千葉県の幕張メッセで10月16日~19日にかけて開催されている、IT・エレクトロニクス関連の総合見本市「CEATEC JAPAN 2018」。家電メーカーでは、今回初めてダイキン工業がブース出展しました。

ダイキンの技術開発拠点として、2015年11月に大阪府摂津市で設立された「テクノロジー・イノベーションセンター(TIC)」。そこで生まれた最先端の空調制御技術や、AI・IoTの融合によって2020年の製品化に向けたプロトタイプから研究段階のものまで、空気・空間にまつわる20のアイデアやコンセプト製品がお披露目されました。

  • ダイキン

    今年で19回目を迎えた「CEATEC JAPAN」。ダイキン工業の出展は初めて。「テクノロジー・イノベーションセンター(TIC)」で生まれた空気や空間に関するアイデアを具現化した試作機や、コンセプト製品など20点を紹介

空気砲でリラックス?

ダイキンブースでは、3つのテーマに沿って製品の展示が行われていました。テーマの1つ目は"暮らしをサポートする空気(未来の住空間)"。その製品プロトタイプの1つとして、寝室を再現した空間で公開されていたのが、シーリングライトと空調製品を一体にした「Sheep Sleep」と、アロマを放出する「Chiffy」です。

Sheep Sleepは、睡眠中の体の動きをセンサーで検知し、温度や湿度、照明の明るさなどを自動で制御するシステム。おもしろいのが、一定間隔で天井のシーリングライトから空気の塊のようなものが放たれること。これは手でトントンと優しく体を叩く動作を気流によって再現したもので、穏やかな振動によってリラックス効果と入眠効果を促すのが狙いだそうです。ベッドサイドにあるアロマディフューザー「Chiffy」とも連動してよい香りが漂い、入眠から起床までを心地よくサポートしてくれる仕組みです。

  • ダイキン

    「Sheep Sleep」と「Chiffy」の展示ブース。センサーにより人がベッドに入ったことを検知し、照明や空調をコントロール。天井の照明部分からは、心地よい眠りや起床を誘うリング状の気流が発せられます

  • ダイキン

    アロマデフューザー「Chiffy」とも連動。Chiffyから発せられる空気は、煙のようなポッポ気流。なんとなく和んでしまいます

  • ダイキン

    写真の丸い穴から、ポッポ気流を一定間隔で放出します

室内の温度や湿度に加えて、PM 2.5やCO2、ニオイなど、従来のルームエアコンでは実現できなかった室内の空気環境を管理する空調システム「Beside system」も注目です。室内の空気質を検知するセンサーをハブに、エアコンや空気清浄機など室内にある空調機器をコントロールします。壁面にあり、外気と通ずる換気口のようなユニット「IAQユニット」により、換気の制御までセンサーと連動して行い、トータルで室内の空気をキレイに保てるのです。新築でシステムを一括導入しなくても、ユニットの後付けで対応できるというのもポイントでしょう。

  • ダイキン

    「Beside system」のイメージ。手前のセンシングユニットで空気環境を検知し、エアコンなどの空調設備をコントロールします。壁に設置されている「IAQユニット」は、簡単にいうとIoT化された換気口。通常の換気口と違い、空気環境のデータと合わせて、開閉やフィルター制御を行います

未来のエアコンは「横長の四角形」じゃない

ダイキンといえば、今年(2018年)春に発売されたルームエアコン「risora」が、空間調和を意識したデザインエアコンとして注目されましたが、その次世代を担うようなルームエアコンのコンセプトモデル「risora unitary」も展示されていました。室内機は吸気口と送風口のみで、熱交換器やファンなど、通常のエアコンでは室内にある部品を室外機側に設置しています。このため、四角くて細長い一般的な「ルームエアコン」とはまったく異なる、新しい形を実現しています。室内機と室外機どちらも、薄い縦型のユニットに収めるという画期的な形となっていました。

  • ダイキン

    2018年春に発売したルームエアコン「risora」。デザイン性や多様なカラーバリエーションが好評だった

  • ダイキン

    「risora unitary」の室内機(写真ではスペルが「risora unitry」となっていますが、正しくは「risora unitary」だそう)。これ、れっきとしたルームエアコンなんです。熱交換器やファンは室外機側に収め、室内側は吸気口と送風口のみ設置。薄くてスタイリッシュなデザインを実現しました

  • ダイキン

    左端が「risora unitary」の室外機。室内機側に備える熱交換器やファンが、室外機側にスリムなタワー型となって収められています。中央にあるのは未来のオシャレな室外機「スタイリッシュ室外機」。一番右にある従来の室外機よりも格好よくなっています