味のない話しを長々と聞かされるのは迷惑なことであり、一方的に送られてくるDMもまた、必要のない人にとってはただのゴミでしかないでしょう。
さらに、若者を中心に、テレビや雑誌よりもスマホを見る時間が長い傾向にある今、テレビCMや広告の効果も昔ほど期待できません。ただし、たとえ一瞬目に止まっただけであっても、それが魅力的で、印象に残るようなものであれば消費者の興味を引くことは可能です。多額の資金を投入しなければならない手法なだけに、メリット・デメリットを理解した上で、効果的に活用しましょう。
インバウンドマーケティングの手法
前述のとおり、消費者の購買プロセスが大きく変化したことに伴い、今やマーケティング業界では、インバウンドマーケティングをいかに上手く活用するかが重視されています。インバウンドマーケティング成功の鍵は、いかに多くの消費者に自社サイトを見つけてもらうかにあり、そのために、企業はさまざまな施策を行っています。
その一つとして、まずはSEO対策が挙げられます。インターネットで検索すると、関連したサイトが多数表示されますが、当然のことながら、上位に表示されているページから見ていきますね。検索エンジンに上位に表示されるようなページを作ることを、「SEO(Search Engine Optimization)」(検索エンジン最適化)といいます。
また、多くの消費者が目にするSNSやブログなどに投稿したり、自社製品に関連した動画を配信するなど、さまざまなソーシャルメディアからサイトに訪問してもらうよう促すことも効果的です。ほかにも、画像やインフォグラフィックス、ホワイトペーパーといった「コンテンツ」がありますが、コンテンツを中心に行うマーケティングを「コンテンツマーケティング」といいます。
いずれにしても、テレビCMやDMといったアウトバウンドマーケティングに比べて低コストであり、アイデア次第で大きな利益を生み出すことができる魅力的な手法と言えるでしょう。
東京オリンピックの開催は、更なるインバウンド需要の拡大と、日本の製品やサービスの価値を世界に知ってもらうまたとない機会です。あらゆるマーケティング手法を駆使して、この大きなビジネスチャンスをしっかりと掴み取りましょう。