――レオ/ゲンがテレビシリーズ最終回のあとどのような道をたどっていったかについては、別のテレビドラマやコミック、雑誌記事などでいろいろなエピソードが作られたりしましたけれど、『メビウス』の第34話では真夏さんの中でも納得のいくひとつの"回答"が示されたと見ていいですね。

『レオ』の放送から20年くらいたったころ、レオファンのお父さんに連れられて小さな子どもが会いに来たことがあったんですよ。でもその子にとっては『レオ』のおおとりゲンは24歳のときの僕の姿であって、40代の僕ではイメージができないんですね。そんな出来事があって、子どもの夢を壊してはいけないなと思い、意識的にファン向けのイベントへの出演を控えたりしていました。でも『メビウス』に出てからは、子どもたちからも「ミライと一緒に戦ったレオ、おおとりゲンだ!」と認識してもらえるようになってね。またファンのみんなの前に出るようになりました。僕にとっては『メビウス』に出てよかったなと思っています。

――最近でも新世代のウルトラマンたちが活躍する映画作品にレオとして声の出演をされるなど、ウルトラマンシリーズと深く関わっている真夏さんですが、その一方で「バカ映画の巨匠」と呼ばれる河崎実監督の特撮コメディ映画『大怪獣モノ』(2016年)や『アウターマン』(2015年)でも活躍されています。『大怪獣モノ』ではやけにエキセントリックな科学者で、人間を「2分40秒」間だけ巨大化させることのできる「セタップX細胞」を発明した西郷博士役を演じられ、衝撃的な「女装コスプレ」姿まで披露して爆笑を呼びました。河崎監督は「真夏さんは、よくあの役を引き受けてくれた」と絶賛されていましたが、真夏さんのお気持ちとしてはどうだったのですか?

『モノ』で女装コスプレの衣装合わせをしているとき、河崎監督がやってきて「真夏さん、この役を"断る"という選択肢もあったんですよ」なんて言うんです。「なんでこの役受けたんですか」って言うけど、あんたが依頼してきたんじゃないかって(笑)。ああいう役は中途半端に照れながらやっていたんじゃダメなんです。バーンとはじけつつ、突き抜けた演技を見せないと面白い画になりませんからね。

――『ウルトラマンレオ』の放送から44年という月日が流れたのにもかかわらず、今なお多くのファンがレオやゲンを愛し、応援し続けていることについて、どんなご感想を持たれますか?

私が24歳のころに出演した『ウルトラマンレオ』が、今も多くのファンたちの話題にのぼっているという状況が不思議であり、またうれしいところですね。『レオ』をはじめとする「ウルトラマン」シリーズというのは、ファンの方たちの「思い」があってこそ、これまで長く人気を保ってきているんだと思うんです。そんな中で、かつておおとりゲンを演じた僕を、今でもヒーローだと言ってくださる方がたくさんいてくれる。そういう観点から言えば、「ウルトラマン」シリーズはファンのみなさんのものだと思っているんです。僕はたまたま主役を演じさせていただいたにすぎなくて、ウルトラマンのもつエネルギーとみなさんの抱いている"想い"のほうが、すごいと思っています。他のドラマでは、44年も経ってなお、語り継がれていく作品なんてほとんどないですから。そういう作品に出演することができたというのは、本当にありがたいことですね。

『ウルトラマンレオ』Blu-ray BOXは2018年12月21日に発売。全51話をHDリマスターで収録するほか、「ウルトラマンフェスティバル2018『ウルトラマンレオ』Blu-ray BOX発売記念プレミアムイベント スペシャルトークショー」およびキャストインタビュー、企画書デジタルギャラリーといった映像特典が収録される。カラー/76Pの作品解説書も封入。価格は53,784円(税込)。

真夏竜(まなつ・りゅう)
1950年、神奈川県出身。1970年代より俳優活動を始め、1974年『ウルトラマンレオ』で連続ドラマ初主役をつかみ、同時に主題歌「ウルトラマンレオ」、挿入歌「MACのマーチ」「星空のバラード」の歌唱も務めた。円谷プロ作品では他に映画『アニメちゃん』(1984年)の雑誌編集者役、『ウルトラマンマックス』(2005年)第33、34話の警官役などがある。近年は文化庁「学校への芸術家派遣事業」協力芸術家として、各地の小学校などで「民話、講話」の語り部としての活動を行っている。

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